本理論において、「共有現実」とは、複数の主体が同じ世界を見ている状態を意味しない。
また、同一の内部モデルや同一の三次元空間を保持していることでもない。
共有現実とは、複数の主体に固有な生成順序の自由度が、物理法則および言語・社会的相互作用によって、継続的に制限されている状態である。
1. 世界は本来、私的である
したがって、原理的には、世界は常に私的であり、完全に同一の世界が二つの主体に共有されることはない。
2. 共有とは『一致』ではなく『拘束』である
共有とは、内部表象の同一性ではなく、生成の自由度が外部との相互作用によって制限されることによって成立する。
他者と関わるとき、主体は次に生成される描出を自由に決定できなくなる。
-
相手の行為は、自分の次の描出内容を制限する
-
相手の発話は、自分の生成順序の一部を更新させる
-
相手の応答は、予測の修正を不可避にする
このようにして、生成順序の自由度が外部から制限される。
共有現実とは、この制限が一時的ではなく、継続的に維持されている状態を指す。
3. 物理的相互作用による共有
ここで言う「物理的」とは、独立した実体としての物質世界を意味しない。
本理論において物理的とは、
複数の主体が生成順序を共有し続けるために、三次元的整合性を最小の演算コストで維持できるよう収束した生成規則の集合
すなわち物理法則を指す。
物理法則は、
-
主体の意図や解釈を介さず
-
学習や合意を必要とせず
-
生成順序の最下層で直接作用し
-
回避不能に次の描出を制限する
という性質を持つ。
この意味で、物理法則は脳(知的システム)の演算コストを省力化するための、最下層の共有制限システムである。
4. 言語と社会による共有
言語や社会制度は、物理法則の上に成立する、より高次の共有装置である。
-
言語は、他者の生成履歴の一部を自分の履歴に取り込む手段であり
-
社会制度は、多数の主体の生成順序を長期にわたって同期させる仕組みである
ただしこれらは、
-
学習を必要とし
-
解釈の余地があり
-
破綻や逸脱が可能
という点で、物理法則による制限よりも弱い。
それでもなお、言語と社会は、生成順序に課される制限を拡張し、共有現実の範囲を大きく広げる。
5. 現実感は制限の強度から生じる
共有が強くなるほど、主体は自由に生成できなくなる。
生成の自由度が下がるほど、予測誤差は強制的に修正され、
内部モデルは硬く安定する。
このとき生じる感覚が「現実感」である。
-
夢は制限が弱いため、現実感が低い
-
仮想現実は制限が部分的なため、現実感が不完全である
-
日常の物理世界は制限が強いため、現実感が最大になる
現実感とは、真理性の指標ではなく、生成の自由度がどれだけ制限されているかの感覚である。
6. 客観世界の再定義
本理論において、「客観世界」とは独立に存在する実体ではない。
客観世界とは、
多数の主体の生成順序の自由度が、
長期にわたり、強く制限され続けた極限状態
に対して与えられる名称である。
それは存在論的な基礎ではなく、生成論的な安定状態である。
7. 共有現実の定義
共有現実とは、複数の主体に固有な生成順序の自由度が、物理法則および言語・社会的相互作用によって継続的に制限され、自由な生成が部分的に許されなくなった状態を指す。
共有現実とは、同じ世界を見ていることではなく、
生成できる可能性の範囲が相互に制限されている状態である。
ボディスキーマを再構築するための実践講座。
構造的アプローチのメンタリング。
身体・意識の統合による次世代ヒーリング。
The Mind & Body Deprogramming Techniques
