私が今も酒屋の小僧であり続けるように

 

 

父も母もそれぞれの実家の家業から

いろいろなものを受け継いできた。

 

 

 

 

 

 

 

母の実家は食料品店で

母は商売嫌いになっていた。

 

 

理由は周り360°に気を使うから。

 

 

 

 

小売り商売は

世間ぜんぶがお客様

 

 

 

ただでさえ

女性として、嫁として、母親として

こうあるべきだ

みたいな監視の目を感じていて

 

 

 

そこにさらに

会う人みんなお客様

 

これを重圧と感じていたのだと思います。

 

 

 

もしかしたら

私に接客をさせなかったのは

子供にそんな思いをさせたくなかった

のかもしれません。

(今度聞いてみよう)
 

 

しかし、嫌でもなんでもそこは昭和の人

 

母は毎日店に出て来客に頭を下げ

ご注文の電話をとっては頭を下げ

代金をいただいては頭を下げ

 

 
お客様を大切に大切にして
小さな店を切り盛りしていました。

 

 

 

 

一方、父は商売に負のイメージがなかった。

 

 

 

話し上手でもなく商売人の匂いもなく

ただ、小さい店ながらも店主として

店に愛着をもっていた。

 

 

これも、生まれ育った家の影響か。

 

 

父の実家は造り酒屋
 

大きな屋敷と蔵を構えて

人もたくさん雇って

(食卓はいつも賑やか)

地元の名士の扱いで

 

 

 

商売の重圧どころか

周りに気を使ってもらって育った。

 

 

 

 

 

 

そんな二人がよくあの小さな酒屋を始めて
そしてよく何十年も続けたと思います。
 
 
 
その商売が家計を支えて
私は好きなことをさせてもらった。
 
 
そしてそれよりもなによりも
 
身近に商売があったことで
私が受け継いだことがある。
 
 
 
よく覚えているのは
 
 
問屋さんと父のやり取り
 
何社かの問屋さんと取引をしていて
各社の営業担当が週に一度来店する
 
 
 
世間話から始まって
景気の話しや新製品の話し
キャンペーンの話し
問屋さんが色々話をしながら
父が注文を出すのを待つ。
 
 
こんな感じです
 
 
(営業担当)
ベルギー戦は見ごたえがありました~
寝不足になっちゃいましたけどね
そういえばXX酒店の~君は
今度サッカーで留学するらしいですよ
 
最近は焼酎が売れているらしいですね
うちももっと焼酎に力入れようかな
 
 
 
(父)
(唐突に)
キリンビール10ケース
 
 
 
(営業担当)
(必死の形相でメモを取りながら)

ありがとうございます!

 

 

 

 
話しの途中
父は突然小さな声で注文を出して
営業担当者がメモをとる
 
するとまた世間話が始まって
話しているうちに色々と条件を出してくる
 
するとまた突然

 

(父)
3000円のウイスキーセット6箱
 
 
(営業担当)(必死の形相でメモ)
ありがとうございます!
 
 
こんなやりとりを
小さい頃からずっと(好んで)聞き続け
 
 
何を言っているか全くわからない
小学校低学年の時も
この会話に聞き入っていました。
 
 
 

話しの邪魔もせず

大人から邪魔者扱いもされず
 
 
とにかく商売の話しが好きで
なんとか理解しようとして
じっと聞き入っていました
(父に後で「あれはどういう意味だったの」
なんて聞くこともしませんでした)
 
 
 
小さい頃の習慣がどんな影響を与えたのか
最近まで考えたことなかったのですが
 
 
 
今考えると思い当たることがあります。
 
 
小学校6年生の修学旅行の時
担任の先生から言われました
 
あべちゃん、値切るなよ~
土産物屋さんは定価販売だよ
でもあべちゃんは値切るだろうな~
 
どうしてもお金が足りないときには
先生に言えよ
 

 

何で?ご指名?
と思いましたが
(田舎町のサラリーマン家庭で育ったクラスメートとは別人種と思われていた?)
 
小学6年生にして
交渉人の血筋を見抜かれていた?
ということかもしれません。
 
 
 

一般向けの条件には縛られず

取引は必ず相対で交渉して
どんなことでも
相手とのやり取りの中で自分で決める
 
 
それが普通のことだと思って育ちました
 
 
 
 

 

個別交渉に「ズルい」とか「騙される」

 

という負のイメージを持たなかった私は
 
 
 
社会に出て随分と得をしたと思います。
 
 
ことあるごとに
交渉の場面に引っ張り出されて
楽しむことができて
 
 
だからこそ損得を乗り越えることができて
 
 
酒屋の小僧でラッキーだったんじゃないか
そんなふうに思っています。

 

 

 

 
(つづく)
 

終わってみたら、

酒屋の小僧で全部で7つの記事を書いていました。

宜しければお読みください。

そして、あなたのストーリーも教えてください。

酒屋の小僧(1)

酒屋の小僧(2)

酒屋の小僧(3)

酒屋の小僧(4)

酒屋の小僧(5)

酒屋の小僧(6)

酒屋の小僧(7)

 
 

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彼にはどんな受け継ぎがあるのか