ある程度の年齢を超えていたら、
クッションとしての日本語は
英語学習に活かしていけると思っています。
役目が終われば日本語は必要なくなるから
ちゃんと英語を英語のまま理解できるようになるよ![]()
こんにちは。
軽やかに、でも確実に世界のどこでも
シアワセに生きる力を子どもに渡したい♡
海外で日本でがんばるママ&オトナ女子向け
英語レッスンやサポート講座をしています。
講師のMegumiです![]()
結果の出るバイリンガル子育てをする!と決めたときに
言語教育や英語指導資格を取ったりと
いろいろ学んでいた時期があって。
PCのデータを整理していたら
当時(7年前)に書いたレポートが出てきました![]()
めっちゃ長いしカタイのですが
キホン的に考えは変わってないので載せておきます![]()
母語で学ぶ強み
~日本の英語教育における日本語の重要性について~
どうやって英語を学ぶか?
これは多くの人が関心を寄せるところであり、世の中には英語学習方法についての本や情報があふれていることからもその関心の高さが伺えます。
2020年度からは小学校高学年での外国語(英語)の教科化及び外国語活動の小学校中学年への引き下げ実施が予定されており、日本での学校内外における英語教育への注目も今後更に増すことが予想されます。
文部科学省発表(2013)の「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」に中学校・高等学校での外国語教科については「授業を英語でおこなうことを基本とする」とあるように、近年日本では「英語を英語で教える」方針が推奨されています。
学習者側にも「やはり英語は英語のみで学ぶべきであり、Native Speakerの講師から習う方が良い」といった傾向が強くあるように感じられます。
しかし本当にそうでしょうか?
それは学習者のレベルや環境を問わず有効な方法と言えるでしょうか?
日本での大多数の学習者の母語である日本語は英語習得に積極的に活用できるのではないかと考えます。
ここでは母語としての日本語を通して英語を学ぶ強みについて考察したいと思います。
日本において「英語は英語で学ぶべき」という考えが強い理由の一つに母語の干渉があると思います。
学習者の持っている母語としての日本語の知識が英語習得に影響を及ぼすということですが、とくにその初期において学習者は目標言語習得に母語の知識を活用することが知られています。
つまり日本語を母語とする学習者にとって、英語習得時に日本語から影響を受けることは不可避と言えます。日本の環境で英語を学ぶ以上、母語としての日本語が確立しつつある若年学習者にとっても同じことが言えると考えます。
そして日本では、英語習得時における日本語の影響についてマイナス面が注目されることが多いように感じます。
例えばL/Rの発音や聞き分けの難しさ、文章を組み立てる際の語順の違いなどは多くの人が頷くところだと思います。
私個人の経験からも、特に英語特有のアクセントやリズムに関してはそういった一面はあると感じます。
しかし言葉を単なるコミュニケーション手段としてではなく、考える力・思考を形にするものとして捉えると違った見方が出来ます。
言葉は確かにコミュニケーションツールですが、同時に考えるための手段でもあります。
使用言語に関わらずある一定の年齢以上であれば、言葉を使ってものを考えるようになります。
やはりしっかりとした語彙力や運用力のある言語の方が、そうではない言語を使った時よりもきちんと考えることができるのではないでしょうか?
