第4話・中編:義母の発狂と義姉の逆ギレ。生垣から飛び出した鉄槌

『家を売る!? 何言ってるの健一! 正気なの!?』

リビングの窓越しに、お義母さんの裏返った悲鳴が響き渡る。

『この家はお父さんが遺してくれた、私たちの唯一の拠り所なのよ! ここを売ったら、私とお姉ちゃんはどこへ行けばいいの!? ホームレスになれって言うの!?』

『じゃあ俺はどうなるんだよ!』

健一の声も、これまで聞いたことがないほど荒々しく、そして絶望に満ちていた。

『俺が自己破産したら会社はクビ、美咲には離婚されて子どもたちにも二度と会えなくなる! 20年間、実家のために俺がどれだけ身を削ってきたか、母さんだって知ってるだろ! 今回ばかりは、姉貴に責任を取らせてくれ!!』


その時、ドタドタと激しい足音が響き、リビングのドアが乱暴に開く音が聞こえた。

『ちょっと、うるさいわね! さっきから聞いてれば、何が私の責任よ!』

現れたのは、奥の部屋で寝ていたというお義姉さんだった。

寝起きのボサボサ頭にスウェット姿。420万円もの借金を他人に押し付けてバックれている張本人とは到底思えない、ふてぶてしい態度で言い放った。

『健一、あんた男のくせにケチケチしないでよ! そもそも今回の借金だって、私が新しく始めたビジネスの資金繰りがちょっと悪くなっただけ! すぐに何倍にもなって返せる予定だったんだから! たかが400万くらい、あんたの給料と美咲さんのパート代で補填すればいいじゃない!』


(……たかが400万?)

(補填すればいい……?)

庭の垣根の陰で、私の頭の中で何かがパチンと弾け飛んだ。

私たちの20年間を、子どもたちの未来のための貯金を、この寄生虫のような親子は一体何だと思っているのか。怒りで視界が真っ赤に染まり、気づいた時には、私は義実家の勝手口へと突き進んでいた。

ガチャリ、と鍵の開いていた勝手口のドアを思い切り押し開け、廊下をドカドカと突き進んでリビングの引き戸を叩きつけるように開ける。

「いい加減にしなさいよ、この泥棒親子が!!」


バァン!!と凄まじい音を立てて現れた私に、リビングの3人が一斉に飛び上がった。

『み、美咲……!? なんでここに……』

健一が完全に腰を抜かして床にへたり込む。お義母さんとお義姉さんは、まるで幽霊でも見たかのように目を見開いて硬直していた。

「たかが400万? あんたの個人的な借金を、なんで私のパート代から払わなきゃいけないわけ? 人の金を盗んでおいて、よくそんな恥知らずな口が叩けるわね!」

私はお義姉さんの目の前まで歩み寄り、指を突きつけた。お義姉さんは一瞬怯んだものの、すぐに顔を真っ赤にして言い返してきた。

『な、何よ偉そうに! 部外者の嫁のくせに勝手に人の家に入ってきて! これは藤本家の問題よ!』


『そうよ美咲さん、いくら何でも無礼だわ!』

お義母さんも便乗して声を張り上げる。しかし、今の私にはそんな負け犬の遠吠えは一切通じない。

「部外者? 藤本家の問題? 笑わせないで。あんたたちが20年間しゃぶり尽くしてきたのは、私と子どもたちの人生よ!

私はバッグから、弁護士の佐藤先生から預かっていたもう一部の【最終警告書】を取り出し、机の上に叩きつけた。

「健一が金曜日、つまり今日までに『実家の家を売って返済する』という合意書を出さないなら、来週月曜日に健一の給与は差し押さえられます。同時に、私は健一と離婚し、数百万の慰謝料と財産分与、そして毎月の養育費を法的にむしり取ります。健一は確実に破産して会社をクビになるわ」

私はお義母さんの顔を冷酷に見据えた。

「息子を破滅させて、自分たちだけこの家に住み続けるか。それとも、家を売って自分たちが犯した罪のケジメをつけるか。さあ、今すぐここで選びなさい!!」


静まり返るリビング。お義母さんはガタガタと震えながら、机の上の書類と、床にへたり込んだまま涙を流す息子の姿を交互に見つめていた。

いよいよ、この傲慢な親子に本当の現実が突きつけられた。しかし、追い詰められた人間が最後に見せる「悪あがき」を、私はまだ甘く見ていたのだった――。

――第4話·後編へ続く。


✍️ 管理人より

美咲さん、ついに乱入!!生垣からの電撃参戦、本当に最高すぎました!借金を作ったお義姉さんの「たかが400万、美咲さんのパート代で補填すればいい」という信じられないセリフには、パソコンの前で怒りが爆発しそうになりました。人のお金を何だと思っているのでしょうか。

💡 ついに直接対決となり、美咲さんから最終通告をされた義家族ですが…

  • 自分のことしか考えていない義姉と、世間体命の義母は、本当にこのまま家を手放すと思いますか?
  • それとも、ここからさらに醜い「悪あがき」を仕掛けてくるでしょうか?

全7話の第4話(中編)、これまでのモヤモヤを吹き飛ばす美咲さんの啖呵(たんか)にスカッとしましたね!しかしラストの不穏な引きが気になります…。激動の「第4話・後編」も、ぜひフォローしてお待ちください!