ぬるんちゃんは、ぬるぬるしている。

ぬるぬる、しっとり。
べたべた、ぺたり。
ぬるんちゃんは、
いつも背後からやってくる。
声もかけずに、
きがついたら
いきなり背中に
のっかっている。
ぬるんちゃんは、
ぜんぜん空気がよめない。
なぜなら、
ご自分がぬるぬるしているから
するするとすり抜けて
あらぬ方向へと流れ出す。
ぬるんちゃんは、でも
時々かたちになる。
ぬるん、とした何かのかたち。
それは
昔にみたこわいものだったり
かなしい思い出だったり
だいたいぜんぶ、
足先が冷たくなるようなことばかりだ。
ぬるんちゃんに寄りかかられた、
と
気づいたときにはもう遅い。
もう自分が、ぬるんとしている。
あらら
ぬるんちゃんは、
いったい誰だったかしら
あれれ
わたしって
ぬるぬるしていたかしら
おやおや
もとから
こうだったはずだけども?
★★★
ぬるんちゃんには、
名前がない。
それをみていた誰かが、
そう呼んだのだ。
こんにちは、
ぬるんちゃん。
あなたは、
誰ですか?
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