東京・奥沢。
夫婦で雑貨店をやっている河野です。
今日はいつもの「無印良品パトロール」ではなく、私たちの本業である雑貨店のお話です。
僕たち夫婦は、
日本全国を巡りながら作り手に出会う
「さがしモノの旅」を続けています。
今回訪ねたのは広島県・呉。
染め物作家「よつめ染布舎」の
小野豊一さんの工房へ行ってきました。
作り手の仕事場には、
その人の考え方や暮らし方が見えてきます。
今日はそんな旅のお話です。
よかったら最後までお付き合いください。

さがしモノの旅 広島・呉編
広島には、ちょっと特別な思い出があります
広島の思い出といえば、
30年ほど前に出席した後輩の結婚式です。
夏のよく晴れた日で、
とにかく暑かったことを鮮明に覚えています。
特に印象に残っているのは、
披露宴が彼の実家で開かれたこと。
まるで大宴会のような賑やかな席で、
とにかく笑いっぱなしでした。
そのとき出会った広島の人たちの、
明るくおおらかな人柄を今でも思い出します。
今回の目的地は、造船の街・呉
今回のさがしモノの旅で訪ねるのは、
造船の街として知られる呉です。
戦艦大和が出港した街。
そのくらいの知識しかありません。
どんな空気が流れているのか興味津々でした。
そして、この土地で工房を構えるのが
「よつめ染布舎」さん。
染め物作家の小野豊一さんに会いに来たのです。
※京都ホテルで行われたの展示会
小野さんとの出会いは、一枚の手ぬぐいでした
小野さんの作品との出会いはずいぶん前。
福岡・八女のうなぎの寝床さんで見かけた、
型染めの手ぬぐいと風呂敷でした。
のびのびとした図案にひと目ぼれ。
その後、京都の展示会で小野さん本人と出会いました。
人なつっこい人柄にも惹かれ、
ますます興味を持つようになったのです。
実は昨年まで、よつめ染布舎さんの工房は大分県国東半島にありました。
カタカナ15周年企画「大九州展」のときには作品をお願いしたいと思っていました。
ところが開催の頃には、小野さんの出身地である広島県へ移転。結局ご紹介できませんでした。
そんなこともあり、
「いつかきちんと紹介したい」
という気持ちが、
僕の中でどんどん大きくなっていったのです。
銭湯だった建物が、工房とギャラリーに
4月中旬。
気持ちのいい晴れの日に広島駅へ到着しました。
レンタカーを借りて30分ほど走ると、
呉の街に着きます。
海から少し離れた小高い丘。
細い道を進むと、「すずめ草」と書かれた小さな看板が見えてきました。
車を止めて歩き出すと、
思わず「わぁ〜!」と声が出ました。
目の前に現れたのが、よつめ染布舎の工房です。
ここは小野さんの奥様のお祖母さまが、
かつて銭湯を営んでいた場所。
実は1年ほど前に製作工房は移転していましたが、この場所でギャラリーとショップの準備を進めていたのです。
そして偶然にも、
私たちが訪れたのはオープンからわずか2日後でした。
お祝いがたくさん!!
