エビリファイの謎 (エビリファイその8)
エビリファイだが、うちの病院では処方数を順調に伸ばしている。現在は長期療養中の患者さんへの切り替えが少しずつ進んでいる感じ。古くからうちの病院で入院している人では、吐き気の副作用がさほど出ない。ちょっと変だけど、最近は吐き気の副作用が出にくくなっているような気がしている。ひとつは対象患者が変わってきているのと、3mgから開始しているのが大きいと思っている。不思議に思うのは、定型の抗精神病薬を大量に使っている人でもエビリファイの追加でいかにも非定型的な効果がみられること。これは薬理学的には一見、奇妙に見える。
例えば、こんな感じ。
トロペロン24mg
↓
トロペロン18mg
エビリファイ6mg
トロペロンを20mg以上処方していたら、エビリファイを追加してもあまり意味がないような感じがするがそうではない。個人的に、たぶんエビリファイはずば抜けてD2受容体に親和性が高いので、既存の薬物を押しのけて結合するのではないかと思っている。その後、受容体の立体的な構造が変化し、他の薬物の薬理作用にも影響しているんだろう。エビリファイはたぶん親和性が極めて高いからだろうと思うが、用量依存性がさほどない。こういう点はセロクエルなどと大違いだ。最近、そんなわけで薬物の整理が順調に進んでいる。
これはデイケアのメンバーさんだが、
リスパダール6ml
トロペロン12mg
クロフェクトン75mg
↓
エビリファイ6mg
トロペロン12mg
これで劇的に良い。この患者さんはもう3年診ているのだが、こんなに良くなったことは過去になかった。何が良いといって、表情の明るさが全然違う。時々トロペロンの筋注を受けていたがそんなこともなくなった。
こんな人もいる。
リスパダール12mg
レボトミン400mg
セレネース液5ml
↓
リスパダール6mg
エビリファイ6mg
本人によれば、生まれて以来、最も病状が良いんだそうだ。まあ、生まれて以来というはずはないわな。この人、もう25年くらい入院していて、本人も退院は難しいと思っていたようであるが、最近、退院してみようかと言い始めた。退院したら、うちの病院で働きたいと言うので、理事長に聞いてみたところ、既にOKが出ている。こういう効き方が驚異的なのである。
こんな人もいる。
ルーラン48mg
セロクエル300mg
↓
エビリファイ12mg
これでよかったんだが、どうも振戦が酷すぎるのでエビリファイを減量しつつセロクエルを150mg追加して、現在は
エビリファイ6mg
セロクエル150mg
になっているが、これでもこの6年間では最も良い。エビリファイはあんがい振戦などの錐体外路症状が出現する。
上の患者さんたちは単剤でやれている人が少ないが、エビリファイを待っていた?ような人はそんな風な人が多いんだろうと思う。この用量依存性が低く、わりと少ない薬物量でやれているのがすごいというか、21世紀からやってきたような不思議な薬と思うのである。実は、もう21世紀になってしまっているわけだけどね。(22世紀からというのは誉めすぎになるので・・)