そして…。高井戸家の玄関のチャイムが…。
リビングで雑誌を見ている芙美花。
キッチンでは汐梨。
「あ、睦美さんだ。芙美花~~。」
芙美花、その声に、目を真ん丸に、
「うんうんうん。」
そしてモニターに。
「は~~い。開いてま~~す。」
すぐさま玄関に。
ドアを開けて睦美、芙美花に、
「こんにちは~~。」
笑顔で。
芙美花も、
「こんにちは~~。いらっしゃ~~い。」
汐梨、キッチンでニコニコと。
睦美、芙美花に、
「うんうんうん。期末で友達の家で勉強会。」
芙美花、
「4人でだよ、4人で。だから、睦美さんに会えなくって~~。」
睦美、ニコニコと、
「はははは。」
汐梨、睦美に、
「いらっしゃい。」
睦美、汐梨にお辞儀をして、
「また、来ちゃいました。」
汐梨、顔を横に、
「ううん。大歓迎~~。今、兄さん、自転車で近くのスーパーに買い物に行ってるから。」
スーパーで耀司、
「マヨネーズ、マヨネーズっと~~。お~~っと、これ~~~。へへへへ。」
すると…。
「耀司。」
その声に耀司、ビクッ。
「えっ…???」
声の方に振り向くと、
「えっ…???…うそ。師長~~~???」
師長と呼ばれた女性、
「ははははは。久し振りねぇ~~。こんなとこで会うなんて~~。」
耀司、
「いっ…???」
顔を傾げて、
「…へっ…???…でも、師長、家、全然違うじゃないっすか~~。」
「はははは。従妹の転職祝いでね~~。こっちに来ちゃってた~~。ははは。元気~~???」
耀司、その声にニコニコと。
「はははは。」
そして頷いて、
「えぇ。元気ですよ~~。」
すると、後ろから、
「おばさん。」
その女性を見た瞬間に耀司、
「祐里子っ!!!」
耀司の前にいる女性ふたり、ひとりは祐里子の生前、
勤務していた杉並総合病院の内科病棟の看護師長、宮前恵津子(みやまええつこ)である。
そして宮前の後ろに現れた女性、従妹の坂下麻友(さかしたまゆ)である。
耀司、その女性を見ていきなり、「祐里子」と口に出たのもそのはず。
とにかく、祐里子に似ているのである。
その女性、男性を見て、
「こんにちは。」
と、ペコリ。そして、
「何…???…おばさんの知り合い…???」
宮前、
「あん。知り合いと言うより、ある種、友達のひとりねぇ~~。」
その声に耀司、照れ臭そうに、
「またまたまた~~。」
けれども、
「…っと、言うか。」
宮前に近づいて右手を右頬に、
「そんな風に言って貰えて、ありがたきしあわせ。」
「な~~に、言ってるの~~。一緒にすき焼き、突っついた仲でしょう~~。」
耀司、照れ臭そうに、
「いやいやいや。ごもっともです。」
祐里子の生前、看護師になって、一番面倒を見てくれたのが宮前。
同期の看護師も3人いたのだが、勤務して半年、1年で勤務のきつさを理由に勤務離脱。
…と、言うより、祐里子の勤務態度が同期のどの看護師よりも勝っていたのだった。
当然ながら、そんな祐里子を同期は嫉妬して陰口を叩くが、
それでも祐里子は堂々と、「お構いなく主義」
そういう精神を貫いていると、先輩看護師にも愛され、
師長の宮前には厳しいながらも看護師の何たるかを仕込まれた。
他の看護師たちは、祐里子を教育するのが宮前と考えるようになり祐里子に一目置くことになる。
そして、看護師たちの食事会にもちょくちょく誘われ、意気投合。
余談ではあるが、祐里子に合コンを誘った同期の看護師は勤務1年で退職している。
そんな祐里子が見染めた男性、高井戸耀司を初めて他の人に紹介したのが宮前だったのである。
その後は祐里子の誘いとあって、何度も何度も祐里子のアパートで3人で食事をする仲にもなっていった。
耀司を呼び捨てにするのもその所以である。
宮前、麻友に、
「この人、高井戸耀司さん。ほら、あなたにも話したでしょう、ウチの病院の高井戸祐里子。その人の旦那様。」
麻友、
「あ~~。うんうんうん。」
そして、目の前の男性に丁寧にお辞儀をして、
「初めまして。坂下麻友と申します。」
耀司もペコリと。
「初めまして、高井戸耀司と言います。」
頭の中で、
「…何々。びっくりした~~。祐里子だと思った~~。何とも面影、そっくりじゃん。」
宮前、
「何…???…耀司、あんたが買い物…???…凄~~い。芙美花ちゃん、元気~~???」
その声に耀司ニコニコと。
「はい。しっかりと~~、元気です。」
麻友、
「お嬢さんねぇ~~。」
耀司、そんな女性に、
「おや。ご存じで。」
ニコニコと。
宮前、
「当たり前じゃない。私と祐里子のあんたの仲だもん。しっかりと教えちゃってます。どお…???…その後、仕事の方。」
耀司、またまた照れながら、
「えぇ~~。お蔭様で~~。貧乏暇なし。」
「な~~に言ってんだか~~。Webデザイナーが~~。はははは。…って言うか。」
宮前、キョトンとして、
「家事出来ないあんたが、買い物…???」

ママでいい…。 vol,176. その女性を見た瞬間に耀司、「祐里子っ!!!」
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