セロクエルの減量 | kyupinの日記 気が向けば更新

セロクエルの減量

最近、セロクエルの減量を行った患者さんが数人いる。いずれも統合失調症圏の患者さんであり、減量するのはそれなりに理由があった。

ある人は高齢であり、最近突然歩行障害が出てきたので思い切って中止した。歩行障害は錐体外路症状っぽいのであるが、減量してもそこまで急には良くならない。だいたい、この患者はセロクエルの単剤であるが、400mg使っているとはいえ、ここまで長期に使っていて、急にこのような副作用が出るものかという疑問もある。

セロクエルは、プラセボと錐体外路系の副作用の有意差がないのだ。

もっと謎なのは、全く中止しているのにもかかわらず、全然精神症状も悪化しないこと。もう1ヶ月以上にもなるのである。なんだかEPSが残遺している限り、精神は悪くはならないような気がしてきた。そういう傾向もあるから。さすが、セロクエルといったところ。

他のもう1人は、メインがセロクエル600mg、ルーラン24mgであった。この人はもう長く調子が良いので、セロクエルを減量してみた。こう書くとずいぶん平凡な感じがするだろうが、そうではない。かつてルーランを減量しても、セロクエルを減量しても失敗した経緯があるから。しかも数回も。いい加減、懲りろよ、といったところであるが、僕はこの組み合わせでこの量なのが気に入らない。併用なのにセロクエルがほぼ最高量というところである。

今回はやっとうまくいった。今はセロクエル300mg、ルーラン24mgである。減量という医療行為は時間のパラメータに関連している。だからある時点で失敗しても、別のステージで成功する可能性はある。まさにそういう感じだった。

もう1人は、もっと感じが違う。ある女性は基本的に病状が重いのであるが、セロクエル300mg、セレネース3mgの処方だった。ある時、ジストニアが出始め、もう中止せざると得ない状況に追い込まれた。この患者さんの場合、一見、セレネースさえ中止できれば改善するように見える。しかししばらくセロクエルだけで様子を見ていても、完全に良くなるようには思えなかった。それは軽くはなったけど。こういう点でも、セロクエルも完全にプラセボと同じではない。

そこでセロクエルを思い切って中止し、しばらく完全にオフにしていたが、さすがにこれだとジストニアがほぼ消失してきた。しかしこの患者さんの場合、完全にゼロを続けていれば必ず悪化する。これは長く診ているからわかるのである。悪化した場合、対応がけっこう大変なこともあり、50mgだけ追加。これだとまだ副作用が出ない。でもきっと、50mgでは足りないのである。せめて150mgまでいかないと。

またある女性場合、セロクエル600mg、ロドピン150mgといった感じの処方であった。この処方でかなり安定しており、副作用も、かつては肥満以外は全然なかった。なぜかつてなのかというと、本人が肥満をダイエットで克服したからである。

僕はその人は統合失調症というより非定型精神病に近いので、デパケンRを追加して他を減らす方針でいくことにした。ロドピンは難なく中止できた。今は、セロクエル300mg、デパケンR400mgの処方であるが、今のところ問題ない。

こう書いてみると、セロクエルという薬はけっこう謎な薬だと思ったりする。

参考
SDA
セロクエル
ルーラン
ロドピン