水泳 | kyupinの日記 気が向けば更新

HbA1c⒍4と水泳を始めたこと

HbA1c 6.4 糖尿病グレーゾーン

 

今日のエントリは私事ではあるが、精神科にも少し関係する内容である。

 

2026年の4月の初め頃、血液検査をしたところ、なんとHbA1cの数値が6.4と過去最悪であった。僕にとってかなり衝撃的な数値である。

 

このHbA1cであるが、その日、その時間の血糖値ではなく、数ヶ月の長期の血糖値を反映する数値である。つまり日常の血糖値を推しはかる方法として紛れは僅かである。

 

HbA1cは概ね⒍2が正常上限とされており、⒍5以上になるとほぼ糖尿病である。すなわち⒍4は正常範囲ではなく、かと言って糖尿病まではないかもしれないが、後がない崖っぷちと言えた。

 

なぜこうなったかと言えば、あの重い風邪と関係がある。以下参照。

 

 

普段、摂取カロリーに気をつけているが今回咳が止まらず、カロリー制限のために風邪が治らないのかと思い、努めてカロリーを摂るようにしていたのである。その結末がこれであった。

 

過去の記録を見ると、2019年5月のHbA1cは5.8だった。その後、じわじわと上がり始め2021年9月に6.0まで達したため、少し慌てて酒と食事をセーブし2022年12月には5.7まで下がった。

 

その後、やや気持ちが緩み毎日ビール、日本酒、焼酎飲んでいたところ、2024年5月に正常上限の6.2まで上昇した。当時、かなりの量を飲んでいたわけではなく、ビールなら350mlの缶を1本、日本酒、焼酎もコップ1杯までだった。(併せては飲まない)

 

運動は雨の日以外はネコがいる散歩コースをダラダラ歩く。あまり身体に負荷をかけておらず最低限の運動量である。

 

今回、6.4で衝撃的と書いているが、6.2の時もかなりショックを受け、禁酒に加えおやつも禁止した。その後、満を持してちょうど2ヶ月後に再検査したのである。

 

その結果だが、あれほど節制したのに6.1までしか下がっていなかった。期待が大きかった上、節制した話をしていたので、看護師さんから「先生、気持ち下がりましたね」と言われてしまったのである。

 

HbA1cは長期の血糖値を反映するため急には下がらないと思ってはいたが、2ヶ月経てば6.0くらいには下がるのではと楽観していた。全く当てが外れたのである。その後、そこそこ節制していたところ、2025年3月には6.0まで下がった。

 

6.0まで下がると安心し飲酒もするし、おやつなども食べるようになった。

 

余談だが、HbA1cは糖尿病の診断がないと検査できない。つまり糖尿病の疑いでは検査ができないのである。少なくともうちの県ではそのような査定基準である。そのため僕はいつも健康保険を使わず自費で検査している。

 

なお、精神科ではHbA1cを糖尿病ではない患者さんも処方内容により検査することがある。ジプレキサ(オランザピン)とセロクエル(クエチアピン)は、糖尿病に禁忌とされており、また糖尿病ではない人に長期投与した場合、血糖値が上がりHbA1cが上昇してしまうことがある。これらの抗精神病薬を処方中にHbA1cをチェックすることは、スクリーニングとして優れている。これはレセプトにコメントすれば査定されない。

 

エビリファイOD錠の用法・用量・適応症

 

ジプレキサ、セロクエルに加えて、うちの県ではエビリファイ(アリピプラゾール)もHbA1c検査が可能である。エビリファイは糖尿病に禁忌とされていないが、添付文書には高血糖を来すことがあると警告されており、このスクリーニングのためにHbA1cを検査するのは理にかなっている。ただし、この辺りは都道府県により査定ラインが変わるかもしれない。(ローカルなものかもしれないと言う意味)

 

話が戻るが、今回4月に6.4まで上がった時、長患いの風邪がまだ収束してないのに、血糖値まで上がってしまったことにショックを受けた。そこでまず昼食を抜きにし、おやつも禁止して、禁酒もすることにした。当初は運動の量は変えなかった。

 

