リスパダールコンスタの継続と中止の目安
リスパダールコンスタは、一般の抗精神病薬では治療の難しい統合失調症の患者さんに非常に有効なことがある。
基本的にリスパダールコンスタはリスパダール錠やインヴェガとは効き味が異なり、この3つは別な非定型抗精神病薬と考えて治療した方が実践的である。
少なくとも、リスパダールとリスパダールコンスタは後者の方が副作用も少なく、より賦活的であり、減量の際の離脱なども少ないかほとんどないように見える。
リスパダールコンスタは極めて薬価が高いため、治療効果の面で継続する甲斐がないと、医療経済的には良くないと思う。ほぼ同じ治療パフォーマンスと副作用レベルであれば、より安価な薬物を選択すべきだ。
リスパダールコンスタを使った場合、それまでの多剤の抗精神病薬を一掃できるのであれば理想的である。この場合、気分安定化薬の併用が必要な人もいるが、同じカテゴリーの薬ではないので、そのタイプの薬物の併用は悪くないと思う。
ところが、リスパダールコンスタのようなバカ高い薬を使いたくなるような人は、そう簡単にはまとまらないので、なおかつ他の薬を必要とする人もいる。それでもコンスタがあるとないとでは大違いという人たちも稀ではない。
外来患者さんでは、単剤、併用のいずれの場合でも、リスパダールコンスタを最高量50mgきちんと継続していて、数ヶ月して悪化が見られ、入院になるようではリスパダールコンスタを使い続ける価値がない。
そういう人は他の治療法を探すべきであろう。
25mg程度の少量で寛解状態にあり、突然悪化して入院する人はその限りではない。
続けても良いと思われるケース(入院)
①リスパダールコンスタを継続すると、他の抗精神病薬を大幅に減らすことができ、増悪時の程度がかなり緩和できる人(ほぼ退院できないレベルの病状の悪い人。いつも保護室に入ったり出たりの人)
②他の薬を併用しておりなお多剤だが、閉鎖病棟から出られなかった人が、開放病棟レベルに改善し、それが維持できる場合。(このレベルも重い)。
③疎通性がなく、いつも大声を出しているような荒廃状態で、しかも薬に弱く打つ手がないような人。リスパダールコンスタが筋注可能で、しかも精神症状が改善しているケース(看護者がかなり楽になる)。
④コンスタをしていると多少は良くなる程度の改善だが、代替できる抗精神病薬があまりにも少ない人(新薬が出たら試みるべき)。
リスパダールコンスタは2週間に1度筋注しなければならない持続性抗精神病薬なので、入院時に始めて改善し退院になった人は、その後最低限2週間ごとに筋注が必要になる。これは1ヶ月に1度の通院を希望する人たちにとって困ることであるが、説明して2週間に1度通院してもらう他はない。
一般に、統合失調症の人の服薬状況は退院早期に悪化する。きちんと服薬する人は100%に近いレベルで服薬するが、平均的には70~80%服薬してもらえれば御の字くらいに精神科医は思っている。実際、統計的にもそのレベルである。個人的に、病識がないのに70%服用できるのも驚異と思う。
それに対し、リスパダールコンスタの場合、2週間に1度のペースで通院している人はコンスタに限れば100%服薬しているのと同じである。だからこそだが、コンスタを継続していて再燃し入院になるのでは話にならない。
その人にとって、リスパダールコンスタは寛解状態を維持できる能力を欠いていると言える。
入院するほど悪化がなく通院レベルで、デイケアにも参加できる人では、コンスタを使う場合、レセプト的に非常に高価になるのがまずい。(重要)
ある時、これはもう15年以上前のことだが、生活保護の統合失調症の人を退院させ週に5日、デイケアに参加させていたら、市の福祉のケースワーカーに、
退院しているのに、なぜこんなに医療費がかかるんだ!
