今年も年賀状をいただいた。
当然、その絵柄は申。
実家の両親の元へも、親戚、友人、仕事関係の方々からの年賀状が届いたようだ。もちろん、申の絵柄。
私は年末年始を実家で過ごしていた。
年明けの昼下がり、コタツに入り、家族でくつろいでいた。
母は届いた年賀状を眺めている。そして突然つぶやいた。
「サルって…」
私は小説に夢中になっていたが、思わず顔を上げて母を見た。
「えっ?!」
「サルって、なんかなぁ…」
「サルって…なに?」
「なんかパッとしないよねー」
年賀状を眺めたままの母から、不満げな声が返ってきた。
どうやら本物の“猿”がどうこうではなく、年賀状に描かれている“申”の絵柄がどれもお気に召さないということのようだ。
「だって、ウサギはもっと可愛らしいし、トラはパッと華やかだし~」
母は人生で少なくとも5回は申年を迎えている。
12年に一度、こんな風につぶやいていたのだろうか。
そんな母の姿を想像すると、笑いが込み上げてきた。
私は今まで届いた年賀状の絵柄に対しての好みはあっても、他の干支のそれと比べて感じたことは無かった。
というより、年賀状の主役はそこに書かれているご挨拶のメッセージだと思い込んでいた。
感性を必要とする仕事をしている私よりも母の感受性は豊かなようだ。
母の視点は、時々、笑いを誘う。
