こんにちは。本当の愛と幸せを届ける講演家 中村美幸です。

ご訪問下さり、本当にありがとうございます。

このブログでは、小児がんを患った長男(渓太郎)との闘病、別れを通して知った「幸せ」や「愛」、「命」「生きること」について綴らせていただいています。

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「まゆちゃん、楽しそうですね!」

 

病棟入口にあるトイレに向かう途中、まゆちゃん(仮名)と楽しそうにおしゃべりをしている看護師さんを見かけて、そう声をかけた。

 

 

―――入院中の女の子たちは、よくナースステーションの中で、看護師さんのお手伝いをしたり(正確に言えば、看護師さんごっこだろう・・・)、クルクル回る椅子に座って、体を揺らしながらお絵かきをしたりしていた。

 

 

その日、あまりにも楽しそうにおしゃべりをしているまゆちゃんを見かけて、私は、つい「まゆちゃん、たのしそうですね!」と、声をかけてしまったのだ。

 

 

しかし、その直後、看護師さんからは思わぬ言葉が返ってきた。

 

 

 

「でも実はね・・・。さっきまで泣いていたのよ」

 

 

 

「え・・・」

 

一瞬にして言葉が詰まった。

 

(まさか・・・)

 

数ヶ月前、会うたび話をしていた男の子が旅立ったことを想い出し、胸のあたりがザワっとした。

 

 

声をかけてしまったことを後悔していると、看護師さんは「実はね・・・」と前置きをして、優しい笑顔を浮かべながら、こんなことを教えてくれた。

 

 

 

 

―――その日、まゆちゃんのもとにお母さんがお見舞いに来た。

 

 

小学生以上の子どもへの付き添いは許可されていないため、子どもたちは、おうちの人がお見舞いに来てくれるのを心待ちにしている。

 

小学生のまゆちゃんも、そのひとり。

 

しかし、その日は、お見舞いに来たお母さんに思わぬことを言いだしたのだという。

 

 

「お母さん。もう帰っていいよ。今日は看護師さんと遊ぶ約束をしているから、もう帰って」

 

 

お母さんも、日頃の疲れがあるのだろう・・・。

 

その日は、まゆちゃんの言葉に甘えて、早めに自宅に帰ることにしたのだそう。

 

 

病棟の入口まで、お母さんを見送るまゆちゃん。

 

廊下を歩いていくお母さんの後ろ姿を、見えなくなるまで見送ると、今度は、慌てて病室にもどり、頭から布団をかぶった。

 

 

布団の中から聞こえてきたのは、シクシク泣く、まゆちゃんの声。

 

 

まゆちゃんは、まだ小学生。

 

お母さんに、そばにいて欲しくないわけはない・・・。

 

 

だけどまゆちゃんには、どうしても、早くお母さんをおうちに帰したい理由があった。

 

 

それは、大切な人の笑顔を守るため―――まゆちゃんには、お母さんの帰りをおうちで待つ、幼い妹たちがいた。

 

 

 

―――話を聞き終えると、心の奥から、ぬくもりに包まれた切なさがこみ上げた。

 

 

「小学生の子に・・・どうしてそんなことができるんですか・・・」

 

 

感動なのか、驚きなのか・・・今にも涙がこぼれてしまいそうだった。

 

そんな私を、優しい笑顔で包み込むと、看護師さんは静かにそっと教えてくれた。

 

 

「きっとね。強いから優しくなれるのよ」

 

 

そして、「だってね・・・」と言ったあと、看護師さんは話の続きを聞かせてくれた。

 

 

 

―――布団をかぶって泣き終えると、まゆちゃんはナースステーションに遊びに来た。

 

泣いていたことを知っている看護師さんが、「まゆちゃん、そんなに頑張らなくていいんだよ」と声をかけると、まゆちゃんは、誇らしそうに笑い飛ばしたのだという。

 

 

「だって、私。おねえちゃんだから!」・・・と。

 

 

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