万美、翠に寄りながら…、
「な…んだか、凄い事に…なってきちゃってたり…、しない…???」
そんな万美に翠も…。
「…う…うん…。」
変顔しながら、
「…確か…、出張のメインは…、ウチでは…ないと…思って…たん…だけど…。あはははは。」
「それにしても…、かっこいい~~。背は高いし、イケメンだし。」
頭を振りながら万美。
呉羽からふたりが紹介され、それに応えるスタッフたち。
そして、その場から寺崎も流歌も呉羽から案内されるように、
「逢坂さん。」
翠に向かって。
翠、
「あ…、はい。」
そのまま6人揃ってゲストルームに。
「うんうん。あれが…、噂に聞く、草島流歌…嬢…。」
尋音。
向かいの橙、
「…嬢…???」
「うん。室長の…寺崎さん…。あの人の姪っ子さんなんだって、草島さん。」
橙、その尋音の声に、
「へぇ~~~。」
「しかも…草島さん…。ロンドの社長に、めっちゃくちゃ、気に入られているって…。この前、みど、言ってた。」
「まっ。寺崎室長自体…、ロンドの豊橋真奈美社長のお姉さんの息子さん。その息子のお姉さんの娘さんが、草島流歌。社長に気に入られるっていうのは…、当然。しかも、仕事も出来れば、統率力もあると言う。」
万美。
橙、
「へぇ~~~~。」
「それによ、それに。」
こそこそと橙の左肩に左手を掛けて、向かい側の尋音に向けて、
「寺崎室長、実際は、副社長にもなれる人材だってのに、取締役のポストすら蹴ってるって…噂だから。凄い実力者。」
その話に尋音、
「う…、うそ。なんで…???」
万美、
「さぁ…???」
両肩をチョコンと。そして自分の前で両手を挙げて。
「つまりは…、取締役や、常務、専務たちの、お・め・つ・け・役…って、感じなんじゃ…。」
「ふ~~ん。そんなに凄いんだ、寺崎さん。」
「だ~~って。豊橋社長の旦那さんから寺崎室長、大学時代から経営のノウハウ、コテンパンに仕込まれたって話だから。外資系でね。」
そんな万美の顔を見て橙、
「ふ~~ん。」
「…んで、そろそろ良いだろうって、ロンドに送り込んだって…。」
尋音、
「ふ~~~ん…。」
そして、
「…ん…???万…、なんであんた、そんな情報…どっから…???」
その声に万美、
「ふん…???」
そして、右手を口に、
「おほほほほほほ。…って言うか、税よ、税。」
「へっ…???税…???シンガポールの…???」
目を真ん丸くして尋音。
「ふん。いやいや。凄いよ~~。幾ら前、海外にいても、もう…360°アンテナ…張り巡らせてる。どんな小さな情報でも、聞き逃さない。それに、自分で知らなくっても、そのリサーチ力…半端ない。数秒で、教えてくれる。しかも、物凄い、記憶力。かかかかか。」
その傍で橙、何度も、頭をコクリ、コクリ。
万美、そんな橙の顔を見て、
「…ん…???どした…ゆず…???」
いきなり両手を目の前で左右に振り橙、
「あっ、はははははは。なんでも…、はい。」
笑いながら、
「万美さんのフィアンセ…、凄い。はははは。」
「ふん…???はははは。当~~然。だから、絶対に、離さない。」
そして、
「ほぃ。仕事、仕事~~。」
後ろを振り向いて万美、
「あ。」
そしてまた橙に振り向いて、
「ゆず。」
橙、キョトンとして、
「は…、はい。」
「あんたも、掴んだら、絶対に、離すな。」
その声に目をパチクリさせて、
「あ。は…、はい…???」
振り返る万美。
橙、振り返って尋音を見て、
「…???」
尋音、口を真一文字に、コクリと頷いて。
橙…、顔を傾げて…、
「ふん…???」

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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。