out of controlですよ | kyupinの日記 気が向けば更新

out of controlですよ

躁うつ病の人の診察中。

彼は今までになかったようなことをやり始めようとしていたので、少し上がっているのではないかと思った。僕がそれを指摘すると、

out of controlですよ。

とニヤリ。僕は、

それが自分で言えたらたいしたものだよ。

と言った。本当にそう思ったし。

この人の診断は躁うつ病だが、幻覚妄想を伴い非定型精神病的だと思う。こういう人は統合失調感情障害とは僕は言わない。医師によれば非定型精神病と診断する人もきっといると思う。

彼には数々の武勇伝がある。

ところが、最後の長い約1年ほど入院の後、以前には予測していなかったほど落ち着いてきた。1型躁状態がなくなり、また被害妄想が消失したからである。2型躁状態もほとんどみられなくなっていた。軽度のうつ状態があることはあるが、苦痛がなく治療を要さないほどなのである。

彼には躁状態であれ、うつ状態であれ、洞察が全然できなかったので、病識が欠如していると言えた。ところが、この日は「out of controlですよ」と言い、照れ笑いしていたので、以前と随分違うと思った。

彼の処方は少量のリーマス(400㎎)とセロクエル(150㎎)である。セロクエルは補助的にはかなり良いが、主剤はリーマスには変わりはない。彼はリーマスの内服が少なくても血中濃度がわりあい上がるのが特徴である。いつも0.7くらいはある。時に1.0くらいに上がっている。

セロクエルは双極性障害に効くと言うが、これだけで様子を診ていると、なんらかのライフイベントで躁転してしまうのをよく診る。セロクエルはむしろ、うつ状態を酷くさせないような効き方の方がメインで、躁転を抑えるには力不足だろう。これはジプレキサにも言える。

しかし双極性障害の人たちに、セロクエルを併用することで、普段の生活の質が上がるような面があることも確かだ。セロクエルを眠前に使うと睡眠を改善することがあるし、日中に服用することで不快感を軽減することもある。セロクエルは統合失調症では認知を改善すると言うが、このような洞察の改善にも多少は関係しているのかもしれない。

セロクエルは本当に便利な薬だと思う。