「いいえ…、私の方こそ、お礼もしたかったんで…。」 その奈々子の声に、思わず、周囲の客の雰囲気が…、
今度は…180度変わったようだった。
声の抑揚から、まさか、こんな恰好の女性の声…、
とは思えない綺麗な発音の声だったのである。
「ふふ…、片倉…奈々子さん???」
と、小さな声で健介。
確かに、こういう場所では、自分を誤魔化したとしても所詮は無理がある。
けれども見た目は…。
と、言う事で、奈々子もある意味では観念して、
「初めまして、片倉奈々子と申します。」
奈々子も自分の名前を小さく名乗って。
「俺…、いや…僕の名前は松下健介、アパレル系の会社で働いている。」
そう言いながら奈々子に名刺を差し出し、
ある写真の切り抜きも数枚奈々子の前に差し出した。
その名刺を手に持ち、
「…株式会社 アペルト サカキ Aperto Sakaki 企画室 室長 松下健介…さん…。」
と、健介の名刺を読んで、ふと写真の切り抜きを見て驚く奈々子…。
「えっ…これって…???どうして…???」
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