ラミクタールによる躁転の副作用
ラミクタールによる躁転の副作用は5%程度あるらしい。
この「ラミクタールによる躁転」現象は非常に興味深い。
というのは、ラミクタールは抗てんかん薬であり、同時に双極性障害の薬でもあるからである。
過去ログでは、ラミクタールは気分安定化薬と呼べる薬理特性を持つと記載している(参考)。ラミクタールは気分安定化薬でありながら、躁転の副作用を持つ。ここが新鮮というか、驚きなのである。
代表的な気分安定化薬の1つ、リーマスは急性期の躁状態か、その後の安定期に躁転あるいはうつ転の予防として処方されている。
だから、はっきりとした躁状態の人にリーマスを処方する際は躁転の副作用は目視できない。もし躁状態がいっそう悪化したとしても、リーマスの副作用とは普通は思わないのである。(この人には効いていないのでは?とは思うが)。
またリーマスは長期処方し安定していた人が急に躁転した場合でも、もちろんリーマスの副作用で躁転したとは思わない。血中濃度が適切なら、この人はリーマスでコントロールは難しいのでは?と思うだけである。
それ以前に数ヶ月から数年安定していたのであれば、医学的にも「リーマスを適切量服薬していたが、なお躁転が見られた」と考える方が自然である。リーマスの躁転であれば、処方初期に躁転していたはずだし、それまでの長期安定の説明がつかない。
ラミクタールは中毒疹の副作用のため初期から急速増量できない。これはてんかん、双極性障害いすれの疾患でも同様である。
初期に少量処方した際に、気分が浮き気味になり爽快感を覚える人が稀ではなく、人によれば2型躁転に見える人もいるはずである。ただ、その躁転に至る背景や経緯がリーマスと異なる。ラミクタールは普通、躁状態時には単独で処方されそうにない。その大きな理由は2つあり、ラミクタールは急性に生じる躁状態には効果がないと言われていることと、十分量と思われるレベルまで増量するのに時間がかかりすぎることがある。
結局、ラミクタールは双極性障害のうつ状態に嵌っている状況で処方されることが多いため、躁転が目視しやすいのであろう。
このパターンはアモキサンなどの抗うつ剤による躁転と全く同じであるが、アモキサンは1型躁転まで生じうるのに対し、ラミクタールは力弱いプチ躁転くらいしか起こしそうにない。それは初期にはたいした量を処方できないことも微妙に関係しているように思う。
個人的に、ラミクタールによる躁転は2型すら経験していないのであるが、一般的なスピードで増量していれば、2型躁転に至ったのでは?と思われる人は経験している。(自分の場合、初期量や増量のスピードが遅く、1年経ってもまだ隔日12.5mgの人もいるため)。
1型も2型も社会的要素が関係している。だから、特に2型の場合、入院する必要がないほどの躁転なので、線引きが難しい。
普通、2型躁転一歩手前くらいに賦活した人は、完全に治ったのでは?と思うほど、気分の好転を実感する。これはひょっとしたら1型躁転したかも?と思う人もいるが、真の1型躁転に至った人はそういうことに気付けない人がほとんどである。(参考)
双極性障害では特に2型の場合、躁うつ混合の「濁ったタイプの躁転」を呈することがある。これは、非常に興味深い病態であるが、ラミクタールによる賦活では、そのようなタイプの躁転が避けやすいように思われる。
過去ログで、ラミクタールとサインバルタを併用し治療したエントリがある。あのような経過で遅れてラミクタールを追加したのは、少しそのような目的もあったのである。ラミクタールは認知に好影響を及ぼす。またラミクタール、サインバルタいずれも意識をクリアにする傾向がある。特に躁転のリスクを孕む「内因性うつ状態」ではラミクタールを予防的に処方することは理にかなっているのかもしれない。
ラミクタールは、カプランなどの書籍を読むと、「FDAにより双極1型障害の維持治療薬として認可された」と書かれている。(2003年)
また「臨床試験では、より長く安定した気分に患者を保つことが示されており、うつ病相を予防するという点で特に効果が示されている。ラミクタールは、維持治療薬として、これまでリーマスが処方されてきたのと同様な状況で使用できる」とされている。
これを見ると、ラミクタールは単に抗うつ剤ではなく双極性障害の薬として認識されていることがわかる。
それでもなお、ラミクタールは少量投与の局面で、やや抗うつ剤っぽいところがあるのである。
抗うつ剤との大きな相違は、極めて少量でも双極性障害のうつを改善する力が一般の抗うつ剤に比べ高いこと。また、量が多くなると抗うつ剤(特に3環系)は躁転が生じやすくなることに比べ、ラミクタールはフラット感が出てくることであろう。そこが気分安定化薬らしい点である。
容易に1型躁転させるような薬であれば、FDAは「双極1型障害の維持療法」として認可しないであろう。
参考
トピナは気分安定化薬なのか?(3)
