「へぇ~~~。な~~るほど。そうなんですか~~。」
吉竹。
「じゃあ~~。今は、その、お子さんとは…。」
その声に小埜瀬、右手を振り、
「全然。何処で何をしているのかすら…。まっ。半年に一遍は…。電話…、掛かってきますけど…。今、日本にいるのか…???」
またまた吉竹、
「へぇ~~~ぇえ~。」
午後からのマーケティング事業部。
小埜瀬、課長席に収まり…。
…けれども、何故か…、事業部自体が…、ぎこちない。
静まり返る事業部。1時間経過。…そして…、2時間経過。
…とかく、休憩時間と言うものは原則として設けていない。
各々がモラルを持って、それぞれ好きな時間に休憩を取る。
いつもであれば…、事業部内でのメンバーそれぞれが、
仕事中でもリラックスして、仕事をしながらも、何処かしら休憩の延長にように…。
それでもしっかりとやるべき事はやっている。風な…、独特な雰囲気で…。
それが特色なのだが…。
確かに。その雰囲気づくりに貢献しているのが柿崎佐津香と言う大黒柱の存在がある。
…の、だが…。その…、佐津香自身も…、僅かに両眉の先端を吊り上げて、
両手中指を両こめかみに…。
そして、頭の中で、
「…ん~~~~。」
しかも…、ここで…。肝心なひとりが…。
なにやら、ある種、両手は動いているのだが…、体は…、マネキンになったように、
そして…、椅子から離れない。
確かに、トイレには一度席から離れて…、また戻って椅子に座り。パソコンに向かい。
…するのではあるが…。シニアマネージャーの愛結美。
佐津香、時折、目でメンバーたちをチラチラと…。
そして、いつもなら必ずや声を掛けて来る、はずの菜帆子にしても、全くの寡黙状態。
しかも…。
顧客との電話で、いつもであれば、流暢な例え話などで会話を盛り立てるはずの順平さえも、
何気に味気ない電話対応。
さすがに。佐津香。
「休憩入りま~~す。」
の、一言。
その一言に釣れられたように、菜帆子、愛結美、順平が、椅子から。
「私も。」
「少し、外れます。」
「トイレ…だな。」
佐津香に続いて3人が…。
小埜瀬、特に表情は崩さずに、
「どうぞ~~~。」
3人廊下に出るや否や。トツトツと歩く佐津香の後ろにいそいそと。
そして、コーヒーブースに。そして佐津香を追い抜いて…。
コーヒーブースに入りや否や、愛結美、テーブルに両手を、
「いや~~~~。」
菜帆子は椅子に座って、ダラリと。
「あ~~~~。」
順平は自販機に右手を着いて、項垂れながらも、
「いやいやいや。」
佐津香、
「ちょっと、ちょっと~~。他のみんなはまだ中に。」
その声に愛結美、目を瞑って口を噤んで、左手を振りながら、
「いや。今の時間、まず電話なんか、掛って来ない。」
そして…、
「半端ないわ~~~。」
菜帆子も、
「ねぇ~~~。ビシバシ、伝わってくるのよ~~。」
順平は順平で、
「何か、背中に感じる違和感。」
佐津香、そんな3人の声に、腕組みして、そして自販機のいつものボタンを押して、
「まぁね~~~~。」
愛結美、
「佐津香さんは、一番端の席だから~~。私なんて、もぅ~~真後ろ。」
菜帆子、その声に、
「うんうん。うんうんうん。分かる分かる。」
愛結美、目を閉じて顔を左右に振りながら、
「さすがに。感じるわ~~~。何かしらの威圧感。」
順平、
「えぇ。午後になってから、デンと、構えちゃってますから…。」
佐津香、カップを口に、
「確かにね~~。半年前までは、あそこに、愛衣(あい)ちゃんいたもんな~~。」
その声に3人が2、3度、頷く。
順平、
「全然違いますもん。」
佐津香、
「女と男。正に。…それに…、年齢も…。愛衣ちゃん、40。しかも…、40にして、部長だかんね~~。」
愛結美、
「あ~~~ん、愛衣ちゃんが懐かしい~~。」
その声に佐津香、
「かかかかか。愛されていたもんね~~。名前同様。まっ。でも、仕方がない。自分の古巣、大阪。しかも、課長から部長に昇格しての…。正に栄転。」
菜帆子、
「あ~~~ん~~。今更にして思うけど、戻ってきて~~~。」
そんな菜帆子に佐津香、
「かかかかか。そこまで言うか~~。」
ここで言う、愛衣(あい)とは、
勤続10年で東京本社に大阪支社より異動になってきた須賀野谷愛衣(すがのやあい)の事である。
佐津香とは16歳年下ではあるが、佐津香も認める仕事の出来る存在。
しかも、化粧品販売には右に出るものがいないほどに長けている。
そして、曲がった事は嫌いだが部下には温情があり、上層部にも言いたい事は言う。
そして、実に、理路整然な人物。
そして、何より、宴会好き。酔うと必ず関西弁丸出し。それでいて、声が正に声優そのもの。
そんな須賀野谷愛衣も、大阪に帰りたい一心で、東京本社で頑張っていたのだった。

好きになれない。 vol,017. 事業部自体が…、ぎこちない。
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