セロクエル(その2)
セロクエルは、一時うちの病院で最も処方数が多い非定型抗精神病薬だった。今は、どうかわからないけど、やはり最も多いくらいなのかもしれない。少し眠いくらいで副作用が少ないこと。認知に関しても効果が良い。失敗して病状が悪化することが少ないのも良い。悪い点は高価なこと。しかもすぐに600mgまで到達してしまう。上限で750mgまで処方できるけど、600mgも750mgもあまり効果は変わらんと思う。むしろ750mgで効果が足りないなら、少し控えめにして他の薬物を併用する方が気が利いていると思う。セロクエル750mgというのは、いかなる非定型抗精神病薬の上限より費用がかかっており、このまま他の薬剤を併用した場合、レセプトで減点されやすいのもある。そういうわけで、うちの病院ではセロクエル750mgという処方はない。
セロクエルは幻覚妄想には効果がやや弱い。ということは、陰性症状には良いんだろうと思うかもしれないが、実は陰性症状にはセレネース(ハロペリドール)と有意差がなかったというレポートがある。プラセボとはさすがに有意差が出たのだが。定型抗精神病薬は陰性症状に効果が乏しいと思うかもしれないが、実は効果があるんだな。陰性症状、陽性症状と分けられているが一連と思えるものもあり、定型の薬物で陽性症状が改善してくると陰性症状も良くなってくることが多い。セレネースは少量では賦活、量を多く使えば抗精神病作用が強く出てくるなんて言われていた。定型の薬物の問題点は、錐体外路症状や遅発性ジスキネジアなどの副作用が出やすいことなのである。
こういう風に書いていくと、セロクエルがなぜ多く使われるのかよくわからないと思うだろう。セロクエルの最も偉大な点は、錐体外路症状についてプラセボと有意差がないなど、副作用の究極の少なさである。他、プロラクチン値も上昇を来たさない。陰性症状についても、セレネースと差がないというのはテスト上のことで、臨床的には上々だ。陰性症状についても旧来の薬物より効果があるように見える。初診で来院していきなり不快な副作用が出てしまうと困るような時、セロクエルは使いやすいのである。