【第2話・完全版】

裏切りの黒い火曜日。消えたマイホーム資金300万円


あの日、夫・拓也のスマホでママ友・玲奈さんとの密会約束と、怪しい投資話のメッセージを見てから、私の心に一切の迷いはなくなった。


「来週の火曜日の夜、いつものお店で待ってるね」


玲奈さんが指定した「裏切りの火曜日」まで、あと3日。

私はパートの合間を縫って、すがるような思いである場所へ足を運んでいた。それは、ネットで入念に調べ上げた、浮気調査に強い実績のあるプロの探偵事務所だった。


「……なるほど。奥様、非常に冷静に行動されましたね。相手の女性の裏アカウントの魚拓、メッセージのやり取りの画面。これだけ揃っていれば、当日の空振りのリスクは極めて低いです」


担当のベテラン探偵は、私が差し出した資料を見ながら力強く頷いてくれた。


「当日は我が社の精鋭を配置し、言い逃れの và できない決定的な不倫の現場、そして会話の内容まで可能な限り記録します。お任せください」


安くはない調査費用だったけれど、これは未来の自分と娘のための「投資」だ。私は迷わず契約書にサインし、着手金を支払った。

あとは、泳がせるだけ。何も知らない拓也は、その日も朝からソワソワと落ち着かない様子で、お気に入りのネクタイを締めて出勤していった。




白昼の尾行。タワマンの女王が仕掛けた「悪魔の勧誘」

火曜日の夜、19時すぎ。私のスマホに、探偵からリアルタイムで報告が入る。


『対象(夫)、会社を退勤。足早に駅前の高級イタリアンレストランへ向かいました。すでに三浦玲奈と合流。個室ではなく、奥のパーテーションで区切られた半個室に入りました。これより集音マイクおよび撮影を開始します』


送られてきた写真には、会社の残業と嘘をついて、鼻の下を伸ばしながら嬉しそうにグラスを傾ける拓也の姿が鮮明に写っていた。そしてその対面には、上品な仮面をかぶった玲奈さんが、妖艶な笑みを浮かべて座っている。


しばらくして、探偵からさらに驚愕の音声データが送られてきた。


「拓也さん、この前話した『特別な投資』の件だけど、本当に今がチャンスなの。私の主人の会社の上顧客だけに案内される限定ファンドでね、元本保証で毎月10%の配当が出るのよ?」


「えっ、月利10%!? それ、本当に確実なの……?」


「当たり前じゃない、私を誰だと思ってるの? タワマンの最上階に住む私たちの世界では、こういう情報だけでお金がお金を生むの。沙織さんのような地味な暮らし、拓也さんだって本当はウンザリでしょう? 男なら、もっと高いステージへ行かなきゃ」


「高いステージ……。確かに、今の会社の給料じゃ、マイホームなんていつになるか分からないし……」


「そうよ。だから、まとまった種銭が必要なの。最低でも……そうね、300万円。今すぐ用意できれば、来月には驚くような大金になって戻ってくるわ」


300万円――その具体的な金額を聞いた瞬間、私の背筋に凍りつくような戦慄が走った。




空っぽの通帳。奈落の底へ突き落とされた妻

300万円。それは、私たちが結婚してから、私が10円単位の節約を重ね、パートの時間を増やしてコツコツと貯めてきた、大切な、大切な『マイホーム資金』の全額だった。


まさか――そんなはずはない。あの通帳は、寝室の引き出しの奥に隠してある。


私は血の気が引いた状態で寝室へ走り、引き出しをひっくり返した。ケースの中から通帳を取り出し、震える手でページを開く。


そこには、信じられない印字が刻まれていた。


【 オトシダシ(振込) 3,000,000円 】
現在の残高:* * * , 4 1 2 円


昨日、拓也の手によって、300万円全額が綺麗に引き出されていたのだ。


「嘘……嘘でしょう……!?」


目の前が真っ暗になり、膝から崩れ落ちた。涙すら出ない。あるのは、五臓六腑を駆け巡るような激しい怒りと、言いようのない絶望だった。


あの男は、不倫にうつつを抜かすだけでなく、娘の未来も、私たちの夢も、すべてあの詐欺師女の手に差し出したのだ。


その時、スマホが振動した。探偵からの最後の報告だった。


『対象の二人は食事を終え、手を繋いで近くの高級シティホテルへ入っていきました。チェックインを確認。これより宿泊の証拠を押さえます』


「終わらせてあげる。あなたたちのその汚いお遊びも、何もかもすべて」


私は通帳を握りしめ、冷酷な怒りとともに、次の「駒」を進めるために電話をかけた。夜間にもかかわらず対応してくれる、サレ妻救済で有名な凄腕弁護士の元へ――。




💬 管理人コラム

第2話を最後までお読みいただきありがとうございました!

ちょっと待って、拓也ァアアア!!💢 不倫するだけでも万死に値するのに、2人でコツコツ貯めたマイホーム資金の300万円を、あのマウントママ友の口車に乗せられて勝手に引き出すなんて……!人間のクズすぎて画面を殴りそうになりました!怒りで手が震えます!


「高いステージ」って何ですか!? 嘘で固めたタワマンの女王に騙されていることすら気づかないバカ旦那に、特大の鉄槌を下してほしいですね!


次回、【第3話・完全版】では、弁護士を味方につけた沙織さんの本格的な反撃がスタートします!まずは、ホテルから朝帰りした拓也へ怒涛の尋問が炸裂。言い逃れできない証拠の数々を前に、夫はどんな醜い言い訳をするのか!?


「沙織さん、一歩も引かずに追い詰めて!」と思ってくださる方は、ぜひ『いいね』や熱い応援コメントをお願いします!次回もお楽しみに!👇