双極2型の予後(9)
罪業妄想の強いうつ状態(前半)
この「ラミクタールによる躁転」現象は非常に興味深い。
というのは、ラミクタールは抗てんかん薬であり、同時に双極性障害の薬でもあるからである。
過去ログでは、ラミクタールは気分安定化薬と呼べる薬理特性を持つと記載している(参考)。ラミクタールは気分安定化薬でありながら、躁転の副作用を持つ。ここが新鮮というか、驚きなのである。
代表的な気分安定化薬の1つ、リーマスは急性期の躁状態か、その後の安定期に躁転あるいはうつ転の予防として処方されている。
だから、はっきりとした躁状態の人にリーマスを処方する際は躁転の副作用は目視できない。もし躁状態がいっそう悪化したとしても、リーマスの副作用とは普通は思わないのである。(この人には効いていないのでは?とは思うが)。
またリーマスは長期処方し安定していた人が急に躁転した場合でも、もちろんリーマスの副作用で躁転したとは思わない。血中濃度が適切なら、この人はリーマスでコントロールは難しいのでは?と思うだけである。
それ以前に数ヶ月から数年安定していたのであれば、医学的にも「リーマスを適切量服薬していたが、なお躁転が見られた」と考える方が自然である。リーマスの躁転であれば、処方初期に躁転していたはずだし、それまでの長期安定の説明がつかない。
ラミクタールは中毒疹の副作用のため初期から急速増量できない。これはてんかん、双極性障害いすれの疾患でも同様である。
初期に少量処方した際に、気分が浮き気味になり爽快感を覚える人が稀ではなく、人によれば2型躁転に見える人もいるはずである。ただ、その躁転に至る背景や経緯がリーマスと異なる。ラミクタールは普通、躁状態時には単独で処方されそうにない。その大きな理由は2つあり、ラミクタールは急性に生じる躁状態には効果がないと言われていることと、十分量と思われるレベルまで増量するのに時間がかかりすぎることがある。
結局、ラミクタールは双極性障害のうつ状態に嵌っている状況で処方されることが多いため、躁転が目視しやすいのであろう。
このパターンはアモキサンなどの抗うつ剤による躁転と全く同じであるが、アモキサンは1型躁転まで生じうるのに対し、ラミクタールは力弱いプチ躁転くらいしか起こしそうにない。それは初期にはたいした量を処方できないことも微妙に関係しているように思う。
個人的に、ラミクタールによる躁転は2型すら経験していないのであるが、一般的なスピードで増量していれば、2型躁転に至ったのでは?と思われる人は経験している。(自分の場合、初期量や増量のスピードが遅く、1年経ってもまだ隔日12.5mgの人もいるため)。
1型も2型も社会的要素が関係している。だから、特に2型の場合、入院する必要がないほどの躁転なので、線引きが難しい。
普通、2型躁転一歩手前くらいに賦活した人は、完全に治ったのでは?と思うほど、気分の好転を実感する。これはひょっとしたら1型躁転したかも?と思う人もいるが、真の1型躁転に至った人はそういうことに気付けない人がほとんどである。(参考)
双極性障害では特に2型の場合、躁うつ混合の「濁ったタイプの躁転」を呈することがある。これは、非常に興味深い病態であるが、ラミクタールによる賦活では、そのようなタイプの躁転が避けやすいように思われる。
過去ログで、ラミクタールとサインバルタを併用し治療したエントリがある。あのような経過で遅れてラミクタールを追加したのは、少しそのような目的もあったのである。ラミクタールは認知に好影響を及ぼす。またラミクタール、サインバルタいずれも意識をクリアにする傾向がある。特に躁転のリスクを孕む「内因性うつ状態」ではラミクタールを予防的に処方することは理にかなっているのかもしれない。
ラミクタールは、カプランなどの書籍を読むと、「FDAにより双極1型障害の維持治療薬として認可された」と書かれている。(2003年)
また「臨床試験では、より長く安定した気分に患者を保つことが示されており、うつ病相を予防するという点で特に効果が示されている。ラミクタールは、維持治療薬として、これまでリーマスが処方されてきたのと同様な状況で使用できる」とされている。
これを見ると、ラミクタールは単に抗うつ剤ではなく双極性障害の薬として認識されていることがわかる。
それでもなお、ラミクタールは少量投与の局面で、やや抗うつ剤っぽいところがあるのである。
抗うつ剤との大きな相違は、極めて少量でも双極性障害のうつを改善する力が一般の抗うつ剤に比べ高いこと。また、量が多くなると抗うつ剤(特に3環系)は躁転が生じやすくなることに比べ、ラミクタールはフラット感が出てくることであろう。そこが気分安定化薬らしい点である。
容易に1型躁転させるような薬であれば、FDAは「双極1型障害の維持療法」として認可しないであろう。
参考
トピナは気分安定化薬なのか?(3)
双極2型の予後(9)
罪業妄想の強いうつ状態(前半)