ここに参考にしたい理論があります。
カナダの言語学者Jim Cummins(1979)による「発達相互依存仮説」です。
石王(2004)はこれを「Cummins(1978,1979)による発達相互依存仮説では第二言語の言語能力は子供がすでに獲得している第一言語の言語能力と相関的な関係にあると考える。つまり第一言語が発達した分だけ第二言語も発達する」と説明しています。
この理論に則って考えると、母語である日本語の発達度合いに応じて英語も発達するということが言えます。
そのためにはただ英語を学習するだけでなく、母語である日本語もきちんと発達させなければなりません。
この母語の発達について、石王(2004)は「コミュニケーション能力だけでなく、複雑な文章がよみこなせたり論理的に思考したり文章が書ける能力なども含まれる」と述べています。
単純に日常会話ができるといったことだけでは不十分で、考える力としての言葉が必要になるのだと思います。
日本で英語を学習するのとは多少異なる状況ではありますが、私自身が見聞きしたものでは次のようなケースがあります。International Schoolに通う7歳の男の子、母語は日本語ですが、海外在住歴が長く日常生活において英語でのコミュニケーションに困っている様子はありません。
ただ、自分の考えを述べる、状況を分析し説明するなどの場面になると言葉が出てこないことが多々あるそうです。
言葉が出てこない、というのは日本語・英語どちらの言葉を使っても自分の言いたいことが思うように言い表せない状況です。
学校のELL(English Language Learning)の先生からは「言葉が出てこないのは母語である日本語できちんと考えられないからではないか。家で一緒に本を読んで語彙を増やしたり、いろんな話をしたり日本語を大切にして母語の力を伸ばした方がいい」と言われているとのことでした。
あくまでも私個人の経験から思うことではありますが、日本語で考える力があることは、英語での日常会話を身につけるという点においても、学校での授業などより高度な思考が要求される場面においても有利に働いていると感じています。
「英語は英語だけでの指導が効果的」という傾向の背景にはもうひとつ、「日本語を通さず英語は英語として理解するべき」といった考え方も影響しているように思います。
しかし、英語を英語で学び理解するにはある程度の習熟度が必要です。
英語で言われている内容を全く理解できなければ指導も学習も成立しません。
単語の意味一つや初歩の文法のルールを学ぶにしても、説明されている言葉そのものが分からなければどうしようもないからです。
英語で英語を理解するには、その時点でそれができるだけの英語力が必要です。
それにはまず一定量以上の英語のインプットを得る必要がありますが、日本では日常生活は日本語で成り立っており、学習者のほとんどは日本語を母語としています。
生活していくうえで英語が必要とされる状況も限られています。
日本学術会議による提言(2016)でも「目標言語が話されていない地域でおこなわれる非母語の習得では、量的にも質的にも十分な目標言語のインプットが用意できない」と指摘されているように、日本の環境では大多数の学習者にとってそのレベルに至るのに必要な英語のインプットを得るのは難しいと思われます。
また英語を英語だけで学習する場合、学習者はおおよその意味が分かればそれで満足してしまいがちです。
教える側としても細かいところは見落としやすく、おおまかに出来ていればそれでOKとしてしまうことが多いように感じています。
日本語を話さないNative Speakerの先生に英語を習っていたのだが伸び悩んでおり、ある時思い切って日本人講師に変えてみたという10歳の女の子のケースがあります。
結果から先に言うと、「読む」「聞く」「書く」「話す」という言語の4技能のうちアウトプット部分である「書く」「話す」力が大きく伸びたそうです。
彼女の母である友人は「日本語と英語では色々と違いがあるから、何となく出来てなかったところや漠然とこんな感じかなと思っていたところについて、具体的にどうしたらいいのか、どうしてなのかをしっかり指摘してくれるのが良かったみたい」と話しており、学習者本人は「何だかしっくりこないことを質問した時、その場で理由を説明してくれるから分かりやすい」と言っていました。
日本語と英語を相対的に捉え、二言語間の違いを理解・分析したうえでアウトプットできるようになったことが英語力の伸びに繋がったのではないかと考えます。
講師と学習者の相性やそれぞれ指導法の適性などもあり、一概には言えませんが日本語を上手く英語学習に活かすことのできた例の一つではあると思います。
鳥飼(2016)によると、実際に言語教育の分野でも、必要に応じて母語を使用した方が理解が早いという反省を基に母語使用を積極的に認めることの重要性が指摘され始めており、オール英語(All in English)が効果的とされてきた英語学習についても母語も使ってのバイリンガル指導が見直される傾向にあるとのことです。
これらのことからも、母語の使用は英語学習において一定の役割を果たせると言えます。
先にも述べたとおり、母語が確立している学習者にとって英語習得時に母語から影響を受けることは避けられません。
英語学習に際して、英訳や和訳を通して日本語との対応や類似点を探すことは多くの学習者にとって一般的ではないかと思います。
