今、占い師の間でも話題になっているのが細木数子を描いたNetflixドラマ。

以下、内容はまだ見ていないのでドラマの感想ではないです💦

 

わたしは子どもの頃から占い好きでした。
細木数子のテレビも見ていました。
あの頃は、コンプライアンスという言葉もなかったし、バブルの頃は今ふりかえってみると、テレビもマスコミも世間全体も、かなりの躁状態だったような気がします。

 

今、細木数子は、現代日本で一番有名な占い師と思います。
有名なセリフ「地獄に堕ちるわよ」も、日本中誰でも知っているから、ドラマの題名にもなったのでしょう。
「地獄に堕ちるわよ、とドスのきいた声で脅す、それが占い師」
と思われてしまうことが、占い好きなわたしにとっては、すごくイヤでした。


細木数子という巨大なイメージによって、占い師が、どす黒く虚飾に満ちたおどろおどろしいものに塗り替えられてしまったような気がしました。まあその前から、もともと占い師なんて世間のはみ出し者ではあったのでしょうが。
 

少なくとも、「占い師はがっぽり儲かる仕事」というイメージを作り上げたのは、やはり間違いなく細木数子だったと思います。

 

実際の占い師としての、細木数子がどういう人物だったのかはわかりません。あれだけファンがたくさんいたのですから、人に慕われ、人を引きづける何かがあったのでしょう。個別鑑定では、優しく温かく細やかに丁寧に占っていたのかもしれません。
 

あらためて、今回上がっている過去動画などを見ると、言っている内容については確かに納得できる部分もあります。
自分を磨く努力をしない女はろくでもない男に欺されるとか、男に依存しているだけでは幸せになれないとか、確かにそれはそうです。
 

細木数子の娘がインタビューで、「なぜそんな脅すような強い言葉で言うの」と聞いてみたところ、そのくらい強い言葉で言わないと分からないからと答えたそうです。相手の心を突き刺すような強い言葉を使ってでも、不幸を止めたい、そういう強い思いがあったのかもしれません。

わたし自身は、世代も違うし、考え方も違います。占い師といえども、いえ占い師ではなく、先生でも、師匠でも、配偶者でも力づくで、相手の人生を変えることはできない、とわたしは思っているのです。親子といえども、子が成人してからは、ひとりの大人と大人です。誰の人生も、その人自身の人生です。助言はできても、人の人生を変えることはできない、とわたしは思います。
そういう意味では、わたしのほうが人として冷たいのかもしれません。
 

細木数子は、自分が悪者になってでも、相手と差し違えてでも、不幸にならないように止めなければという使命感と、熱いパッションを持っていたのかもしれません。

 

もうひとつあらためて今回思ったのは、「口調」が「個性」なのだということです。
 

小説では、「文体」こそが「個性」と言われます。小説には、SFや恋愛、ホラーや推理、コメディ、いろんなジャンル内容があります。そしてどんでん返しだったり、ドラマチックだったり、作家によって違う、そのストーリー作りこそが個性と思う読者もいるでしょう。
でも、なによりもその作家の個性が表れるのは、「文体」なのです。


何年か前に、「村上春樹文体で、カップ焼きそばの作り方を書いたら」というのが流行りました。↓書籍になっています。
「完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」
と、書かれただけで、村上春樹っぽさがあるのが分かるでしょう。
同じくカップ焼きそばや、カップラーメンの作り方を、三島由紀夫や太宰治っぽく書けば、やっぱりちゃんと分かるのです。

 

「文体」に個性があるというのはそういうことです。

 

 

小説の文体を、リアルな人間で考えるのならば、「口調」でしょう。
同じ生年月日を同じ占術で見るならば、誰が占っても同じ内容となります。
でもそれを、どう伝えるか?に、占い師の個性が出るのです。


たとえば、自分を磨く努力をせず結婚に逃げようとしていて、失敗する可能性が高い。そういう占い結果が出たときに、それをどう伝えるか?
細木数子は、「あんた、地獄に堕ちるわよ」と言いました。
でも、わたしがもし同じ占術で同じ結果が出たら、違う言葉で伝えるはずです。

 

わたし以外の占い師も、それぞれに自分の言葉、占い師として語りかけるための「口調」を持っています。
丁寧に、あるいは親しげに、優しく癒やすような言葉で、それとも勇気づけ力づけるような言葉で。
その言葉選び、語りかける口調こそが、占い師の個性なのです。


そういう意味で、細木数子の占い師としての個性は、……強烈……と思います。
けれど、そのぐらい強い個性を必要としていた人もいたのでしょう。
なにより、テレビがマスコミが、時代が、必要としていたのかもしれません。

 

細木数子のドラマは、占い師の話というより、身ひとつで成功した女一代記、という感想もありましたし、フラットな気持ちで、見てみようと思います。