と文句を言われた。その福祉のケースワーカーは精神科でのリハビリ的医療がよく理解できていないと思った。
一般に、あまり多くない薬の量で、週に5日デイケアに参加した場合、18万円程度医療費がかかる。これは精神科での入院医療費の安さと比べるとかなり高価である。
このような人に更にリスパダールコンスタを併用すると、50mgアンプルの場合、25万円レベルになる。(あくまで原価を言っており、患者さんが窓口で支払う医療費は自立支援法を利用するためかなり安価。ここでは国の負担額についての議論)。
平均して、患者さんの医療費が高くなるのは病院的にも拙いし、日本の財政的にもよろしくない。
実際、非常にレセプトの点数が高い患者さんがいる場合、レセプトの審査の医師から病院に電話がかかって来ることが稀だがある。その際の注意だが、
自立支援法はこのような高価な診療報酬を想定していない。
というもの(自立支援法ではなく前の制度だったかもしれない)。高すぎるのは困ると言うのである。これは今の日本の経済的苦境を考えるに、十分考えられるものである。(むしろその方が自然な感覚である。医師にもコスト意識がないと国が倒れると思う。)
結局だが、外来でリスパダールコンスタをガンガン使うのは、あまり良くないという結論になる。僕の場合、入院患者さんの処遇が難しい人には、コンスタを利用するが、外来はなるだけ控えるように心がけている。それはエビリファイの液剤も同様である。
一般に医師はコスト意識が乏しい。これはやはり医師は公的医療機関に勤めていなくても、公務員的な職種だからに他ならない。
僕の場合、特に外来ではリスパダール錠ないし液剤を元々あまり使っていないため、もっぱら転院してきた人で、リスパダールがなかなか減量できない人にコンスタを処方している。
この場合、減量の過程でリスパダールとリスパダールコンスタを両方併用し、押したり引いたりしながら減量する。ここで失敗して増悪し入院するようでは困るが、リスパダールだけ処方されている人は量にもよるが、全てをコンスタに変更するのは比較的容易である。
この際に、コンスタを使い始めると、「前より気分が良くなった」「明るくなった」という感想が多いので、コンスタはより賦活的な薬物であるのを実感する。
最終的にだが、それまでリスパダールを6mg以上処方されていた人をいったんコンスタに変更し、時間が経ち、例えばジプレキサ10mgと気分安定化薬(デパケンRやラミクタールなど)の組み合わせになると理想的である。この方がコンスタを継続するより医療費もかからない。
リスパダールコンスタである程度良くなっている人を、ジプレキサやセロクエル、あるいはエビリファイなどに変更するのは度胸のいることである。
なんとなく、この辺りの見通しがつく人は対処がしやすいと思う。
参考
リスパダールコンスタが高すぎること
基本的にリスパダールコンスタはリスパダール錠やインヴェガとは効き味が異なり、この3つは別な非定型抗精神病薬と考えて治療した方が実践的である。
少なくとも、リスパダールとリスパダールコンスタは後者の方が副作用も少なく、より賦活的であり、減量の際の離脱なども少ないかほとんどないように見える。
リスパダールコンスタは極めて薬価が高いため、治療効果の面で継続する甲斐がないと、医療経済的には良くないと思う。ほぼ同じ治療パフォーマンスと副作用レベルであれば、より安価な薬物を選択すべきだ。
リスパダールコンスタを使った場合、それまでの多剤の抗精神病薬を一掃できるのであれば理想的である。この場合、気分安定化薬の併用が必要な人もいるが、同じカテゴリーの薬ではないので、そのタイプの薬物の併用は悪くないと思う。
ところが、リスパダールコンスタのようなバカ高い薬を使いたくなるような人は、そう簡単にはまとまらないので、なおかつ他の薬を必要とする人もいる。それでもコンスタがあるとないとでは大違いという人たちも稀ではない。
外来患者さんでは、単剤、併用のいずれの場合でも、リスパダールコンスタを最高量50mgきちんと継続していて、数ヶ月して悪化が見られ、入院になるようではリスパダールコンスタを使い続ける価値がない。
そういう人は他の治療法を探すべきであろう。
25mg程度の少量で寛解状態にあり、突然悪化して入院する人はその限りではない。
続けても良いと思われるケース(入院)
①リスパダールコンスタを継続すると、他の抗精神病薬を大幅に減らすことができ、増悪時の程度がかなり緩和できる人(ほぼ退院できないレベルの病状の悪い人。いつも保護室に入ったり出たりの人)
②他の薬を併用しておりなお多剤だが、閉鎖病棟から出られなかった人が、開放病棟レベルに改善し、それが維持できる場合。(このレベルも重い)。
