テーブルの上のスマホに着メロ、
「…ん…???ナツ…???」
そして、
「はい、ナツ…。どした~???」
奈都美、
「トモさん…。」
元気のない奈都美の声。
朋代、
「あは…。どうしたの~~???…ん~~???」
奈都美、鼻水をグスリと…。
「翔の部屋に…優里亜…。」
その声に朋代、
「はぁ~~あ…???」
「翔の部屋に…。優里亜がいたの…。」
朋代、目をパチクリとさせて…、
「あ…、あ~~。…はい…???」
3時間前…。
優里亜、翔の部屋の隅でペタリと床に…。
翔、立ったまま…、頭の後ろを右手で掻いて、
「参った~~。…まさか…。」
優里亜、黙ったままで…。困った顔をしながら…。
翔、今度はベッドに腰を下ろして…。
優里亜、ようやく、
「…ナツたち…、翔の部屋…。」
「ううん…。」
顔を左右に振って、
「教えてない。」
「じゃあ…。」
「誰かに訊いたんだ…、俺の部屋。…カンちゃん、お忍び…って、言ってたから…。」
「お忍び…???」
「ナツには、かあさんと姉さんは部屋に来たって…言ってはあるんだ。」
「そぅ…。」
「ふぅ~~。」
優里亜、
「翔…、ごめんね…。」
「ごめんねっつったって…。」
そして右手で顔を撫でて翔、
「あ~~。」
「ナツたち、翔、見舞いに…。」
ベッドに仰向けになって翔、
「あぁ…。多分。」
優里亜、
「カンちゃんも、ナツも…、怒ってるよね~~。」
その優里亜の声に翔、
「あ~~。特にカンちゃんは…なんだか…分かる気がする。…ナツは…。ふ~~。完璧に…落ち込んでんな~~。」
そして右肘を下に、体を起こして。
「いやいやいや。参ったね。」
「ごめんね。私…。」
そんな優里亜に翔、口をへの字にして、そして尖らせて、
「仕方…ねぇだろ。実際、俺がこんな状態になってるから…、みんな…心配してくれて…。…おまえだって…そうじゃん。俺、料理…出来ねぇし…、しかも…左が…こんなだし…。」
「翔…。」
「ん~~…???」
「ごめん…。…私…、翔に…怒られるかと思った。」
「へっ…???…なんでだよ。」
「だって…。自分で勝手に、翔の部屋に押しかけて…、料理…作って…。」
翔、
「だ~~から~~。」
そしてため息を突いて、
「ふ~~。」
冷蔵庫を開けて、ウーロン茶を出して…。
優里亜、
「あっ、私、やる。」
立ち上がり、翔からウーロン茶のペットボトルを…。
「俺…、誰も恨んでねぇよ。怒ってもねぇし…。…逆に、助かってるよ。」
優里亜がグラスに注いでくれたウーロン茶を飲んで…。
その時、チャイムが…。
翔、
「えっ…???」
するとドアが開いて、
「な~~にやってんの~~。鍵も掛けないで~~。」
「へっ…???」
翔、
「姉ちゃん…???」
優里亜、
「お…、お姉さん…???」
泉美、靴を…、
「あれ…???」
自分の靴を脱いで、さささささ~と、リビングに。
「あっ。」
そしてにっこりと。
「こんにちは~~。翔の姉の泉美で~~す。初めましてです~~。」
泉美、翔の左に…、
「おっと。ふふん。可愛いじゃん。」
翔、
「姉ちゃん。」
優里亜、どうしたらいいのか分からず、とにかく、目の前の女性にペコリと、
「すみません。加瀬…優里亜と申します。」
そして優里亜、
「あ…、あの…。」
床に置いてある自分のバッグを持って、
「私…、帰ります。」
その瞬間、泉美、
「えっ…???」
優里亜、玄関に向かって、
「お邪魔しました。申し訳…ありませんでした。」
泉美、
「なんで謝んの…???」
立ち止まる優里亜。
泉美、そんな女性の傍に、そして肩を抱いて、
「ふん。いらっしゃい。シュークリーム買ってきた。一緒に食べよ。」
翔と女性の話を聞きながら泉美、
「そっか~~。だから…鍵…。うんうん。…でも、まっ、しょうがないよ~~。誰が悪いっていうものでもないし…。あなた…、加瀬…さん…だっけ…。」
優里亜、
「あ、はい。優里亜です。」
「加瀬優里亜さん。あなただって、翔の事…心配で、こうやってわざわざ翔の部屋に…。」

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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。