睦美、階段からリビングに。
耀司、まだスマホを耳に。
「えぇ。僕もそんな風に聞いてます。はい。」
睦美の顔を見て眉間に皺を寄せて下唇をビロン。
そんな耀司を見て睦美、クスクスと。
カウンターに置いておいてくれた買い物袋を持ってキッチンに。
耀司、
「あ~~、えぇ。はい。…とにかく、ほんと、流行ってますよね~~。午前中に行った病院の先生からも。……えぇ。はい。」
そして…。ようやく1分後に。
「はい。失礼しま~~す。」
通話は切れる。途端に耀司、テーブルにガックンと。
「勘弁してくれ。あぁだの、こぅだの。あ~~。」
テーブルの上に前のめりで。
睦美、蛇口から水を。そして、手を洗って。
「もしかして…、芙美花さんの友達の…。」
前のめりのママで耀司、
「あぁ…、うん。」
そして、顔を上げて、
「詩乃ちゃんって子がいるんだけど、芙美花同様に、今、インフルなんだ。それでね~~、芙美花ちゃんの具合どぉ…???…って。それから永遠に20分。いや。俺にママさんたちの話し、言われても困るって。」
睦美、
「えへ…???」
「他に、景織子ちゃんと千愛ちゃんって子いるんだけど、そのふたりのおかあさんの話まで…。いやいや。分かんないって。」
睦美、可笑しがりながら、
「そうでしょうね~~。」
前のめりのままの耀司、ようやく体を戻して睦美に、
「うん…???」
そんな耀司に睦美、
「あん。女性同士の会話ならともかく、その相手が女性。それに、殆ど会う事がない。…けど、おかあさん同士ではしょっちゅう電話で話をしている。そういう時と同じように男性に話しても、男性からすれば、ある意味、話に付き合わされてるっていう事になりますから。」
途端に耀司、
「そぅっ!!!…そうなの。そうだよね~~。そういう事~~。うんうんうん。」
と、そこまで言って、
「うん…???」
顔を僅かに傾げて、
「睦美さん。…良く分かるね。そういうの…???」
睦美、まな板を出して包丁を出して、
「えぇ。」
そして、僅かに顔を傾げて、
「私も、音楽教室に通っているママさんたちと、月に2回程度、ランチ、してますから。」
いきなり耀司、目を真ん丸にして、
「へぇ~~。そうだったんだ~~。」
「えぇ。向こうから誘ってくれたんですけど。…でも。…それがなかったら、本当に私、音楽教室と家の往復だけ。だったんです。」
耀司、睦美を見て、
「ふ~~ん~~。」
睦美、
「今日は、メインは天婦羅。」
耀司、ニッコリと。
「わお。」
睦美、
「芙美花さん、病院。」
そして、耀司を見て。
耀司、ニッコリと、
「うん。午前中に行って来た。」
ニコリと睦美。
耀司、
「ははは。まっ。本人も行かなきゃって感じだったから。」
「うんうん。」
「とにかくも今も、しっかりと休んで。」
「そうですねぇ。」
「ニット帽に、ダウンジャケット。そしてマフラーして手袋。それにマスクと。完全防備。」
思わず睦美、
「はははは。何だか可愛らしい~~。」
耀司を見て、
「それでなくとも芙美花さん、可愛いから~~。」
耀司、微笑みながら、
「でさ。病院に行ったら、何々、30分程度で全て終了~~。」
いきなり睦美、耀司を見て、目を真ん丸にして、
「うそ。普通、1時間は待たせ。」
耀司、目を瞑って顔を左右に。そして…。
「保険証とマイナンバーカード出して、お願いしますって言ったら、それだけで、宮前から聞いてますって言われて、それからは10分も待たないで名前呼ばれて。」
睦美、目を真ん丸にしたままで、
「凄っ。」
「診察室に入ったら、今度は。」
ニコニコと。
「高井戸君にはお世話になりましたって、先生も看護師も、俺と芙美花にお辞儀してくれて。」
睦美、
「あぁ~~。亡くなった奥様の~~。」
耀司、にこやかにしながら頷いて、
「うん。なんだろうね~~。」
「亡くなった奥様の影響力、凄ったんですね~~。」
耀司、唇を締めて、
「うん。ありがたかった。先生や看護師さんからもあんな風に言われて。祐里子、みんなに愛されてたんだって。つくづく感じたわ。」
その声に睦美、ニッコリと。
すると、僅かに沈黙。
何かしら耀司、その時の余韻に浸るように…。
…そして、チラリと睦美を…。そして、睦美に、
「…でね。」
睦美、素材に包丁を入れながら耀司を見て、
「あ、はい。」
耀司、睦美に手招き、
「ちょっといい…???」
また睦美、
「あ、はい。」
エプロンで手を拭きながらキッチンを。そしてテーブルに。
耀司、睦美に椅子に座るように手を。
「病院から出て薬局に。」
睦美、コクリと。
「うん。」
椅子に座って。
耀司、
「…で。一応、師長に報告。」
睦美、
「あ~~。宮前師長。」
耀司、コクリコクリと、
「うんうんうん。芙美花、受診、終了しました~~って。」
睦美もコクリコクリと。
「うんうんうん。」
「でね。」
耀司。
「そのまま、スマホを芙美花に渡したのよ。」
睦美、
「あぁ。えぇ。はい。」
「そしたらさ。」
耀司、途端に顔をあちらこちらに。唇も搾ったり、噤んだようにしたり、何となくぎこちなく…。
…思わず、クスッ。と噴き出したように、
「…そしたら…。」
睦美、僅かに眉間に皺を、顔を傾げて、
「うん…???」

ママでいい…。 vol,317. 「祐里子、みんなに愛されてたんだって。つくづく感じたわ。」
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