抗コリン作用を持つ薬物の認知への影響 | kyupinの日記 気が向けば更新

抗コリン作用を持つ薬物の認知への影響

先日の「レビーを疑う前に薬剤性を疑う」の記事に出てきた、

一般に内科薬は、抗コリン作用を軸に認知を悪化させるランキングがある。

について、読者の方からもう少し詳しい解説をしてほしいと言う希望があったため、今回補足の記事をアップすることにした。

従来から、抗コリン作用を持つ薬は特に老人のせん妄を悪化させると言われており、老人の不眠には、アタラックスPなどの眠剤は避けられていた。

しかしながら、これは厳密な対応ではなく、例えば催眠作用を期待して、比較的年配の人にトリプタノールを処方することはある。これはずっと使っているような人は多少高齢であっても、薬、対象者の関係が相対的なものになっているためである。

このブログでは、薬は単に強い、弱いだけでなく、服薬する側の薬物への忍容性の高低や年齢などを考慮すべきとしている。つまり、薬はあくまで相対的なものなのである。

たいてい高齢者では、内科だけでなく外科、皮膚科、婦人科などの薬は全く別のクリニックや病院で結果的に併用で処方されている。そのようなこともあり、個々の薬物にスコアが付けられ、その総和によりリスクが判断される。

総和の数字が小さい方が良く、せん妄を来たし難くなり、ひいては認知への影響を少なくすることができる。

スコア3点
Amitriptyline
Amoxapine
Atropine
Benztropine
Chlorpheniramine
Chlorpromazine
Clemastine
Clozapine
Darifenacin
Desipramine
Dicyclomine
Diphenhydramine
Doxepin
Flavoxate
Hydroxyzine
Hyoscyamine
Imipramine
Meclizine
Nortriptyline
Orphenadrine
Oxybutynin
Paroxetine
Perphenazine
Procyclidine
Promazine
Promethazine
Propentheline
Pyrilamine
Scopolamine
Thioridazine (withdrawn)
Tolterodine
Trifluoperazine
Trihexyphenidyl
Trimipramine

スコア2点
Amantadine
Belladonna alkaloids
Carbamazepine
Cyclobenzaprine
Cyproheptadine
Loxapine
Methotrimeprazine
Molindone
Oxcarbazepine
Pethidine hydrochloride
Pimozide


スコア1点
Alimemazine
Alprazolam
Alverine
Atenolol
Beclometasone dipropionate
Bupropion hydrochloride
Captopril
Chlorthalidone
Cimetidine hydrochloride
Clorazepate
Codeine
Colchicine
Dextropropoxyphene
Diazepam
Digoxin
Dipyridamole
Disopyramide phosphate Fentanyl
FluvoxaminFurosemidee
Haloperidol
Hydralazine
Hydrocortisone
Isosorbide preparations
Loperamide
Metoprolol
Morphine
Nifedipine
Prednisone/Prednisolone
Quinidine
Ranitidine
Theophylline
Timolol maleate
Trazodone
Triamterene
Warfarin

このスコアに記載している薬の名前は一般名なので、一般の人にはわかりにくいと思う。興味がある人はインターネットや薬の本で調べてほしい。

これは海外の論文からのもので、日本では未発売のものや、かつて発売されていたが、今は発売中止されているものもある。

向精神薬は一般に抗コリン作用を持つ薬物は多くあり、上記の一覧でもたくさんの薬物が上がっている。

向精神薬のうち、スコア3(影響が大きい)ものとして、トリプタノール、アモキサン、コントミン、クロザリル(クロザピン)、トフラニール、ノリトレン、パキシル、PZC、ヒベルナ(ピレチア)、メレリル(本邦発売中止)、アーテン、スルモンチールなどが挙げられている。

ただしこの一覧であるが、調査資料による相違がみられている。例えば、上記では、パキシルはスコア3であるが、スコア1のものもある。ノリトレンも上記はスコア3であるが、スコア2のものもあり、あくまで参考に留める方が良い。

少なくともいえるのは、精神科以外の薬でも、ポララミン、ペリアクチン、レスタミン、ポラキス、コランチル、ロートエキス、テルネリン、アトロピン製剤、ジルテック、ロペミン、タガメット、クラリチン、デトシトール、リオレサールなどは、抗コリン作用という点で、認知に悪影響を及ぼしやすいことである。

これはおかしいと思ったら、中止してみること(あくまで中止しても良い薬に限られるが)。

そうすることで、本来必要ではない、高価な認知症への薬物を投与しなくても済む場合も多い。