原田マハさんの『あなたは、誰かの大切な人』をようやく読むことができました。
家族が入院したときに院内の販売所というのでしょうか、そちらに並んでいて表紙のクリムトの絵の繊細さが際立つカバーに惹かれて読みたいと思って購入したものの、家族の様子などが気になって気がそぞろになってしまって結局読み進めることができず、願掛けのように一度本を閉じて本棚に並べて出番をお待たせしてしまっていた一冊でした。
おかげさまで家族の様子も落ち着いてしばらく経ち、わたしの気持ちもこちらの本に対して意欲的になれたので今が読みたかった時期だったのだと思うことにしました。
購入した当時〝無用の人〟という一遍から読み始めて取りやめてしまったのですが、そのときのことと重なって見えるシーンがあったりして少し胸が詰まりました。
読んでいるとその光景が鮮明に描けるような感覚になる、劇的な激しさがないのに一冊のうちに何度も涙腺にくるものがあり、一冊全てを読んだあとでは優しく包まれるような穏やかな凪のなかにいるような心持ちになりました。
文庫本刊行に寄せて原田マハさんのメッセージも掲載されていたのですが、そちらも穏やかな風を感じられるようなあたたかいもので救われる思いでした。
作品名にはじまり、言葉にも愛が込められていると感じられる言葉と描写の美しさによって、より胸を打たれたのだと思います。
限りある時間のなか生きている誰もが大切に想われているかけがえのない存在なのだと思わせてくれる、心温まる一冊でこれから何度も読み返すはずです。これから原田マハさんの作品にたくさん触れていきたいと思います☺︎



