第3話・前編
女王からの呼び出し。高級ホテルのランチに隠された悪意
「沙織さん、ちょっとお話したいことがあるの。平日の昼間、空いてる? 私のお気に入りのホテルのラウンジを予約しておくわね」
玲奈さんからスマホに届いた、一見するといつも通りの上品なメッセージ。
けれど、その裏にあるのは、我が家から300万円のマイホーム資金を騙し取った泥棒猫の、勝ち誇った笑みだ。
あらかじめ佐藤弁護士と打ち合わせを済ませていた私は、一切怯むことなく「分かりました、伺います」と返信した。
約束の日、指定された高級ホテルの最上階ラウンジ。
窓際の席で、相変わらずハイブランドの服に身を包んだ玲奈さんが、優雅にアフタヌーンティーのカップを傾けていた。
そのカバンは、旦那さんに内緒の消費者金融から借りたお金か、あるいは我が家から奪った300万円で買ったものなのだろうか。そう思うと、哀れみすら湧いてくる。
「あら沙織さん、こっちよ。急に呼び出してごめんなさいね?」
「ううん、大丈夫。玲奈さん、お話ってなぁに?」
私はいつもの「地味で気弱な主婦」の仮面を被ったまま、彼女の正面に座った。
玲奈さんは、私が口座から300万円が消えたことを知って絶望しているだろうと、楽しそうにこちらを観察している。
「実はね……拓也さんのことなんだけど」
玲奈さんはわざとらしく、困ったような、でも優越感に満ちた笑みを浮かべて身を乗り出してきた。
「拓也さん、今の工務店のお給料じゃ沙織さんたちを支えられないって、すごく悩んでいたのよ? だから私の主人の投資枠に、必死に300万円を工面して申し込んできたわ。……知っていた?」
「ええ、拓也から聞いたわ。でも、あれは娘のこれからの学費と、いつか建てるマイホームのための大切な貯金なの。だから、できればお返しして欲しくて……」
私が困り果てた顔をしてみせると、玲奈さんは待ってましたとばかりに、フッと鼻で笑った。
「お返しして欲しい? 冗談言わないで、もう運用に回ってるわよ。それにね、沙織さん」
玲奈さんはティーカップをソーサーにカチャリと冷たい音を立てて置くと、その瞳から偽物の優しさを完全に消し去った。
「身の丈に合わないマイホームなんて、最初から諦めたらどうかしら? 拓也さんはね、あなたみたいな地味でケチケチした奥さんに、ずっと息が詰まりそうだったって私に泣きついてきたのよ。もう彼、あなたの元には戻らないわ」
他人の財産を騙し取り、他人の夫を誘惑しておきながら、この女は平然と「身の丈に合わない」と言い放ち、離婚を迫ってきたのだ。
かつてないほどの激しい怒りが脳裏を焼く。
けれど、私は机の下で拳をぎゅっと握りしめ、冷徹に次の言葉を待った。
「あなたと拓也さんじゃ、格が違いすぎるのよ。早く離婚届にサインして、身の丈に合ったボロアパートにでも引っ越した方が、お互いのためじゃない?」
完璧なママ友の仮面を自ら脱ぎ捨て、勝ち誇るタワマンの女王。
しかし彼女はまだ気づいていない。
その傲慢なセリフが響くラウンジのすぐ近くの席で、私のカバンの中に仕込まれたボイスレコーダーが、彼女のすべての暴言を明確に録音していることに――。
💬 管理人コラム
第3話・前編をお読みいただきありがとうございました!
ついに玲奈さんが正体を現しました!猫を被るのをやめて、沙織さんに対して「身の丈に合わない」「早く離婚しろ」なんて信じられない暴言のオンパレード!他人の大切な300万円を奪っておいて、どの口が言っているんでしょうか!?本当に頭に血が上りすぎて爆発しそうです!🌋
ですが、我らが沙織さんは一枚上手でした。気弱なフリをしながら、玲奈さんの言い逃れできない「恐喝・マウントの証拠」をバッチリ録音しています!
次回、第3話・中編では、このマウントランチの場で、沙織さんが静かに反撃の「第一弾」を玲奈さんに突きつけます!
女王様の余裕の笑顔が、どのように引きつっていくのか……!?スカッと展開をお見逃しなく!
「玲奈の鼻へし折ってやれ!」と思った方は、ぜひ『いいね』やコメントで沙織さんを応援してくださいね!👇