セロクエル(その3) | kyupinの日記 気が向けば更新

セロクエル(その3)

セロクエルだが、アメリカではFDA(食品医薬品局)による6ヵ月毎の白内障検査の警告がある。これはセロクエルの高用量でイヌに白内障が出現したことと関係があると思われる。しかし、ヒトやサルにはみられないので、イヌ固有の水晶体内コレステロール生成阻害作用によるものと推測されているようだ。日本ではこの種の警告はない。それどころかアステラス製薬のプロパーでさえ、アメリカでこのような警告があることを知らない。(別に知らないで良いけど) 少なくとも、セロクエルと水晶体混濁のとの間の因果関係を裏付ける例は市販後はないらしい。


もともと抗精神病薬と白内障の関連を示す報告は多数存在している。例えば、水晶体嚢白内障とセレネースによる長期治療の関係がみられ、フェノチアジン系薬物(コントミンなど)はレンズ内沈着物を形成することが認められているし、レンズ変化を誘導するという報告もある。また統合失調症自体が、白内障のリスクファクターであるという文献もある。栄養不良も白内障のリスクファクターなので、統合失調症による精神症状(拒食や著しい偏食など)によるものもあるので、どの要因がどれだけ関与しているかを明言するのは難しい。


うちの病院で老人の女性にセロクエル600mgを処方して経過がとても良い人がいる。この患者さんはセロクエルを処方する前から白内障だったので、時々眼科に受診させて経過観察しているが、もともと白内障は進行が遅いので関係があるかどうかさっぱりわからない。少なくとも、どんどん進行しているようには見えないんだな。このように同一の薬物でも、禁忌、警告の内容が国によりかなり違っているのは興味深い。