③疎通性がなく、いつも大声を出しているような荒廃状態で、しかも薬に弱く打つ手がないような人。リスパダールコンスタが筋注可能で、しかも精神症状が改善しているケース(看護者がかなり楽になる)。
④コンスタをしていると多少は良くなる程度の改善だが、代替できる抗精神病薬があまりにも少ない人(新薬が出たら試みるべき)。
リスパダールコンスタは2週間に1度筋注しなければならない持続性抗精神病薬なので、入院時に始めて改善し退院になった人は、その後最低限2週間ごとに筋注が必要になる。これは1ヶ月に1度の通院を希望する人たちにとって困ることであるが、説明して2週間に1度通院してもらう他はない。
一般に、統合失調症の人の服薬状況は退院早期に悪化する。きちんと服薬する人は100%に近いレベルで服薬するが、平均的には70~80%服薬してもらえれば御の字くらいに精神科医は思っている。実際、統計的にもそのレベルである。個人的に、病識がないのに70%服用できるのも驚異と思う。
それに対し、リスパダールコンスタの場合、2週間に1度のペースで通院している人はコンスタに限れば100%服薬しているのと同じである。だからこそだが、コンスタを継続していて再燃し入院になるのでは話にならない。
その人にとって、リスパダールコンスタは寛解状態を維持できる能力を欠いていると言える。
入院するほど悪化がなく通院レベルで、デイケアにも参加できる人では、コンスタを使う場合、レセプト的に非常に高価になるのがまずい。(重要)
ある時、これはもう15年以上前のことだが、生活保護の統合失調症の人を退院させ週に5日、デイケアに参加させていたら、市の福祉のケースワーカーに、
退院しているのに、なぜこんなに医療費がかかるんだ!
と文句を言われた。その福祉のケースワーカーは精神科でのリハビリ的医療がよく理解できていないと思った。
一般に、あまり多くない薬の量で、週に5日デイケアに参加した場合、18万円程度医療費がかかる。これは精神科での入院医療費の安さと比べるとかなり高価である。
このような人に更にリスパダールコンスタを併用すると、50mgアンプルの場合、25万円レベルになる。(あくまで原価を言っており、患者さんが窓口で支払う医療費は自立支援法を利用するためかなり安価。ここでは国の負担額についての議論)。
平均して、患者さんの医療費が高くなるのは病院的にも拙いし、日本の財政的にもよろしくない。
実際、非常にレセプトの点数が高い患者さんがいる場合、レセプトの審査の医師から病院に電話がかかって来ることが稀だがある。その際の注意だが、
自立支援法はこのような高価な診療報酬を想定していない。
というもの(自立支援法ではなく前の制度だったかもしれない)。高すぎるのは困ると言うのである。これは今の日本の経済的苦境を考えるに、十分考えられるものである。(むしろその方が自然な感覚である。医師にもコスト意識がないと国が倒れると思う。)
結局だが、外来でリスパダールコンスタをガンガン使うのは、あまり良くないという結論になる。僕の場合、入院患者さんの処遇が難しい人には、コンスタを利用するが、外来はなるだけ控えるように心がけている。それはエビリファイの液剤も同様である。
一般に医師はコスト意識が乏しい。これはやはり医師は公的医療機関に勤めていなくても、公務員的な職種だからに他ならない。
僕の場合、特に外来ではリスパダール錠ないし液剤を元々あまり使っていないため、もっぱら転院してきた人で、リスパダールがなかなか減量できない人にコンスタを処方している。
この場合、減量の過程でリスパダールとリスパダールコンスタを両方併用し、押したり引いたりしながら減量する。ここで失敗して増悪し入院するようでは困るが、リスパダールだけ処方されている人は量にもよるが、全てをコンスタに変更するのは比較的容易である。
この際に、コンスタを使い始めると、「前より気分が良くなった」「明るくなった」という感想が多いので、コンスタはより賦活的な薬物であるのを実感する。
最終的にだが、それまでリスパダールを6mg以上処方されていた人をいったんコンスタに変更し、時間が経ち、例えばジプレキサ10mgと気分安定化薬(デパケンRやラミクタールなど)の組み合わせになると理想的である。この方がコンスタを継続するより医療費もかからない。
リスパダールコンスタである程度良くなっている人を、ジプレキサやセロクエル、あるいはエビリファイなどに変更するのは度胸のいることである。
なんとなく、この辺りの見通しがつく人は対処がしやすいと思う。
参考
リスパダールコンスタが高すぎること