第1話・後編:義姉からの非情な電話。美談の裏に隠されていた「もう一つの真実」
「もしもし、お姉ちゃん……?」
張り詰めた空気の中、健一が震える手でスマートフォンを耳に当てた。
静まり返ったリビングには、受話口から漏れ出る義姉・真由美のけたたましい声がはっきりと響いた。
『ちょっと健一! お母さん、そっちに行ってない!? スマホに何度かけても出ないんだけど!』
「母さんなら、今ここにいるよ。それより、どうしたんだよそんなに慌てて……」
『やっぱりそこにいたのね! 健一、お願い、お母さんに余計なこと喋らせないで! あの借金のこと、美咲さんにバレたら本当にまずいから!』
私は息を呑んだ。健一の顔から、さっと血の気が引いていくのが分かった。
「真由美、もう遅いよ。美咲には全部話した。母さんが今、実家を救うために俺が借金したって……」
『はあ!? 何言ってるのお母さん!』
受話器の向こうで、義姉がヒステリックに声を荒らげた。
『実家を救うため? 冗談じゃないわよ! 確かに最初はそうだったかもしれないけど、あの借金のほとんどは、お母さんの買い物の依存症と、私の当時のホスト通いのツケでしょ!?』
「……え?」
私の頭の中が、一瞬で真っ白になった。
床に膝をついていた義母が、ビクッと肩を震わせ、さらに小さく丸まった。
『お父さんが亡くなった後、お母さんが寂しさから狂ったようにブランド品を買い漁って、おまけに私も離婚のストレスで狂ってて……。それを健一が自分の名義で一本化して、必死に肩代わりしてくれたんじゃない! 美咲さんに実家の会社のためなんて嘘ついたら、後で辻褄が合わなくなるわよ!』
「真由美! もういい、喋るな!」
健一が叫ぶようにして通話を切った。
リビングには、ただ重苦しい沈黙だけが流れていた。
私は、ゆっくりと義母を見下ろした。
先ほどまで「息子を責めないで」と涙を流していた義母は、いまや私の目を見ることもできず、ただぶるぶると震えている。
「実家を救うため……じゃなかったんですね」
私の声は、自分でも驚くほど冷え切っていた。
「お義母さんの見栄と、お義姉さんの遊びのツケを、私の夫が20年間、私たち家族の生活を犠牲にして返し続けていた。……そういうことですか?」
「美咲、違うんだ! 母さんも姉貴も、あの時は精神的に追い詰められていて……」
健一が必死に私の腕を掴もうとする。私はそれを、全力で振り払った。
「触らないで!!」
涙すら出てこなかった。あるのは、底きれない怒りと、激しい嫌悪感だけだった。
健一が優しいのは知っていた。でも、それは優しさではない。ただの「共依存」だ。
自分の母親と姉の尻拭いのために、私との結婚生活の20年間を、ずっと嘘で塗り固めていたのだ。
私がお小遣いを削り、節約に励み、子どもたちの教育費のためにパートを掛け持ちしていたあの時間は、一体何のためだったのだろう。
この人たちは、私から20年間の人生を奪ったのだ。
「……出ていって」
「美咲……?」
「二人とも、今すぐこの家から出ていって!!」
私は叫びながら、玄関のドアを強く押し開けた。
信じていた夫の、あまりにも残酷な裏切り。そして、崩壊していく家族の絆。
私たちの20年は、ここから最悪の泥沼へと突き進んでいくことになる――。
――第2話へ続く。
✍️ 管理人より
美談かと思われた借金の理由は、まさかの義母と義姉の「身勝手な浪費」でした。それを20年間も隠し、家族を騙し続けていた夫への怒りは、言葉では言い表せません。
💡 みなさんなら、義家族のこの衝撃の事実を知った時、どう対応しますか?
- 即座に弁護士に相談し、離婚と慰謝料の準備を進めますか?
- 義母や義姉に、夫が立て替えた分の返済を徹底的に要求しますか?
第1話はここで幕を閉じます。次回、第2話では夫との話し合い、そして義実家との全面対決が始まります。ぜひフォローして次の更新をお待ちください!