咲耶の持ち物や服は、できるだけ可愛いものか、面白いものを選ぶようにしている。
理由は単純。
咲耶は鼻にチューブをつけている。
だから外出すると、時々、見ず知らずの方が顔を曇らせながら近づいてきて、
「かわいそうになぁ」
と声を掛けてくださることがある。
もちろん悪気はない。
優しさから言ってくださっていることも分かる。
でも私は、少しだけ違うことを願っている。
どうせ声を掛けてもらうなら、
「その服かわいいね」
とか、
「そのカバン面白いなぁ」
とか、
笑顔で話しかけてもらえたら嬉しい。
なぜなら、咲耶は「かわいそうな子」ではないから。
鼻にチューブはついている。
医療的ケアもある。
できないこともたくさんある。
それは事実だ。
でも、それだけが咲耶ではない。
よく笑うし、
気に入らないことがあればちゃんと怒るし、
塩絵も描く。
私にとっては、とても魅力的な一人の女の子だ。
だから私は、服を選ぶ時も、
まず「障害児らしく」ではなく、
「咲耶らしく」を選びたい。
実は、その服選びの担当は私ではない。
ほとんどの場合、まひねーね。
咲耶の服や持ち物には、ハンバーガーやポテト、ドーナツなど、食べ物のキャラクターがよく登場する。
顔がついたジャンクフードばかり。
なぜそんなものを選ぶのか、改めて聞いたことはない。
でも私は知っている。
咲耶は長い間、口から食べることができなかった。
みんなが当たり前にしている「食べる」ができなかった。
だからきっと、まひねーねなりの願いがあったのだと思う。
食べられないなら、
せめて食べ物を身近に置いてあげたい。
そんな気持ちだったのではないかと思う。
今では咲耶も、少しずつペースト食を食べられるようになった。
そして最近では、ハンバーガーを丸ごと一個、ペーストにすれば食べられるようになった。
小さい頃からハンバーガーの絵が描かれた服を着ていた咲耶が、
本物のハンバーガーを食べている。
そんな姿を見るたびに、
私は少し胸が熱くなる。
あの頃は想像もできなかった。
でも、まひねーねはどこかで信じていたのかもしれない。
だからハンバーガーを選んでいたのかもしれない。
ちなみに、鼻のチューブを固定するシールにも絵が描いてある。
それも、まひねーねの担当だ。
今日は何の絵だろう。
そんなことを見てくれる人が増えたらいいなと思う。
チューブより先に。
障害より先に。
咲耶という一人の女の子を見てもらえたら嬉しい。
だから今日も、咲耶のファッションは少し賑やかです。