【最終話】「もう、お母さんは口出さないで」——息子に言われた一言が忘れられない
第2話の続きです。
息子から返ってきた、短い「ありがとう」のLINE。
たったそれだけなのに。
私は、しばらくスマホを握ったまま動けませんでした。
昔は。
誕生日にはケーキを買って。
好きなご飯を作って。
プレゼントを隠して。
「母さんありがとう!」って笑ってくれていたのに。
今は。
お祝いのLINE一つ送るのにも、気を使う関係になってしまった。
それが、どうしようもなく寂しかったんです。
■久しぶりに会えた日
数ヶ月後。
久しぶりに息子夫婦と孫が家に来ることになりました。
私は前日から落ち着きませんでした。
何を作ろう。
掃除は大丈夫かな。
余計なこと言わないようにしなきゃ。
そんなことばかり考えていたんです。
昔は、“家族が帰ってくる嬉しさ”だけだったのに。
今は。
“気を使って疲れる日”になっていました。
■孫への一言
その日。
孫がなかなかご飯を食べませんでした。
私はつい、昔の感覚で言ってしまったんです。
「好き嫌いしちゃダメよ〜」
すると、お嫁さんの表情が変わりました。
そして少し強めの口調で言ったんです。
「無理に食べさせない方針なんです」
空気が、一気に重くなりました。
私は慌てて。
「あ、ごめんなさいね、そういうつもりじゃ……」
そう言ったんですが。
息子がため息混じりに言ったんです。
「もう、お母さんは口出さないで」
■頭が真っ白になった
その瞬間。
頭が真っ白になりました。
怒鳴られたわけじゃない。
ひどい言葉でもない。
でも。
息子のあの言い方が。
“邪魔者を見る目”に感じてしまったんです。
私は急に、自分がこの家に必要ない人間みたいに思えてきました。
■帰った後の静けさ
息子夫婦が帰ったあと。
部屋が急に静かになりました。
テーブルの上には、使った紙コップ。
孫のおもちゃ。
数時間前まで賑やかだったのに。
私はその片付けをしながら、急に涙が出てきたんです。
「口出さないで」
その言葉が、ずっと頭の中を回っていました。
■私は間違っていたのか
もちろん分かっています。
今と昔では育児も違う。
価値観も違う。
お嫁さんには、お嫁さんのやり方がある。
でも。
私はただ。
“家族のつもり”だったんです。
心配して。
気にかけて。
少しでも力になりたかった。
それが全部、“余計なこと”になってしまった。
その事実が、思っていた以上に苦しかった。
■夫の言葉
その夜。
珍しく夫が言いました。
「子どもはもう、自分たちの家庭を作ってるんだよ」
最初は、その言葉にも腹が立ちました。
そんなの分かってる。
分かってるけど寂しいんじゃない。
でも。
時間が経ってから、少しだけ思ったんです。
私はずっと、“母親”をやめられなかったのかもしれないって。
■最近、少し変えたこと
最近、私は少しだけ考え方を変えるようにしています。
無理に連絡しない。
期待しすぎない。
「会いたい」を押し付けない。
そして。
“自分の生活”を持つこと。
友達とランチへ行ったり。
短時間の仕事を始めたり。
趣味を作ったり。
すると少しだけ。
息子中心だった人生から、離れられる気がしたんです。
■母親を卒業する時期
子育てって。
子どもが小さい時に終わるわけじゃないんですね。
本当に難しいのは。
“手を離す時期”なのかもしれません。
寂しい。
会いたい。
頼ってほしい。
そんな気持ちは、きっとこれからも消えません。
でも。
息子には息子の家庭がある。
だから私も。
“母親以外の人生”を、少しずつ見つけていかなきゃいけない。
60歳手前で、やっとそんなことを思えるようになりました。
■管理人より
アラカン世代の方から、本当に多く届くのが「息子夫婦との距離感」に関する悩みです。
特に、悪気なく言った言葉が“口出し”として受け取られてしまう苦しさ。
親としては心配しているだけでも、子ども側には“干渉”に見えてしまうことがあります。
だからこそ難しい。
でも、「母親を卒業していく寂しさ」は、多くの方が共感するテーマだと思います。
■体験談募集
嫁姑問題・息子との距離感・アラカン世代の孤独体験談を募集しています。
・息子夫婦との関係に悩んでいる
・孫との距離感が難しい
・子離れできず苦しい
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