強迫症状 | kyupinの日記 気が向けば更新

本人にとって重大な懸念

あまり多くはないが、精神科外来に家族だけが初診し家族の精神症状について相談を受けることがある。

 

僕は一時期、公的機関で精神科の健康相談をやっていた。これは平日の午後に予定されており、誰もやろうとしないため仕方なく受けた。毎週ではなく、月に1回しかなかったことも受けた理由の1つである。そもそも、自分の午後の休日を仕事と大差ない業務で潰すのは痛すぎると言えた。

 

興味を持っていた点として、このような相談機関にいかなる人たちが受診するのか?もあった。半日に2人までに受診が制限されていたため、時間をかけて話を聴くことができる。基本、治療ではないので薬を処方しないことが前提であるものの、例えば統合失調症と思われる事例だと、精神科受診すべきことを家族に推奨する流れになる。

 

相談後、どのような転帰になったかを相談室の担当者から聴くこともできた。僕が時間が経ち、このボランティアに近い健康相談を辞めたのは、あまりにも精神科受診に繋がらなかったからである。

 

やはり、家族を精神科に受診させようとしない人たちは特別な感覚の集団だと思った。

 

本題に戻るが、「子供(とは言え成人)が車に乗る際に、度々人と接触して怪我をさせていないかと警察署に確認に行く」という奇妙な相談があった。これは例えばコンビニの駐車場に停める際に車の後部に人がいると、もしかしたら当たったかも?と言う懸念から来る。

 

まさに一般の人がほとんど考えないような「本人にとっての重大な懸念」である。懸念というより大きな不安と言っても良い。

 

しかも警察署に行く際、必ず家族を連れて行くらしい。これは家族にとってバカバカしいと思うような内容な上に、毎日のように振り回されているため、ウンザリして相談に至ったのである。

 

一般的なことを言えば、車の後部に後部に人がいてゆっくり停車する際に当たったら、車の衝撃でわかると思う。また怪我をするほどの衝撃なら、コンビニの前だけに周囲は大騒ぎになるであろう。

 

これは精神科的には強迫症状と呼ばれ、治療可能な症状である。

 

精神科に受診すればフルボキサミンなどのSSRIが処方されることが多い。旧来の薬だとアナフラニールだが、アナフラニールよりSSRIの方が有効率が高いし副作用も少ない。

 

このようなことを懸念する人は、その相談の症状だけでなく、他にも日常生活に支障を来たすほどの症状を持っていることが多い。

 

このような相談では、家族にいかなる精神科的症状があるかを説明し、精神科病院やクリニックを紹介して相談業務を終了する流れになる。家族が生活上の工夫をしてなんとかなるものではないからである。

 

順調に行けば軽快まで至りそうな事例だが、このようなケースでさえ、精神科受診までさせられないのである。

 

その実りのなさを感じることが多かったことも、健康相談を辞めた理由であった。