この時、気付いたことだが、昼を食べないことは慣れると全然大丈夫である。禁酒も以前もよくしていたためか全く問題ない。だいたい僕はお酒はそう美味いものではないと思っているのもある。

 

まず思ったことは、アルコール依存症ではない一般人が酒を飲まないストレスと、タバコを吸う人がタバコを吸わないでいるストレスは桁違いではないかと。

 

つまり、禁酒より禁煙の方が遥かにストレスフルのようには見える。

 

また、食事はお菓子でも少しでも食べると食べたい欲求が出るが、全く食べないとそこまでストレスにはならない。少なくとも僕はそうである。朝夕は何がしか食べているのに不思議なことだと思った。同時に、こんな風だからこそ、拒食タイプの摂食障害の人は、悪いサイクルにはまっていくのだろうと思ったりした。

 

このようにまずカロリー制限を始めたが、これくらいだと多少はHbA1cは下がるだろう。しかし今回、肝に銘じてもう少し減量に踏み込みたいと思った。既に崖っぷちにいるからである。そこでスポーツクラブの会員になり水泳を始めることにしたのである。

 

僕はHbA1cが6.4になった時でさえ肥満はしていなかった。むしろ長期の風邪による消耗もあり、普段よりやや体重が減少していた。4月初めは身長179cm、体重78kgほどであった。普段の体重は78kg台で、少し食べる時は79kg程度である。長期の風邪でろくに運動もできず、むしろ普段より食べていたのに78kgなのは消耗していたと言える。

 

水泳は夕方から泳ぐので、昼食抜きで泳ぐのは流石にまずいと思った。健康のためにやっているのに、うっかり突然死してしまうのはアホである。そこで、水泳をする日は昼食も摂ることにした。昼食を摂らない日は、おにぎりを1つか2つ泳ぐ前に摂る。水泳はやれそうな日は泳ぐと言うスタンスで、泳がない日はお散歩をする。それくらいだと、週に3日くらい泳ぐ感じになった。

 

1日にどのくらい泳ぐかと言うと、初日に500m泳ぎ、次回700mと徐々に増やして1000m泳ぐようになったが、700mも800mも1000mも大差ないと思い始め、今はいつも800m泳ぐ。時間がない日は500mである。泳ぎ方はクロールと平泳ぎで半々である。時間にして40分から50分くらいで休みつつ泳いでも1時間までいかない。

 

最初、平泳ぎばかりだったが、PT(理学療法士)の先生にクロールもした方が良いと言われ、クロールも増やした。泳ぎ始めて気付いたが、水泳はお散歩より遥かに身体に負荷がかかる。まさに雲泥の差と言えた。泳いだ後は、数十分ほどストレッチをして帰宅する。

 

このストレッチが重要で、これをしないでカロリー制限や激しい運動をしていると、ギックリ腰や肉離れを起こし安静にしなくてはならなくなる。ストレッチも毎日していると習慣化し苦にならないし、泳ぐ時、バタ足などがスムーズになるのが良くわかる。

 

そして、水泳を始めて3週間、つまり月初に検査し同月の月末には、なんと78kgが75kgになったのである。また、水泳を始めていくつか良いことが起こった。

 

1、立っている時、両足で地面をしっかり踏みしめている感覚の出現。不思議な感覚だが、よく意識できる。これは骨盤とか仙腸関節の辺りに好影響があるのではと思った。

 

2、肩こりの激減。リボトリールを飲まなくても良くなった。リボトリールを止めると2日位弱い頭痛があったが、すぐに問題なく中止できた。これは僕の患者さんの報告と概ね同じである。(ベンゾジアゼピンの離脱の規模は人による)

 

3、夕食が美味しい。以前より遥かに味がよくわかる感覚がある。

 

4、以前より中途覚醒が減少。就寝後3時間くらいで必ず目覚めていたが、もう少し長い時間、5〜6時間連続で眠れる。

 

5、そして驚いたことに、喘息の様になっていた長く続いた咳が止まったのである。

 

その後、きっちり禁酒しているかと言うとそうでもなく、普段飲酒しないが、旅行の時だけはビールくらいは飲む。それくらいの緩さである。家にあるビール、日本酒、焼酎はもうどうしようもないので、義兄にあげたりした。