私自身、International Schoolに通う6歳の子供を持っていますが、特に学校に通い始めた当初は「ooって英語でなんていうの?」「xxって日本語だとどういう意味?」という質問をよく受けました。
「英語だと□□なのに、日本語の△△とは同じじゃないね」と経験から学んだ言葉のルールを運用しながら、自分の持っている日本語の知識と英語の知識を比較したり照らし合わせたりしている様子も見られました。
そうしているうちにかなり正確に英語でも自分の言いたいことを伝えられるようになってきたという印象があります。
言語が異なれば、何かを伝えるのにぴったりと対応する言葉があるとは限りません。
さらに使用する時と場合によって同じ単語でも持つ意味や使い方が異なっていたり、別の表現が使われたりします。
そういった場合、何を言いたいのか、それは日本語だとどういった意味で英語ならどんな言い方が出来るのか、と考えて一番いいと思われるものを選ぶしかありません。
また日本語を介することで、英語の単語や表現の理解が容易になるケースもあります。
その試行錯誤の過程で日本語と英語それぞれの表現や語彙の意味と使い方が自分のものになるのではないかと思います。
そして、それはそのまま第二言語である英語の習得や向上につながっていきます。
鳥飼(2016)は、日本語から英語への通訳翻訳は発信型コミュニケーション能力育成に効果的であり英訳の練習を通して自分の言いたいことが英語で表現できるようになっていく、また英訳をすることによって日本語を分析し日本語を深く理解することにつながっていくとの見解を述べています。
また「海外の言語教育界では訳すことの効用が見直され『TILT(Translation and Interpreting in Language Teaching)』として通訳翻訳を導入した外国語教育方が盛んに研究され始めている(鳥飼,2016)」とも紹介しています。
以上のことからも、日本語と英語の違いを知ることは、日本語の力を高める上でも英語を学ぶうえでも重要だと言えます。
私自身も二つの言語の違いをうやむやにしたままで英語を身につけるのは難しいと感じています。
なぜなら日本学術会議の提言(2016)にもあるように「実際ことばの使用では、母語であれ非母語であれ、ことばの仕組みのなかに組み込まれた分類や捉え方を理解しつつ、ことばを発する際の聞き手や周囲の状況に瞬時に対応することが求められる(要旨iii)」からです。
また語彙や言葉の運用面だけではなく、日本語からのマイナスの影響が大きいとされる音韻・発音や文法面についても二言語間の違いを知ることは、その習得や練習の第一歩であり、その認識なしに課題を克服することは難しいと考えます。
*結論
学習者の母語がバラバラで共通言語が英語しかない場合、
あるいは主に英語が使用される環境で日常生活を過ごす学習者を対象に指導する場合には英語で英語を教える指導は有効であり、またそうせざるを得ないこともあると思います。
しかし日本では大半の学習者の母語は日本語であり、学習者の日常生活においてもほぼ日本語が使用されています。
こういった英語学習の環境を鑑みる限り、英語を英語だけで学習するのに十分なインプットをすべての学習者が得られるとは考えにくいのが現状です。
そして母語を基盤に英語を習得していくことを考えると、英語学習において日本語を取り入れることは一つの方法であると思います。
環境や年齢、レベルを問わずどの学習者にも有効な唯一絶対の学習方法はありません。
結局それぞれの学習者の環境や目的、あるいは目標に合わせて最適な学習方法を探していくことになります。
数多くある学習方法の中から、それらを組み合わせたり使い分けたりしながら英語を学ぶことができればベストだと思います。
Native Speakerの講師であっても、日本人あるいは英語を母語としない講師であっても、さまざまな種類の英語に触れ、そういった機会を通して英語ひいては異文化への学習者の興味や動機に働きかけることは大切です。
同時に実用・コミュニケーション部分の指導は英語で行い、文法や細かい部分の指導は日本語を上手く活用するなど指導言語を効果的に使い分けることも必要ではないでしょうか?
「All in Englishでの指導」だけにこだわるよりも、英語を学習する一つの方法として日本語を積極的に活用すること、
あるいは「国語(日本語)」と「外国語(英語)」を完全に分けるのではなく相互に作用させる形で言語教育に活かしていくことは検討に値するのではないかと考えます。
参考文献![]()
1. 日本経済新聞Web刊「英語、小5から正式教科に 時期指導要領案」掲載日:2016.8.01
2. 資料「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」
文部科学省HP 報道発表 公開年月日:2013.12.13
3. 提言「言葉に対する能動的態度を育てる取り組み -初等中等教育における英語教育の発展のために-」 日本学術会議 言語・文学委員会 文化の邂逅と言語文化会
第236回幹事会 公開年月日:2016.11.04
4.「外国語学習の意味について」石王敦子 『追手門学院大学地域支援心理センター紀要
1巻(掲載p.29-p.38)』出版年:2004
5.『本物の英語力』 鳥飼玖美子 講談社現代新書 出版年:2016
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