昨夜、さくが大きな声で泣いた。


さくは言葉を持たないから、要望が伝わらない時、大きな声で泣くことがある。

赤ちゃんの頃は、呼吸も弱くて、かすかに聞こえるほどの泣き声だったけど。

それが今では驚くほど大きな声になった。

でも私は、そこで「ヨシヨシ」なんてしない。

私は本気で説教する。

「あんたなぁ。

何度も言うけど、それ続けてたら自分の人生潰すで。

言葉を持たないことと、中身が赤ちゃんのままなのは違う。

泣いたら伝わると思ってたら、ずっと赤ちゃん扱いされる。

ちゃんと伝える努力をしなさい。

それでも伝わらないなら、もっと伝わる方法を考えなさい」

さくは神妙な顔になって泣きやむ。

厳しい母親にみえるかもしれない。

でも私は、さくのことを「考えられない子」だと思ったことがない。

言葉がなくても、考える力はある。

工夫する力もある。

伝えようとする力もある。

だから私は求める。

障害があることと、成長しないことは違う。

言葉を持たないことと、考えないことは違う。

そしてこれは、さくだけの話ではない気がする。

私たち大人もまた、

「伝わらないから仕方ない」

で諦めてしまうことがある。

でも本当は、

もう一歩工夫できるのかもしれない。

もう一度伝えてみる方法があるのかもしれない。

さくに向かって話しているようで、

実は私自身にも言い聞かせている言葉なのかもなぁ。

でも、ついこの笑顔にはほだされてしまう。