
入浴しない精神科患者
外来精神科患者さんの中に、とんでもない長期間、風呂に入っていない人がいる。そのような患者さんが診察室に入ると悪臭が取れないので、診察が終わり次第、窓を開けて換気し消臭剤を噴霧する。そうでもしないと次の患者さんを診察室に入れられない。
そういえば、統合失調症の患者さんには加齢臭がないという古い記事がある。
加齢臭はなくても、ヘビースモーカーの人はタバコの臭いがあるし、入浴しない人は古い体臭と言うかゴミに近い臭いがある。あるいはタバコとゴミのごった煮のような臭気のこともある。しかし、それは加齢臭とは異なる。
精神科患者さんでも外来レベルの人は、臭いが酷すぎて消臭剤が必要な人は少ないとは言える。しかし酷い臭いのある人は毎回そうであり、外来患者である限り、その臭いが消えることなどない。こちらが入浴などの指導はできるが、それ以上、どうすることもできない。
近年は高齢化が進んだこともあり、小便や大便を漏らしたまま外来受診する人がいる。そのような人は紙オムツを使用するように言うが、鬱陶しいためか言うことを聴かない。あるいはその費用が勿体無いと思っているのかもしれない。
統合失調症で、入浴もせずズボンを大小便で汚したまま外来受診する人は、病院外で生活する限界地点に来ている。
入院患者さんの場合、半ば強制的に入浴させるため、ほぼ全員が入浴はしている。このほぼ全員という意味だが、頑として入浴しない人が稀にいることを言っている。
頑として入浴しない人を入浴させることはマンパワーが必要であり、毎回は入浴させられず、かろうじて1〜2週間に一度入浴させるくらいの人はいる。
このような人は全て男性かと言えば決してそうではなく、女性もそのように入浴を拒む人がいる。入浴を拒絶する人は男性も女性もない。少なくとも女性を入浴させることは、男性ほどはマンパワーは必要ない。
精神症状が悪く暴力的な男性患者さんを強制的に入浴させることは、職員の大怪我や死亡事故も視野に入るため、よほど差し迫らないとできないという事態も稀にある。
現代的な働き方改革の視点では、そこまで入浴しない人を、入浴させないで良いでしょう、の方が平和である。
この入院患者さんが入浴を嫌う根拠だが、統合失調症では頑固な妄想に由来することもある。例えば、「裸にして人身売買される」と思っているなどである。
しかしどちらかと言うと、入浴をここまで拒絶する理由がわからないことの方が多い。
入浴しない外来患者さんは、強制的に入浴をさせる方法などないので、凄い悪臭は改善することはない。
しかし、何かの原因で入院治療になった場合、服薬遵守させることでかなり入浴させやすくなる印象である。数えたことはないため、どのくらいのパーセントで改善するかはよくわからない。
服薬により、入浴にまつわる荒唐無稽の妄想が緩むことと、無為などの陰性症状の改善のため、入浴させやすくなるのでは?と思っている。