非定型抗精神病薬の病状悪化率
定型抗精神病薬に比べ、非定型抗精神病薬は精神症状の悪化を来たすことが多いと書いたことがある。特に、ジプレキサとエビリファイは悪化時のスケールが大きすぎる。(ジプレキサ>エビリファイ)
エビリファイの定着率が数%と言っている友人は、エビリファイで患者さんが次々と保護室送りになったなどと話していたが、あながち大げさではない。僕はジプレキサとエビリファイの悪化が酷いのは、劇的に良くなるケースがあることの裏返しのような感じがしている。つまり病状を劇的に変えるというか、良かれ悪かれある均衡状態を崩すのであろう。
実は、非定型抗精神病薬の悪化率なるものの調査があり、単に悪化する率からみると、エビリファイはそれほどではない。非定型の中では真ん中くらい。最も悪化率が高いのがセロクエル。次がジプレキサで、悪化率が低いのはリスパダールであった。
セロクエルは弱いのが特色なので、量が不足すればやはり悪いし、十分な量でも突然悪化するケースはある。だが、臨床的にはジプレキサやエビリファイのような酷い悪化は来たしにくい感覚がある。それでも良いか悪いかの2者択一だとパーセント的には高いのであろう。
うちの病院でジプレキサで悪化し、その後数ヶ月保護室に入り、さらにそれ以上の期間状態が悪かった人がいる。ざっとみて1年間は悪かった。最近、ようやく落ち着いたが、今の処方はトロペロンやロドピンなどの多剤併用になっている。新しいタイプの非定型はすべてダメであった。効かないのならまだわかるが、数ヶ月単位で悪化させるのである。それでも今は、ここ数年来最も良くて、安定期間が半年を超えたので、2月に退院させるつもりでいる。退院を果たせたなら入院期間はなんと24年間。
何が大変だったかと言うと家族への説得。長い期間入院している人は急に退院になっても帰るところはない。かといって、この程度の重さの人は単身でアパート暮らしも最初からは無理なので、共同住居などへの入所を考えるのである。
最近、悪化したまま長く保護室に入っている患者さんがいる。この患者さんはリスパダールが悪かった。というか、非定型はすべて悪いのだが。
もう1ヶ月以上保護室に入っていて、食事をしない、薬を飲まない、水を飲まないの3点セットであった。電撃療法も考えたが、僕は気が進まなかった。なぜならそう若くはないからだ。それでもこの場合、電撃療法が回復が早いので、家族にも勧めたがアクセプトされず、それ以外の方法でなんとかすることにした。
その後、試行錯誤の連続で未だに良くならない。第一、古い薬もそう効かないように見える。なぜか僕の前だけでは薬を飲むので、1日に何回かは服用できる。その時にある程度は水も飲む。看護師さんではまず飲まず、僕のみ服用するのがショックだと彼女たちは言うが、何年も同じ人を診ていると不思議にそうなるのである。
何日か前に保護室に言ったら、その患者さんは急に立ち上がり大声で叫び続けているので、なぜか聞いてみた。僕に鉄砲の弾が当たらないように叫んで教えてくれているらしい。ここまで悪いのに、心配してくれているのがちょっと驚き。
ここ数週間、本当に食事を摂らない。いつも何口か程度。点滴は看護師がする間いつもついていれば抜去はない。体調的には良いはずはないので、いつもCPKを監視しながら薬物治療を続けないといけない。
もう10年以上前、以前に勤めていた病院での話。ある女性患者さんが全然食事を摂らず、それをなんとか食べさせようと皆で説得していた。その患者さんはご飯にお味噌汁をかけて、スプーンでグチャグチャにしており、しかも数時間前からそのままであった。ニャンニャン飯になっていたのである。
当時の院長は、「これが食えんか」と言い、それを自分で食べて見せたのであった。毒が入っていないことを証明するためだ。あまりに驚いたというか、あれは僕にはできない。それだけで、その院長は尊敬できると思った。
話が逸れたが、今の保護室の患者さん、薬物でガリガリやっても根本的に無理のように思い始めた。それでも将来的にはきっと軽快すると確信している。こういう人は最終的になんとかなる。なぜなら、なんとかならなかった人を経験したことがないから。電撃療法との違いは早いか遅いかの違いだけなのである。
この患者さんの特徴は、リスパダールでこじれてから、被毒妄想が出現していること。この被毒妄想というのがクセモノで、カルテを検索する限り、発病後40年間にわたり出たことがないようなのである。つまり何を言いたいかというと、今回の増悪はちょっと違うということ。薬物性というか人工的なもののような感覚がある。
その後、思い切って内服の抗精神病薬を減量しそのかわりセレニカRを入れた。抗精神病薬は今はニューレプチルを処方しているが、これはちょっと今までとは違って効いているよううに見える。セレニカRとどちらか良いかというと、ニューレプチルの方が有効のような気がしている。変化は、飲水や少しだけ食べるのに要する看護者のエネルギーが以前ほどかからないこと。夜、眠り始めたので、少しは快方に向かっている。
精神科や心療内科クリニックのドクターは外来だけなのに、よくジプレキサやエビリファイを処方できると思うよ。度胸ありすぎ。僕は病室が満床の時は、怖くて外来では新規にジプレキサを処方できない。どうしても悪くなった時のことが頭をよぎる。満床なら悪くなった時にその後の面倒が診られない。悪くなって他病院に紹介して治療を依頼するなんて、患者さんに気の毒すぎる。
