真宮、
「まっ。だ~~な。」
顔はそのままで、チラリと目だけを池辺に。
微笑んでいる小埜瀬。
そして真宮、
「…では…、池辺課長、私は…、この辺で…、いいかな…???」
瞬間、池辺、ビクンと。そして、少なからずも頭の中に過る言葉、
「…うそ。ここでバトンタッチって…。」
そして…。こちらも目だけ、あちらこちらに…。けれども、
「あ、え~~~。あ、はい。」
内心、緊張感は募るが…。
「わ…かりました。」
真宮、口を噤んで、
「…では。よろしく。」
右手を立てて、下して、そのまま踵を返して振り向き、ドアの方に。
瞬間、静まり返るトラディショナル事業部。
廊下側ではなく、事業部の内側のドアが開き、中に入る真宮。
小埜瀬、そのまま笑顔の表情で…。
池辺、スタッフ全員を見ながらも頭の中で、
「…さ~~て…。」
再び、あちらこちらに目を…。
その時。瞬間、頭の中に聞こえてくるような声、
「…課長、しっかり。」
いきなり眉間に皺を寄せる池辺。そして、頭の中で、
「…えっ…???…今の誰の…。」
すぐさまスタッフ全員を。
すると…。そんな池辺の視線にひとりの目が。そして口を真一文字にして僅かに頷く顔。
池辺、また頭の中で、
「…優維香…???」
すると…、今度は次々に頭の中に…。声が…。
「課長。」
「課長。」
「課長、しっかり。」
同じような声が。…そして、全員を見回すと、その全員が、それぞれに僅かに頭を…。
池辺、思わず、眉を上に、
「…何…???…これって、テレパシー……???」
その間、僅かに5秒程。
まだにこやかな表情のままの小埜瀬。池辺、目をパチクリと。…そして…。
「はい。…では。」
体を動かす。
「それでは小埜瀬さん。隆英さん。こちらの、空いている席が、リーダー席になります。」
小埜瀬、にこやかに頷きながらも、
「ありがとうございます。」
瞬間、池辺、また頭の中で、
「…あ、そうだ。」
不思議に…。あれだけ電話の音が鳴っていた割には、全く、鳴らない。
それは部長室でも同じように。電話は…。
真宮、椅子に座ったままで、
「ふ~~~。半端ないぜこの緊張感。」
そして、口を噤んで、上体を上に伸ばすかのように、ス~~~ッと、息を吸って。
そして、今度はゆっくりと、吸った息を吐く。
「ふぅ~~~。」
池辺、
「…の、前に~~。」
小埜瀬、始終、にこやかのままで、
「はい。」
「自己紹介…。行きましょうか。」
その声で瞬間、またスタッフ全員に、緊張が走る。
…けれども小埜瀬、にこやかに、
「お願いします。」
賀寿恵、ノックをして社長室に。
「失礼します。」
七瀬、
「うん。…で、どうだった…???」
賀寿恵、目をパチクリと。そして顔を傾げて、口を真一文字に、
「まっ。…なんとか…なるかと…。…とにかく、真宮部長も小埜瀬さん。どういう人なのか、頻りに聞きたがってはいましたが…。」
「言わなくていい。」
「えぇ。」
賀寿恵、
「一言も。社長のご意思を忠実に…。」
その声に頷く七瀬、
「うん。」
そして七瀬、椅子から立ち上がり、
「さて。」
そして窓に…。
「どうなるか…。」
賀寿恵も、
「どうなりますか。」
池辺、
「リーダー席は、とにかく全員を見れるように配置はセンター。リーダー、つまりは主任と同じ扱いになりますけど…。」
小埜瀬、
「承知しております。」
「そして…。そのリーダー補佐してくれる役割の人が、チーフ。つまりは、係長と同等扱い。」
小埜瀬、目パチクリとさせて、
「あ、はい。」
「その人が…。こちら。ランダムな位置にあります。」
リーダー席からは離れた場所に。そしてそこに立つ女性。池辺、
「こちらです。」
池辺、優維香を見て、そして小埜瀬に、
「イベントの会場でも小埜瀬さんには彼女が最後まで…。」
瞬間、小埜瀬、
「あ。はい。」
優維香、口を閉じたままで…。
…けれども、会場で小埜瀬と一緒いた。その時のインパクトは、今は全く…。
池辺、優維香を前に、小埜瀬に、
「こちら、チーフの、柿崎優維香(かきざきゆいか)さん。」
優維香、けれども、ある程度の緊張は隠しきれない。小埜瀬を前に、
「柿崎優維香と言います。よろしくお願いします。」
小埜瀬、その女性に笑顔で、
「小埜瀬隆英と言います。よろしくお願いします。」
そして、自然に右手を前に。
優維香、思わず両眉を上に、そして目を丸く。…けれども、それも一瞬。すぐさま頭の中で、
「…あ、そっか。…海外…。」
自然に右手を…。
握手をするふたり。
小埜瀬、ニッコリと、
「よろしく、お願いします。」
そして、次から次へと。池辺、悠里の前で、
「冴島悠里さん。」
悠里も、小埜瀬に、
「冴島悠里です。よろしくお願いします。」
丁寧にお辞儀を…。
小埜瀬も、丁寧にお辞儀を。そして、右手を…。
悠里、半ば顔を赤く、そして右手を…。
友也、うずうずとしながら、
「緊張するな~~~。」
けれども、隣の亘夢は、
「ハハ。や~~っぱり。かっこいい。」

好きになれない。 vol,063. 「…うそ。ここでバトンタッチって…。」
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