第2話・後編:嘘にまみれた夫との直接対決。「すべて説明する」の裏にあった最低の欺瞞

プルルル、プルルル、ガチャッ。

数回のコールのあと、健一が焦ったような声で電話に出た。

『美咲!? ああ、よかった、電話に出てくれて……! 本当にすまない。母さんとはちゃんと話してくれたかい? 実はあの借金は――』

「黙って」

私の低く冷え切った一言に、受話器の向こうの健一が息を呑むのが分かった。

「今さっき、〇〇債権回収会社の高橋さんって人から、うちに電話があったわよ」

『……え?』

「健一、あなた、私に何を『すべて説明する』つもりだったの? 20年前の、お義母さんとお義姉さんの浪費のツケを代わりに返してたっていう、あの可哀想な苦労話?」


私はデスクの上に広げた督促状をギリッと睨みつけ、声を震わせた。

「あの20年前の借金、今年の春に“完済”してるんですってね

『そ、それは……。そうなんだ、やっと返し終わって、だからこれからは美咲や子どもたちにももっと不自由のない生活をって……』

「じゃあ、この手元にある【督促状】は何なのよ!!」

私は我慢できずに怒声をあげた。

たった半年前、お義姉さんの『連帯保証人』になって、新しい借金を作ったのは誰!? 総額420万円の一括請求が来てるって、一体どういうことなのよ!


電話の向こうが、完全に凍りついた。

健一は何も言えなくなり、ただ、荒い呼吸の音だけが聞こえてくる。

「答えてよ健一! あなたがビジネスホテルから送ってきた『すべて説明する』って、過去の終わった借金話で私の同情を引いて、この420万円の連帯保証人の件をうやむやに隠し通すための、時間稼ぎの隠蔽工作だったんでしょ!?」

『ち、違うんだ美咲! 隠すつもりじゃなかったんだ!』

健一が必死に弁明を始める。

『半年前、姉貴がどうしてもまとまったお金が必要だって泣きついてきて……。断ったら、姉貴が本当に自暴自棄になって何をするか分からなかったんだ。今回だけ、本当にこれっきりだからって言われて、名前を貸すだけならと思って……。まさか、姉貴が返済をバックれて連絡が取れなくなるなんて、俺だって思ってなかったんだよ!』


「名前を貸すだけ……?」

私はあまりの身勝手な言い訳に、呆れて乾いた笑いが出た。

「20年も借金に苦しんできた男が、連帯保証人の重さを知らないわけがないでしょ! お義姉さんが逃げたら、その420万円は誰が払うの? 私たちが20年間、血の滲むような思いで節約して、子どものために貯めてきたお金から払うつもりだったの!?」

『美咲、俺が責任を持って、働く時間を増やしてでもなんとかする! だから、離婚だけは……!』

「あなたの『なんとかする』なんて、もう一ミリも信じられない」

私ははっきりと告げた。

「あなたは優しいんじゃない。ただの、あの依存症の親子から離れられない病的なイエスマンよ。私と子どもたちの人生を奈落の底に突き落としてでも、母親と姉の見栄を守りたいのなら、どうぞそっちで一生やっていけばいいわ」


『美咲! 頼む、待ってくれ! 美咲――!』

すがるような健一の声を遮り、私は通話終了のボタンを強くタップした。

全7話のうち、まだ第2話が終わったところだ。420万円の一括請求という最悪の爆弾を抱え、私の頭は急速に冷えていくのを感じていた。悲しんでいる暇は、もうない。

夫を、そしてあの身勝手な義実家を、私たちの人生から完全に排除し、奪われた20年分の代償をきっちりと支払わせる。

そのために、私は翌朝一番で、ある場所へ向かうことを決意した。この泥沼の戦いは、ここから本当の開戦を迎えることになる――。

――第3話へ続く。


✍️ 管理人より

過去の借金話を隠れ蓑にして、現在進行形の「420万円の連帯保証人」という大罪を隠そうとした夫。そのあまりにもセコく不誠実な欺瞞を、美咲さんは見事に論破しました!「名前を貸すだけ」という夫の甘すぎる認識には怒りを通り越して呆れてしまいますね。

💡 「名前を貸すだけだと思った」と言い訳する夫について…

  • どれだけ義姉に泣きつかれたとしても、家族に無断で連帯保証人になるのは裏切り以外の何物でもないと思いますか?
  • 美咲さんが翌朝一番に向かう「ある場所」とは、一体どこだと思いますか?(弁護士事務所、それとも…?)

第2話はここで幕を閉じます。第3話からは、いよいよ美咲さんの反撃と、法的手段に向けたリアルな戦いが始まります!ぜひフォローして次の更新を楽しみにお待ちください!