三谷幸喜さん脚本
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脚本家 久部三成 :菅田将暉
劇団のスタッフ トンちゃん:富田望生
演出家 黒崎:小澤雄太
無料案内所のおばば:菊地凛子
ダンサー いざなぎダンカン :小池栄子
ダンサー パトラ鈴木:アンミカ
ダンサー 毛脛モネ:秋元才加
ダンサー・兼バー・ペログリーズのママ リカ:二階堂ふみ
バーのウエイター・ケント:松田慎也
モネの息子・朝雄:佐藤大空
放送作家 蓬莱省吾 :神木隆之介
WS劇場のオーナー ジェジー才賀:シルビア・グラブ
運転手兼秘書 乱士郎:佳久耀
支配人 浅野大門:野添義弘
妻 フレ:長野里美
スタッフ 伴工作:野間口 徹
芸人はるお:大水洋介(ラバーガール)
芸人フォルモン :西村瑞樹(バイきんぐ)
客引き うる爺:井上順
取り立て屋 トニー安藤:市原隼人
受付兼チケットもぎり 毛利里奈:福井夏
ジャズ喫茶の店員 仮歯:ひょうろく
ジャズ喫茶のマスター 風呂須太郎:小林薫
神社の神主 論平: 坂東彌十郎
巫女 樹里:浜辺美波
是尾礼三郎:浅野和之
カリスマ演出家・蜷川幸雄:小栗旬
警部:小林隆
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第9話
アド街ック天国を真似た『八分坂横丁ベスト8』から始まりました。
リカが、久部に惹かれてきました。
リカ「ねえ、あなた、どこに住んでるの」
久部「向かいのアパートの201に」
リカ「その前は」
久部「友達の家を転々と」
リカ「実家は」
久部「千歳船橋」
リカ「意外と近いのね」
久部「僕の夢は、劇場が軌道に乗ったら『ハムレット』をやろうと思っています。僕なりのアレンジで、あの名作を現代に甦らせる」
リカ「ハムレットは誰がやるの」
久部「僕が。その時、リカさんにはオフィーリアをやって欲しい」
リカ「オフィーリアって?」
久部「ハムレットの恋人」
リカ「だよね」
久部「できます。リカさんなら」
リカ「やらせていただきます」
久部「僕には見えるんです」
リカ「演出家さんに任せる。あなたがここへ来て、何もかも変わったわ。劇場もみんなも」
久部「本当ですか」
リカ「わたしも。目標ができたっていうのかな。引っ張っていって。私たちを。これからもずっと」
久部「もちろんです」
リカ「飲みに行こ。今晩は私が引っ張っていってあげーる」と言って軽くキスしました。
樹里は台本を直していました。
論平「まだ起きていたの」
樹里「リボンさんも」
論平「その言い方は良しなさい。演出家さんも役者として買っているだけで、あの2人に恋愛感情はないと思う」
樹里「だから?」
論平「別に」
樹里は祈祷し「久部とリカが別れますように」
大瀬は巡査部長から、劇場に立っていたことを責められました。
オーナーが事務所に来て「トニーを品川の埠頭まで行って欲しいのよ。ちょっとした取引」
オーナーはフレに指輪をあげて、味方にしました。
オーナー「早い話がボディガード。心配しないで。
よっぽどのことがない限り、ドンパチなんて起こったりしないから。今夜、帰りは7時過ぎるかな。出番後半だから、なんとかなるんじゃないかな」
久部「お断りします」
オーナー「トニーはウチの従業員。どう使おうが私の勝手。もちろんタダとは言わないわ。今週分の120万チャラにしてもいいわ」
久部「7時までに必ずトニーを返してもらう」
オーナー「約束するわ」
久部はリカに事情を説明「オーナーには逆らわない方がいいわ。敵に回すと怖い人だから。よかったじゃない。これで今週も生き延びられる。でも、いつまで続くの」
久部「もう少しの辛抱です。動員も少しずつ増えています。いずれ100人は増えます。野田さんのところだって、旗揚げから紀伊國屋ホールに行くまで5年かかってます」
リカ「ここで泊まってもいいわよ。わたしは全然気にしないから」
久部「考えておきます」
蓬莱「僕は反対です」
伴「舞台監督としては、役者が揃わないのに幕を開けることはしたくありません。出番までに戻ってくる保証はどこにもありませんから」
久部「オーナーは約束してくれた」