エビリファイの定着率が数%と言っている友人は、エビリファイで患者さんが次々と保護室送りになったなどと話していたが、あながち大げさではない。僕はジプレキサとエビリファイの悪化が酷いのは、劇的に良くなるケースがあることの裏返しのような感じがしている。つまり病状を劇的に変えるというか、良かれ悪かれある均衡状態を崩すのであろう。
実は、非定型抗精神病薬の悪化率なるものの調査があり、単に悪化する率からみると、エビリファイはそれほどではない。非定型の中では真ん中くらい。最も悪化率が高いのがセロクエル。次がジプレキサで、悪化率が低いのはリスパダールであった。
セロクエルは弱いのが特色なので、量が不足すればやはり悪いし、十分な量でも突然悪化するケースはある。だが、臨床的にはジプレキサやエビリファイのような酷い悪化は来たしにくい感覚がある。それでも良いか悪いかの2者択一だとパーセント的には高いのであろう。
うちの病院でジプレキサで悪化し、その後数ヶ月保護室に入り、さらにそれ以上の期間状態が悪かった人がいる。ざっとみて1年間は悪かった。最近、ようやく落ち着いたが、今の処方はトロペロンやロドピンなどの多剤併用になっている。新しいタイプの非定型はすべてダメであった。効かないのならまだわかるが、数ヶ月単位で悪化させるのである。それでも今は、ここ数年来最も良くて、安定期間が半年を超えたので、2月に退院させるつもりでいる。退院を果たせたなら入院期間はなんと24年間。
何が大変だったかと言うと家族への説得。長い期間入院している人は急に退院になっても帰るところはない。かといって、この程度の重さの人は単身でアパート暮らしも最初からは無理なので、共同住居などへの入所を考えるのである。
最近、悪化したまま長く保護室に入っている患者さんがいる。この患者さんはリスパダールが悪かった。というか、非定型はすべて悪いのだが。
もう1ヶ月以上保護室に入っていて、食事をしない、薬を飲まない、水を飲まないの3点セットであった。電撃療法も考えたが、僕は気が進まなかった。なぜならそう若くはないからだ。それでもこの場合、電撃療法が回復が早いので、家族にも勧めたがアクセプトされず、それ以外の方法でなんとかすることにした。
その後、試行錯誤の連続で未だに良くならない。第一、古い薬もそう効かないように見える。なぜか僕の前だけでは薬を飲むので、1日に何回かは服用できる。その時にある程度は水も飲む。看護師さんではまず飲まず、僕のみ服用するのがショックだと彼女たちは言うが、何年も同じ人を診ていると不思議にそうなるのである。
何日か前に保護室に言ったら、その患者さんは急に立ち上がり大声で叫び続けているので、なぜか聞いてみた。僕に鉄砲の弾が当たらないように叫んで教えてくれているらしい。ここまで悪いのに、心配してくれているのがちょっと驚き。
ここ数週間、本当に食事を摂らない。いつも何口か程度。点滴は看護師がする間いつもついていれば抜去はない。体調的には良いはずはないので、いつもCPKを監視しながら薬物治療を続けないといけない。
もう10年以上前、以前に勤めていた病院での話。ある女性患者さんが全然食事を摂らず、それをなんとか食べさせようと皆で説得していた。その患者さんはご飯にお味噌汁をかけて、スプーンでグチャグチャにしており、しかも数時間前からそのままであった。ニャンニャン飯になっていたのである。
当時の院長は、「これが食えんか」と言い、それを自分で食べて見せたのであった。毒が入っていないことを証明するためだ。あまりに驚いたというか、あれは僕にはできない。それだけで、その院長は尊敬できると思った。
話が逸れたが、今の保護室の患者さん、薬物でガリガリやっても根本的に無理のように思い始めた。それでも将来的にはきっと軽快すると確信している。こういう人は最終的になんとかなる。なぜなら、なんとかならなかった人を経験したことがないから。電撃療法との違いは早いか遅いかの違いだけなのである。
この患者さんの特徴は、リスパダールでこじれてから、被毒妄想が出現していること。この被毒妄想というのがクセモノで、カルテを検索する限り、発病後40年間にわたり出たことがないようなのである。つまり何を言いたいかというと、今回の増悪はちょっと違うということ。薬物性というか人工的なもののような感覚がある。
その後、思い切って内服の抗精神病薬を減量しそのかわりセレニカRを入れた。抗精神病薬は今はニューレプチルを処方しているが、これはちょっと今までとは違って効いているよううに見える。セレニカRとどちらか良いかというと、ニューレプチルの方が有効のような気がしている。変化は、飲水や少しだけ食べるのに要する看護者のエネルギーが以前ほどかからないこと。夜、眠り始めたので、少しは快方に向かっている。
精神科や心療内科クリニックのドクターは外来だけなのに、よくジプレキサやエビリファイを処方できると思うよ。度胸ありすぎ。僕は病室が満床の時は、怖くて外来では新規にジプレキサを処方できない。どうしても悪くなった時のことが頭をよぎる。満床なら悪くなった時にその後の面倒が診られない。悪くなって他病院に紹介して治療を依頼するなんて、患者さんに気の毒すぎる。