 

そして5月末には73kg台まで減少。約2ヶ月弱で約5kgの減量を達成したのである。

 

5kgといえば、生まれたばかりの赤ちゃんより重いわけで、どこにそんな贅肉をつけていたんだろう?と言う感じである。

 

水泳を始めて40日目くらいに、再び満を持してHbA1cを検査した。体重が4kgは減少していたので内心期待していた。

 

ところがである。検査結果は6.3と今回も気持ちくらいしか下がっていなかった。

 

HbA1cは長期的な指標で急には下がらないと言われているが、どのくらいのスパンで下がっていくのかよく知らないのである。検査時期が早すぎたのでは?とは思っているが、少なくとも前回よりマイナスなので、一直線に糖尿病にはならなそうで少し安堵した。

 

内科の友人にHbA1c、⒍4について意見を聴いた。彼によれば、それくらい水泳していれば、普通に生活していて問題ないと言う話だった。脂肪肝が解消すれば大丈夫だろうと言う。

 

その友人だが、彼自身が気づいた時には既にHbA1cが9.0を超えていて、今は糖尿病の薬を飲んでいても7.0未満には下がらないと言う。全くお酒が飲めない人で、暴飲暴食もしないのに不思議に思われるが、なんだかんだ家系的なものが大きいのだろう。僕の家系は糖尿病の人は全然いない。唯一、僕のみグレーゾーンである。

 

HbA1cの数値をどのように判断するかだが、既に糖尿病の人なら、数値の前に3を付け、体温に擬えてその数字で判断する。例えば、7であれば37℃と微熱ギリギリである。友人のように9を超えていたら、39℃以上でインフルエンザクラスの高熱ということになる。

 

HbA1cの7.0というラインは非常に重要で、7.0を超えない場合、ほとんど合併症が起こらないと言われる。つまり合併症予防の分水嶺的な数値である。

 

糖尿病になっても節制ができず、高血糖を放置した場合、特に3つの臓器に有害作用をもたらす。どこに病気が及ぶかは個人差がある。

 

3つの臓器とは、腎臓、血管、目である。腎臓については、現在日本で人工透析になる原因としては糖尿病性腎症によるものが最も多い。血管とは、糖尿病性の神経障害と血行障害のミックスであり、このような悪化で足を切断している患者さんをリエゾンで時々診る。

 

意見を聴いた友人だが、合併症が目にきて眼球内に注射をしていると言う。とにかく糖尿病は厄介な病気で、節制ができるかなど、個人を試されているような疾患である。

 

精神疾患を持つ人たちは、飲酒や暴飲暴食のため、外来の定期検査でHbA1cが上昇していることも時々見られる。特にジプレキサ、セロクエルに限らず、体重が増えるタイプの向精神薬を服薬中の人は要注意である。

 

アルコールが止められず、アルコール依存症のような生活になり、HbA1cが7.0とか8.0くらいを超えたとしても、入院させて病院食だけ食べさせているとあっという間に正常化する。ほとんどがそのような経過なのである。だから家系的に糖尿病になりやすい人と、精神疾患による食生活の乱れで糖尿病域になった人とはちょっと違うのではないか?と感じる。

 

また、特に内因性精神病の人達は糖尿病により重篤な合併症を発症することがほとんどない。少なくとも、僕の患者さんで糖尿病により人工透析になったとか、失明したような人を見たことがない。

 

そもそも、例えば重い統合失調症や躁うつ病の人が人工透析に至った場合、定期的な通院も含め処遇に困り絶望的な状況になるが、そのような事態に遭遇しないのである。失明や足の切断も同様である。自分の病院だけでなく他病院でもそうらしいので、滅多に起こらないことなのは間違いない。

 

だから内因性精神疾患における脳の不調は、単に身体的な不調と質的なものがちょっと違うのではないかと言う印象である。(内因性疾患の特殊性が他臓器にも影響しているのでは?と言う意味)

 

そもそも精神科医は、日常的に疾患の不平等な側面を診ていることが多い。少し精神疾患から離れたところにも、普通に不平等さが生じていると思ってしまうのであった。