(またちょっと重いお話です、、、)
私が勤める会社の同じ部に、以前、日本人の男性がおりました。
私より5歳くらい年上の方でした。
小学校の高学年の頃にご両親が離婚され、お母様に引き取られ育ったそうなのですが、その頃の日本は今とは全く違い、離婚や片親に対する差別が結構あったそうで、かなりいじめられたり、辛い思いをされたそうです。
(私が子供の頃は、「不良少女と呼ばれて」が 流行っていた時代ですので、その様な家庭環境への差別はなく、反対に学校では “ワルの下地でクール” と思われる風潮がありました。たった5-6年の事で採らわれ方が全然違いますよね。ネコちゃんまで、暴走族風の身なりをさせられた「なめ猫ブーム」もあったくらいです。)
その後 成長し、バックパッカーとなり世界中を旅したそうです。
色々な経験をしながら、そして何の縁なのか、終着駅がここトルコのイスタンブールとなったと。
その方は、心臓肥大症で52歳で亡くなってしまったのですが、その亡くなる前に何度か私に不思議な体験を話してくれたものでした。
「キラズさんは僕の性格を良く知ってるよね、トルコにいながらにしてアンチイスラム、宗教自体全く信じないし、お化けや霊、そんな非科学的なものなど全く信じない人間であることを」 と、話し始めたのですが、
「息が苦しく寝れない、空気が薄くて肺を満たせない、少しでも、もっと空気を、と、この激寒の夜 窓も開け放し、堪まらなくなるとベランダに出るんだよ、なんだか冷たい空気だと体に吸い込めそうでね。そこでいつも見るんだけど、向かいのアパルトマンのビルの屋上に黒い悪魔がいて、こちらにいる、喘いで苦しむ僕を、ジーっとみてるんだ、何も言わず、そこから。ジーっと、」
「そして、時々僕は 気が付くと、夜、一人暗闇にいて、暗闇なのになぜがそこに湖畔が見えるんだ、真っ黒な湖畔が目の前にある。そこには僕以外誰もいない。音は全く無く、怖いくらい静かだ。一人っきり。でも一人の筈なのに 隣に誰かいる気配を感じていて、そいつは横から湖畔の水面を指さしながら「(そこを)見ろ」「(そこを)見ろ」とだけ耳元でささやくんだ。僕はそいつの指す腕だけを見てて、振り向いて顔を見ることはしないんだ。」
「キラズさんは信じないだろう。科学で証明されている事しか信じない僕だけど、これは本当なんだよ。」
「それとも僕はおかしくなっちゃったのかな」
とうとう集中治療室に入った同僚に、(日本語で呼びかけてやってほしい)――そんな奥様の願いを受けて、私が会いに行ったその翌日、彼はこの世を去りました。
「息が苦しい、苦しい」と、最期まで苦しみ続けていた彼でしたが、そのときは、いくつもの管に繋がれながらも、やっと安らかに眠ることができて休んでいるように見えました。
人は、想像を絶する苦しみに追い詰められると、心が壊れてしまうのか、
あるいは、精神的な影響によって、脳そのものが正常に働かなくなり、現実にはありえない幻を見てしまうものなのでしょうか。
私には、それがわかりません。
ではでは~![]()
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