蓬莱「以前もそんなことがあったんです。オーナーさんの命令でトニーさんがどこへ何かを届けに」
伴「あの時は警察沙汰になって、トニーが店に戻って来たのは3日後でした」
久部「そうなの?」
伴「今回もそうならないとは限りません」
樹里「わたしもやめた方がいいと思います」
久部「君たちさ、わかっているのか。オーナーに逆らえる立場に僕らはいるんですか。ろくに客も入っていないのに、よくそんなことが言えるなあ。もっと現実を見なさいよ」
蓬莱「本人に聞いて見るのが一番ではないでしょうか」
トニー「やめときます。やっぱ本番が大事なんで」
パトラ「この人は幕が開く2時間前からウォーミングアップしているの」
久部「2時間前?」
パトラ「是尾先生から言われたのよね」
トニー「俺くらいの素人はそれくらいやらないと、お客さんに失礼になるんで」
パトラ「あれ見せてあげたら」
トニーはラジカセを出しました。
トニー「是尾先生が、俺のセリフを全て録音してくれたんです」
パトラ「これを聴きながらね、練習しているわけよ。力入っているでしょ」
久部「素晴らしいです」
トニー「支度があるんです」
久部「もう?」
トニー「ウォーミングアップの前に瞑想の時間をとっているんで」
久部「役者の鑑だ」
パトラ「先生がここに来て、一番変わったのがトニーかもしれない。顔つきが柔らかくなった。(マスターの方を見て)そう思わない?」
マスター「演劇は情操教育の一環として、使われることもありますからね」
パトラ「先生のおかげだわ」
久部「トニーさんの気持ちはよくわかりました。でも、劇場の未来がかかっているんです」
パトラ「一つ聞かせてくれる? トニーは役者としてどうなの?」
久部「面白いと思います。これから場数を踏めば、きっと面白い役者になる」
パトラ「トニーが役者で食べていけるようになったら、わたしは引退してあの子を支えていこうと思っているの」
久部「パトラさんだって、いい役者さんですよ」
パトラ「ハハハ。わたしは無理よ。腰にバカタマン抱えているから。トニーをさ、次はもっと出番の多い役にしてあげて。それが条件」
久部は頭を下げました。
パトラ「わたしに任せて」
トニーは屋上で瞑想していました。
後ろにパトラがいて、説得しました。
事務所に運転手役乱士郎の兄・乱太郎も登場。
久部「2人いたんだ」と驚きました。
蓬莱「トニーさんの出番は7時半です」
トニー「必ずその前に戻って来ます」
是尾「どこにいても発生練習は怠るな。きみの弱点は滑舌だ」
久部が外にお見送り。
大門「オーナーはどうされますか」
「お茶でも飲んで待ってましょうかしら」
18時半になり、久部「開場しよう」
オーナーは大門に「昆布茶ババロアって言うのがあってね。若返りにきくの。肌がツヤツヤになって疲れが取れる・・・。嘘なの。当然厚生労働省の認可はおりない」
大門「相変わらず幅広くやってらっしゃる」
オーナー「警察からも目をつけられてきたので手を引いて、マレーシアの裏組織に買い取ってもらうことにしたの。トニーはそれを渡して代金を受け取るの」
控室で大瀬が「本日限りで警官辞めてきました。これからは俳優一本でやっていきます」
久部「辞めたんですか?」
大瀬「クビになりました」
フォルモン「いろんな人生に影響与えてんなあ」
大瀬は女性控え室にも報告。
モネ「私たち家族のせいじゃないわよね」
パトラ「一緒になっちゃえばいいじゃない。朝雄くんだって喜ぶわよ」
モネ「適当言わないで」
この日はだんだんお客も入り、賑わってきました。
久部は「あの人たちのためにも、決して中止にはしない」
泣きそうな久部に樹里「もしよかったら」
ハンカチを手渡し。
久部は鼻を噛んでしまいました。
久部「洗って返します」
樹里「さしあげます」
樹里「こういうのはどうでしょう。トニーさんの帰りが遅かったら、カットした幕あいのシーンを復活させるというのは」
久部「それだ」と言って、おばばに復帰してもらうため、案内所へ。
おばば「無理よ。セリフなんか忘れちゃったわよ」
久部「お願いします」
おばばが折れ、2人は走って劇場に戻りました。
久部「開幕だ」
伴は冷静に「一度幕を開けたら、何があっても最後までやってもらう。いいんですね」
久部「まずは例の手を使ってみましょう」
毛利の時間稼ぎ。
