健介にそう謝って、少し「ホッ。」として、 すぐさま体の向きを変え、レジの方へ…。
「あっ、ちょっと…君!」
またしても健介の声掛けには応えずに、
レジで事の次第を説明して代金を支払う奈々子。
ゆっくりと奈々子の傍に近づいて、
新しいワイシャツを着て濡れた上着を片手で抱えながらの健介…。
しっかりと値札は健介がワイシャツを着る前には、
奈々子が外していたのだった。
その手際良さにも既に、健介は…、
「やれやれ…。」
感心したようでもあり、ある意味では、
「脱帽…」とも取れるような面持ちで…。
奈々子の傍に着いて、ゆっくりと頭を奈々子の前で下げながら…顔を元に戻し…。
「片倉奈々子さん。」
と、一言。
その声を聞いて、今度は奈々子が、
「えっ???」
と、驚く。
「ごめんなさい。いや…私…、その…あなた…???えっ…???」
どうして自分の名前を知っているのか、全く分からない奈々子。
でも、いつも店に来てくれている、
そして馴染み客としての印象を持ちながらも…。
「どうして…私の名前…???」
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