離婚したとき、
「○○の妻」「○○家の嫁」から解放されてとても嬉しかった。
金にもならない社会的にも認められない足かせでしかなかったからだ。
(今はまた同じ肩書きに「○○の母親」が加わってしまった)

ひとりになったとき、
これから何をやって食べていこうかと思った。
自分で勝手に決めたので実家には帰れないし、
ホームレスという肩書きもよぎった。

色んな会社にも問い合わせたし、
知ってる会社の営業さんにも「仕事と住む家を探してる」と聞いてみた。
「僕が紹介しますよ」と言ってくれた人は、
代わりに愛人契約を提案してきた。

それもいたしかたないか、と思った。
「○○の妻」「○○家の嫁」より、
「愛人」や「娼婦」の肩書きのほうがましだと思った。
それぐらい私は結婚に疲れていた。
今もそっちのほうがましだと思うときがある。

(結果的には当時の人材派遣会社の所長さんが間に入って生活を保証してくれた)

大学時代も色んなアルバイトをしていたから、
どんな仕事でも来るなら来いだった。

天王寺動物園の売店と塾の講師と、
合間にパソコン雑誌に漫画の連載と、
夜はカラオケスナックのホステスの掛け持ちをしていた。

私は売店では「姉ちゃん」で、
塾では「先生」で、
スナックでは「ホステスさん」だった。
肩書きに意味はない、全部「私」だ。
だが、他人は肩書きに寄って「私」に対する言葉や態度を変えた。

小銭を投げてよこした人も、
「先生、先生」と誉めちぎってきた人も、
口汚く卑猥な言葉で罵ってくる人も居た。
私は一貫して笑いと冗談で返していたが、
心の中では、
これだから誰も信用できないと思っていた。

天王寺動物園のそばには新世界があって、
まだ区画整理前だったから、
ホームレスがゴロゴロしていた。
大阪のホームレスはみんな和気あいあいで、
ラジカセ大音量&カラオケマイクで毎日歌い踊っていた。

「こういう人生も悪くない」
私にはそこが地上の楽園に見えた。
私は仏教学校に7年も通っていたが、
「お釈迦様だって嫁と子供を捨てた、
ただのホームレスだ」と思っていた。
この人達となんら変わらない。

こう書くと、またTwitterみたいに「あなたは間違っている。妻と子供の幸せなんかより、お釈迦様がどれだけの人々を救ったか!あなたは視野が狭い!」との反論や指摘も飛ぶだろうが、
うっせーよ!
そんなもん当然知っとるわ!
仏教学校7年通って、
体臭が線香臭くなってから言え!
朝っぱらから、
ぶっだーん、さらなーん、
がっちゃーみー!
って毎日言わされてみ?
仏陀のばーさんの名前は、
マハーパジャパティってテストに出るって知ってて言ってんの?え?
どっちがいいとか悪いとか優劣なんかないからな!
ばーか、かーば!ぺっぺーだ!
(仏陀は修行を終え妻と子供に詫びたが、
「お前も修行の旅に出ろ」と自らの乞食椀を息子に渡した)
嫁とか母親の立場からするとゲロゲローン😱💦


後に、
スピリチュアルを知り、
やはり神仏だけを崇め奉るのでは片手落ちで、
全ての衆生の人の中に神仏の姿を見るというのが「本当の悟り」だと知った。 

肩書きなんか関係ない、
何を持って「成功」というのかはわからない。
社会的な「成功者」が幸せとは限らないのだから。
有名会社の社長でも不幸な人はいるし、
ホームレスでも幸せな人はいる。
「成功者」と「成幸者」は違う。


離婚した当時、
籍を置いていた人材派遣会社から紹介された仕事で、
「あなたにピッタリよ」
と言われて某有名人形店に勤めたことがあった。

百貨店でもスーパーでも、
小売店でも薬局でも、
健康ランドでも地方の温泉宿でも、
「飛べ」と言われれば生きるためにどこへでも飛ぶしかなかった。


そこは思いがけず、
雛人形や五月人形に囲まれた、
きらびやかで楽しい仕事で、
待遇もお給料も良くて、
「人形コンサルタント」
という名刺を持たされた。
客層も良く、みんな羽振りが良かったから、
ずっとここで働きたいと思った。

でも、ある日突然、
店長から「今月いっぱいで契約終了」と告げられた。
ショックで何が起こったか良くわからなかったが、
派遣社員だったので契約切りには慣れていた。
店長は「ごめんね、僕たちも飛ぼうと思ってるんだ」
と私に臨時ボーナスをくれた。

そして最後にカラオケに行こうと誘われた。
店長とその相棒のSさんと3人で盛り上がっていたとき、
「だりあちゃん、生活に困ってるなら、
僕達と一緒に韓国に飛ばない?
ナイキの偽物を作る仕事なんだ」
と言われた。

「いくらなんでも韓国は遠すぎます」
「だよねー」
冗談だと思ってたけど本気だった。
その数日後店長とSさんは店の売り上げ金を盗んで消えた。

今頃、韓国でコピー商品を作って儲けているのかもしれないし、捕まってるのかもしれない。
私も危うく片棒担いで犯罪者になっていたかもしれないなぁ。


その数年後、
私は某占い館に居た。



震災の影響で、観光客の減った横浜中華街から、
大阪に出稼ぎに来ていた占い師さんが居て、
「だりあさん、もう家賃が払えないんだ。どうしたらいい?」
と聞かれた。

うちの占い館も儲かってなかったから、
占いだけで生計を立てるのはまず無理だった。

「占いは副業というか趣味の範囲内で留めておいたほうがいい。
お金のためにやるとロクなことにならないからね」
と私は言った。
「そんなぁ」と彼はうなだれた。

私はカードを切って並べた。
最終結果の位置に愚者が出た。

「未知なる世界への旅立ち」
「今とは全く違う仕事をやったほうがいいよ、ちょっと危ない橋を渡るような、例えば…」

何故だか、某人形店の店長のことが浮かんだ。
「韓国でナイキの偽物作るとか」

「僕、韓国に友達居ます!聞いてみます!」
と驚くべき答えが帰って来た。



彼がその後、
韓国に飛んだかどうかは神のみぞ知る。

「マシンガンをぶっ放せ」Mr.Children

聖者も凡人も犯罪者も紙一重だ、
大差ない。