しかし、この日はお客の反応が悪いです。
蓬莱「彼女は彼女で壁にぶつかっているようです」
久部は是尾に「ゆっくりやってください」
是尾「ゆっくりやっていいんだな」
演技をゆっくりしました。
久部は外に出ました。
落ち込んだ毛利「引退してもいいですか?」
久部「今度ゆっくり」
「トニー」と、八分坂中に聞こえるように叫びました。
おばばが時を演じました。
伴「次がいよいよトニーの番です」
是尾はまた怒りました「素人女を出して、俺のカットしたセリフは?」
ケントの名案「回想シーンみたいにして、是尾先生のカットしたセリフを復活させて、怒りをぶちまけるんです」
久部もOKが出て、ケントが説明しました。
是尾「無理だ」
ケントは強い口調で「やってください」
時を伸ばしてしゃべらせましたが
「ばあさんに限界が来ている」
フォルモンが突然「真打の出番だな」
パトラを誘って「俺が出ていったらついて来て。新コンビ誕生の瞬間だ。行くぞ」
パトラ「あいよ」
即席コンビによるコントが始まりました。
「4大悲劇ってなんでしょう」
キングオブコントよりもウケていました。
次に大瀬「アドリブでつないでもいいですか』
久部「今日だけは許す」
追い剥ぎのネタで独壇場。
久部は、口を開けて笑って立っているだけでした。
是尾の演技が始まりました。
伴さんが雪を降らせ、さらに時間を稼ぎました。
蓬莱が太鼓を叩くのを手伝いました。
客席の樹里が論平に「ステージに上がって」
論平は毎日見に来ていたので、トニーのセリフを覚えていました。
待望のリカとの絡みが生まれました。
タクシーが到着。
久部は「そいつは偽物だ」と叫び、論平と舞台の袖に引っ込みました。
トニーはそのまま舞台に上がり「花の女神フローラだ」
しかし、警察に追われていました。
オーナー「わたしはとりあえずドロンします」
双子の兄の乱太郎に罪を押し付けました。
この日の芝居が終わりました。
トニー「皆さんにご迷惑を」
大瀬「むしろ楽しかったです」
フォルモンがみんなを焼肉に誘いました。
大門「事務所に警察が来ています。トニーを引き渡すようにと」
久部「裏口から逃げてくるださい」
大瀬「こういう場合、警察はどの出口にも人を配置しているはずです」
トニー「行くしかないだろ。自首する」
パトラ「それがいいかも。この人言い出したら聞かない人だから」
久部「そんなんでいいんですか」
フォルモン「八分坂にいた人間はどっかで腹くつくつてんだ」
トニーも泣いて「結局舞台に穴を開けることになってしまいました。申し訳ない」
久部「全ては僕の責任です。行かせるべきじゃなかった」
トニー「先生に渡しておきたいものがあります。このテープに今夜の一部始終が録音されている。使ってください」
大門「俺たちも危ないんじゃないか」
蓬莱「警察は劇場関係者だとは知らないはずです。ストリップを見に来た客ということでどうでしょうか」
久部「それだ」
大門「そんなやつはウチにいません」
警部「見た人間がいるんだ」
劇場を守るため、トニーはただの悪質な客のふりをして大捕物を演じてみせました。
劇団員もみんな付き合う。芝居をしました。
警部「あれは誰だ」
大門「うちの常連です」
大瀬が逮捕に一役買って出て、警部は大喜び「どちらの管轄の方ですか」
大瀬が答えを躊躇していたら、タイミングよくトニーが暴れてくれ、その間に大瀬は雲隠れ。
パトラがトニーをピンタする演技をして「この変態。顔も見たくないわ。早く連れてって」
パトラは涙をこぼしました。
久部「みんなもいい芝居するなあ」
事務所でカセットを視聴。
すっかり舞台俳優になっていたトニーは会社名を名乗っていました。
大門「このテープを警察に渡せばでオーナーは終わりです」
久部「僕に考えがあります」
蓬莱の独り言「波乱に満ち溢れた夜が終わろうとしています。誰もが眠れないほどの夢を見ました。僕はあの時叩いた太鼓のことを生涯忘れないだろう。劇場はこれからどうなるのだろうか。久部さんは僕たちをどこへ連れて行くのだろうか」
樹里が久部に「あなたに会いたいって人が、テンペストにいます」
マスター「お待ちだよ」
久部「久部ですけど。失礼ですが・・・」
「蜷川幸雄です」と名乗りました。
★放送は1週休みになります
