ハンドのリーダーはピアノの緒方邦治(おがたくにはる)ではあるが、
コンサートの間中、常にセンターでサックスを演奏しているルマンダ・蛯原(ルマンダ・えびはら)がコンサートを仕切っている。
しかも、この人は歌も歌えるのではないかとも思わせる美声の持ち主で、
聴く人の耳に心地良く届く声。衣装も派手ではなく、確実に動きやすい服装で。
ギターとベースとの楽曲を通してのパフォーマンスも絶好調で、
演奏された楽曲毎に割れんばかりの拍手喝采がホール内を包み込んでいた。
最後の曲はバラード。そしてアンコール曲は2曲。
4人は知らなかったが、この2曲のどれもが知る人ぞ知る国内でも大ヒットした曲なのであった。
耀司、
「終わったか~~~。」
晄史、
「ですね~~。」
誓、
「何だか、まだまだ興奮冷めやらぬって感じ。」
耀司、そんな誓の声に、
「ははははははは。」
そして、
「さてと…。」
3人に顔を。
「これから、皆さん、ご予定は…???…もしなかったから、一緒にお食事。」
晄史、高井戸を見て、
「いいですね~~。」
誓も、高井戸を見てニッコリと。
「うんうんうん。」
睦美は黙ってまだ前を…。
そんな睦美を見て耀司、
「睦美…さんは…。…うん…???」
黙って前を向いている睦美。
晄史が、
「姉さん…???」
誓も、
「お義姉さん…???」
耀司、再び、
「睦美さん…???」
その声に睦美、ようやく気が付いて、
「えっ…???…はっ…???」
高井戸を見て晄史を見て。
晄史、姉に、
「姉さん、これから高井戸さんと一緒に食事。」
睦美、その声に、
「あ、あ、あ~~~。」
瞬きをして…。
「あの…。」
睦美、高井戸に、
「あの。…すみませんけど…。ちょっと用があるんですけど…。」
耀司、その声に、
「あ、はぁ…。」
晄史、姉に、
「姉さん…???」
睦美、
「ちょっと…、ごめんなさい。少し、時間頂戴。」
その声に耀司も晄史も、
「え…???」
そのまま席から腰を上げて、
「ちょっと私、行くとこある。」
晄史の前、そして誓の前を…。
晄史、
「ちょっと、姉さん…???」
誓も、
「お義姉さん…???」
睦美、晄史と誓に、
「ごめん、ちょっと待ってて。」
そして…、そのままホール内の通路を。
晄史、
「あ、あ。…行っちゃった~~。」
顔を傾げて、
「どうした…???」
誓を見て。
誓、顔を左右に、
「分かんな~~い。」
晄史、高井戸を見て、ペコリと。
「すみません。」
耀司、その声に、右手をヒラヒラと、
「いえいえ。…けど…、睦美さん、何…???」
小走りに通路を行く睦美の後ろ姿。
けれども、すぐさま他の人の姿で消えて。
晄史、
「どうしたんだろ…。」
耀司、
「とにかく…。ここで待っていても…。…出ますか。」
晄史、誓、
「そうですね。」
「ですね~~。」
ホールの外に睦美。そして、アチコチ探して…。スタッフらしき人に、
「あ、あの…。」
スタッフ、
「あ、はい。」
「マテリカルゴールドの控室って…。」
「あ~~。はい。…あの。ご案内致しましょうか。」
その声に睦美、
「あ、はい。ありがとうございます。」
「別の方になりますので。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
スタッフ、もうひとりのスタッフに、
「案内してきます。」
そして、
「こちらからです。」
2階のロビーは客でごった返している。
その中をスタッフに伴われて…。
その時、晄史が睦美を見つけて、
「あ、姉さん。」
睦美、その声には気付いて晄史にニコリと。そして右手を掲げて…。
晄史、
「姉さん、何処に…???」
誓、
「今、誰かの後ろを…。」
顔を傾げる。
耀司、
「少し、ここで待ってましょう。」
晄史、
「あ、はい。」
マテリカルゴールドの控室。既に何人かのファンが…。
メンバーたち、そんなファンの色紙にサインを。
その時、ひとりの男性が…。
「うん…???…もしかして…、眞鍋ちゃん…???」
ドラムの池内稜平(いけうちりょうへい)である。そしてリーダーの緒方に、
「おぃ。あれって…。眞鍋ちゃん…???」
すると緒方、稜平の向いている方向に顔を。
「えっ…???」
すぐさま笑顔で、
「はは。」
稜平が今度はベースの佐名木原神谷(さなぎはらこうや)とギターの結城匠哉(ゆうきたくや)に。
ふたり、共に、睦美の顔を見て手を。
そしてふたり共に、
「緒方~~。」
緒方、
「おぅ~~。はははは。」
睦美、メンバーから合図されてそのまま。
ファンは色紙にサインを貰って大喜び。そしてスマホで写真を。
握手をしてメンバーから離れる。
ふたりくらいのファンに…。
睦美、メンバーたちに近づきお辞儀を。
緒方、
「ちょっと待っててね。」
そして、最後のひとりとスマホで写真を。握手して睦美の前を…。
稜平、
「いやいやいやいやいや。眞鍋ちゃん。うん。はは。久し振り~~。と、言うか、ご無沙汰…???」
緒方、
「何々~~。元気だった~~???」
傍にいるルマンダだけが口を噤んで目をパチクリと。
ギターの結城匠哉(ゆうきたくや)。ルマンダに、
「紹介しよう。」

ママでいい…。 vol,107. 耀司、「終わったか~~~。」晄史、「ですね~~。」
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庄司紗千「おふろ月夜」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
