額に手を置くと、かなり熱く引っ込めてしまったがもう一度あてる。
大きな声に周囲の人に注目を浴びてしまった。
「杏梨、座って・・・・・・」
視線に気づいて杏梨は言われた通り元の席に座った。
「ゆきちゃん、帰ろう すごい熱だよ ううん 病院へ行った方がいいかも」
山田さんが言いたかったのはこのことだったんだ。
「薬はもらってあるから大丈夫」
杏梨にばれてしまい自分が情けなくなった。
額に手を置きため息を吐く。
「ゆきちゃん、つらいでしょう?早く帰ろう?」
杏梨の心配そうな顔を見て申し訳なく思う。
ゆっくり楽しみたかったが、だんだん熱が上がってきているようでこれ以上は無理だった。
「すまない、この埋め合わせは必ずするよ」
* * * * * *
マンションへ戻り、雪哉はなんとか着替えてベッドに倒れこむように横になった。
無事にベッドに横になるのを確認してから杏梨は救急箱を取りに行き、中から体温計を出した。
熱を測っている間に杏梨はキッチンへ行きアイスノンを持って戻ってきた。
ピッ
体温計が音をたてた。
「どうしよう!39度7分もある!」
あまりの熱の高さに杏梨はうろたえた。
「そうだ!ゆずるさんにっ!」
自分一人では心細くてゆずるに来てもらおうと思った杏梨は携帯電話を取りにその場を離れようとした。
「杏梨」
手首を掴まれて立ち止まる。
「今、ゆずるさんを呼ぶからね」
「・・・・・いい 呼ばないでいい ・・・・・・杏梨がそばにいてくれるだけでいい」
「でもっ!すごい熱なんだもん」
「薬飲んだから ・・・・・・大丈夫 風邪、うつしてしまうかもしれないけれど・・・・・・側にいて欲しい」
閉じていた目が開かれ、熱を帯びた瞳で見つめられる。
「・・・・・・うん 側にいるよ 着替えて戻ってくるからね」
続く