【第2話】「母さんは被害者ぶるなよ」――遺産分割協議が修羅場と化した日、兄弟たちの本音が暴かれた
第1話の続きです。
義父が亡くなってから数か月。
当初は「家族で話し合えば解決する」と思っていた相続問題は、完全に泥沼化していました。
義母は自宅に住み続けたい。
夫も同じ考えでした。
しかし。
義兄と義妹たちは違いました。
「財産は平等に分けるべき」
その一点張りだったんです。
■遺産分割協議の日
ある日。
兄弟全員と義母が集まり、正式な遺産分割協議が行われました。
司法書士も同席。
本来なら冷静に進めるはずの話し合いでした。
ところが。
開始30分もしないうちに空気がおかしくなります。
義兄が資料を机に叩きつけながら言ったんです。
「この家を売れば全部解決だろ?」
義母の顔色が変わりました。
夫も険しい表情になります。
でも義兄は止まりません。
「俺たちだって相続人なんだぞ」
「母さんだけが全部持っていくのはおかしい」
義母は震える声で言いました。
「全部なんて言ってないわ……」
「ただ、この家に住みたいだけなの……」
すると。
義妹の一人がため息をついたんです。
「またそうやって泣く」
私は耳を疑いました。
■積もり積もった感情
その日。
私は初めて知りました。
兄弟たちが長年抱えていた感情を。
義兄は言いました。
「昔から親父は弟ばかり可愛がってた」
「進学だって就職だって、全部優遇されてた」
夫は驚いていました。
そんなふうに思われていたなんて知らなかったからです。
しかし。
義妹たちも続きました。
「私たちには何も相談してくれなかった」
「親父の面倒だって結局お母さんと弟夫婦だけだったじゃない」
「だから最後くらい公平にしてほしいの」
相続の話をしているはずなのに。
気づけば。
子ども時代の不満大会になっていました。
■義母の涙
義母は黙って聞いていました。
そして。
突然泣き出したんです。
「そんなふうに思ってたの……?」
「私はみんな同じように育てたつもりだった……」
その姿を見て。
私も胸が苦しくなりました。
でも。
兄弟たちの表情は固いまま。
誰も歩み寄ろうとしません。
■決定的な一言
そして。
事件は起きました。
義兄が言ったんです。
「母さんは被害者ぶるなよ」
部屋の空気が凍りました。
義母は言葉を失います。
夫が立ち上がりました。
「今の言い方はないだろ!」
義兄も立ち上がる。
怒鳴り合い。
司法書士が慌てて止める。
私は本気で。
殴り合いになると思いました。
■協議決裂
結局。
その日の話し合いは決裂。
何一つ決まりませんでした。
帰宅後。
義母は夫に電話してきました。
泣きながら。
「もう家なんていらない……」
「みんなに迷惑かけるくらいなら売るわ……」
その声を聞いた夫は。
何も言えなくなっていました。
■弁護士からの封筒
そして数日後。
我が家に一通の封筒が届きます。
差出人は。
法律事務所。
送り主は義兄。
内容は。
遺産分割調停の申し立てでした。
夫はしばらく封筒を握りしめたまま動けませんでした。
兄弟だったはずなのに。
家族だったはずなのに。
もう後戻りできないところまで来てしまった。
その現実だけが。
重くのしかかっていました。
そして。
本当の地獄は。
まだ始まったばかりだったのです。
(最終話へ続く)
■管理人より
相続トラブルの怖いところは、遺産の話をしているようで、実際には長年積み重なった感情が爆発することです。
子ども時代の不満。
親へのわだかまり。
兄弟間の比較。
それらが相続をきっかけに噴き出すケースは珍しくありません。
■体験談募集
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体験談をお待ちしております。