江梨子、そんな一樹の弁当箱を見つめて、
「わお。本格的〜〜。」
一樹、弁当箱を開けて、
「おぅ〜〜。」
江梨子、
「わ〜〜お。美味しそう〜〜。」
そこまで言って江梨子、
「えっ…???…って言うか、八倉先生…、確か…、家では…ひとり…。」
その声に一樹、
「…えっ…???…えぇ〜〜。まっ、そうなんですけど…。」
照れくさそうに…。
江梨子、一樹の弁当に詰められている…のを見ると。
そして目をパチクリ。顔を傾げて…。
そんな江梨子に、一樹、照らながら、そして笑いながら、
「いえいえいえ。小宮山先生…。確かに、家ではひとり。僕、ひとりですよ。」
江梨子、
「…なんだけ…ど〜〜。」
「かかかか。まっ、気になりますよね〜〜。」
江梨子、ポツリと、
「はい。気になります。」
「かかかかか。ストレートですね〜〜。」
そして一樹、
「あ、あの。誤解、してもらいたく…ないんですけど…。これ。」
弁当を見て、
「これ、これなんですけど…。実は。」
江梨子、右目を歪ませて、
「実は…???」
「この弁当…作ったのって…、弟なんです。」
途端に江梨子、
「はっ…???…弟…さん…???」
一樹、口を真一文字に、
「えぇ…。」
「いやいやいや。弟さんって…。うっそ〜〜〜〜。えぇ〜〜〜っ!!!」
いきなり口に両手の江梨子。
「あっ、いやいやいや。弟…さんって…。こんなに上手に…???」
「えぇ…。まぁ…。はははは。」
「なんで…???」
「いやいや。…その…。なんでって言われても…。」
「すっごい、美味しそう〜〜。」
そんな江梨子に一樹、
「まっ、ま〜〜。そう…ですよ…ねぇ〜〜。」
江梨子、目をパチクリさせながら…、
「あ、あの…。八倉…先生の…、弟…さんって…。」
その声に一樹、
「は、はい。料理人です。シェフ…やってます。」
「うそ———————っ!!!」
その声が大きかった。傍を歩いていた教師が、
「…ん…???どうかしました…???」
その声に江梨子、
「小松原(こまつぱら)先生、これこれこれ。」
小松原と呼ばれた教師、小松原格(こまつぱらさだむ)、物理の教諭である。
格、
「ほぅ…。美味しそうですね〜〜。…けど…、珍しいですね〜〜。いつも、コンビニ弁当か、どっかに…。…それに、八倉先生、確か、おひとりで…。」
一樹、
「そう…なんですけど…。」
「これ作ったの、八倉先生の弟さんなんですって。しかも、その弟さん、シェフなんですって。」
その話に格、
「い、え〜〜〜???…おやおやおや、凄いですね〜〜。」
一樹、
「いえね。実は、弟、神戸でレストランのシェフしてたんですけど…。…ある意味で言う、ヘッドハンティング…???…されちゃって、…今度オープンする都内のレストランのシェフに…、引き抜かれたんです。…で…、結局、オープン前に、こっち…、東京来て…。けど…、住むとこないから…、2日前から僕の家に…。まっ。かかかか、当分は…、居候的、感覚で…。」
江梨子、
「へぇ〜〜。そうなんですか〜〜。」
すると江梨子、
「な〜〜んだか、羨ましい〜〜。いつも。こんな美味しいの…食べられる訳じゃないですか〜〜。」
そんな声に一樹、
「かかかか。いやいやいや。…でも。部屋が見つかれば…出て行く訳ですから…。」
そんな一樹に、
「ん〜〜。でも、まぁ…、料理専門の人が作るって言うのは…。さすがに…。僕からしても、羨ましいですよね〜〜。」
格。
一樹、
「な〜〜に言っちゃってます〜〜。愛妻弁当が〜〜。」
小松原格(こまつぱらさだむ)、現在、新婚中。結婚生活、僅かに…、2か月。
そんな声に江梨子、
「ねぇ〜〜。羨ましい〜〜小松原先生〜〜。」
一樹、
「かかかかか。小宮山先生も、その内じゃあ〜〜、ありませんか〜〜。」
そんな一樹に江梨子、自分の弁当に戻り、
「だと…いいんですけどね~~。なかなかどうして…。出会いがねぇ~~。」
「うそ~~~。」
いきなり一樹、
「僕からすれば、男、放っておかないって…感じ、するんですけど…。小宮山先生。ねぇ~~。小松原先生~~。」
その声に格、
「えっ、え~~~。ははは。」
江梨子、思わずツンとして、
「新婚生活の人には、言われたくないですけどね~~。」
その声に格、頭を撫でて、
「あは…、ははははは。」
一樹、
「おやおや。」

信じて…良かった。 vol.012. 一樹、照らながら、そして笑いながら…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 きっと大丈夫
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
