久しぶりに会うお前の姿。
真っ赤なワンピースだった。
オレは思い出す。
お前の口癖を。
『闘う時は赤い服を着るのよ』
オレと食事するのは闘いなのか。
覚えているぜ。
お前がワインが苦手なことも。
ホテルのレストランなんて嫌いなことも。
けれど別れの舞台に選んだのはお前だな。
オレに合わせたつもりか。
そんなもの意味はないというのに。
無邪気に笑うお前が好きだ。
俺では不満だったか。
怒りも悲しみもない別れ話。
最後の言葉は。
お前が。
飲み込んだから。
無言で去ろうしたオレの服を掴んだ。
振り返れば、自分の手に驚くお前。
その手に口づけて。
さようならを言えない。