130年続く染物屋に生まれて
さっそくギャラリーで
お話を聞かせてもらいました。
小野豊一さんの実家は、
明治28年創業の染物屋さん。
広島で生まれ育ち、芸術専門学校でグラフィックデザインを学びました。
家業を継ぐかどうか迷っていたそうですが、
染めの世界は小野さんの深いところにずっとあったのだと思います。
卒業後は岐阜県の吉田旗店へ弟子入り。
神事や相撲、寄席などで使われるのぼり旗を手染めで作る工房です。
調べてみると、全国の手染めの染物屋さんは約200軒。
そのうち半数近くが吉田旗店の卒業生なのだそうです。
この話を聞いて、いつか吉田旗店さんにも「さがしモノの旅」で訪ねてみたくなりました。
吉田旗店で4年間修業した後、2008年に実家の豊栄堂染工場へ入社します。
家業は130年以上続く染物屋。
神社ののぼりやお寺の幕、神楽幕、のれんなど、日本古来の染色文化を受け継いでいます。
のぼりといえば、我が家の近所の神社でも毎年お正月になると立派なのぼりが並びます。印刷ではない、本物だけが持つ迫力。
いつも見惚れていました。きっと小野さんのご実家のような染物屋さんが作っているのだろうなと思いました。
実家では6年間働き、
さまざまな技術や考え方を学んだそうです。
特に、のぼり文字を描く技術。
先人たちの仕事ぶりを格好いいと思い、
自分の技術として身につけていったのだとか。
小さい頃から絵を描くことが好きだった小野さん。もっと表現の幅を広げたい。
そんな時期に、インターネットやインクジェット印刷の普及が重なります。
伝統的な技法の素晴らしさ。
そして新しいものを取り入れる柔軟さ。
そんな想いからでしょうか。
2015年、
「よつめ染布舎」としての活動をスタートしました。
その場所が大分県国東半島。
特別な理由があったわけではなく、
まるで引き寄せられるようにその土地へたどり着いたそうです。
国東で10年。
いつか広島へ戻りたいという気持ちは、
ずっとあったそうです。
そして選んだ場所が、奥様のお祖母さまが長く営んでいた銭湯の跡地でした。
東京の銭湯のイメージとはまったく違う、
とてもモダンな建物。
そこをリノベーションして、ギャラリーとショップにしていました。
奥様は陶芸作家さんです。
小野さんの染め物と奥様の器。
その世界観が絶妙に重なり合い、
空間全体がひとつの作品のようでした。
足を踏み入れた瞬間、なんだか元気が出てきます。
奥様も一緒にお話しすると、
世間話に花が咲きました。
初対面なのに不思議なくらい会話が弾みます。
何度も笑いが起こる。
ああ、広島に来たんだな。
そんな気持ちになりました。
神社ののぼりも、おでんも同じ手から生まれる
そうそう。
工房もしっかり見せてもらいましたよ。
「染め物は布をピンと張る広い場所が必要なんです」
銭湯の裏にある広いスペースも、
この場所を選んだ理由のひとつだったそうです。
大きな文様の型紙がずらりと並びます。
風や火、木々など自然界をモチーフは、
どれも小野さんらしい世界です。
ところがテーブルの上を見ると、
こんにゃく。
たまご。
だいこん。
そんな型紙が並んでいました。
「これ、なんですか?」と聞くと、
小野さんは笑いながら、
「おでんのお品書きです」
神聖さを感じる文様を彫りながら、
おでんも彫る。
その振り幅がたまりません。
「これはパソコンでデータを作るんですか?」
そう聞くと、
小野さんがニヤリ。
しまった。
その瞬間、すべてがつながりました。
神社ののぼりを染める家に生まれたこと。
学校でデザインを学んだこと。
職人として修業を重ねたこと。
そのすべてが、
おでんの型紙にもつながっていたのです。
小野さんは言いました。
「鉛筆でフリーハンドで描いていますよ」
あぁ、楽しかった。
やっぱり作り手のいる場所を訪ねるのは格別です。
作品だけでは見えないことが、
工房にはたくさん詰まっています。
なぜこの柄なのか。
なぜこの色なのか。
その理由を知ると、
布一枚の見え方まで変わってくるから不思議です。
またひとつ、
誰かに紹介したい作り手さんに出会うことができました。
今度はゆっくり呉の街にも泊まってみたい。
また来たい土地がひとつ増えました。
よつめ染布舎 katakana popupstore
<日程>
2026年6月19日(金)〜7月2日(木)
<場所>
カタカナ自由が丘店
東京都世田谷区奥沢5-20-21
カタカナオンラインストア
広島県・呉へ行ってきました。
よつめ染布舎の小野さんの工房を見て、その空気を感じるために。
細い路地を進んだ先に現れたのは、昔の銭湯を改装した工房でした。
伝統の技と今の感覚が重なって生まれる、よつめ染布舎の染め物。
私のお気に入りは、「うどん」と「おでん」です。
そこに並ぶ布たちはどれも軽やかで、暮らしの中にすっと溶け込みます。
思わず笑ってしまうような文様にも、
「布と文様で人の心を動かしたい」
という想いが込められています。
布が一枚あるだけで、暮らしは少し楽しくなる。
呉で出会ったその空気ごと、カタカナに連れてきました。
ぜひ手に取ってご覧ください。

よつめ染布舎 巷文字プリントTシャツ「うどん」《6/19(金)11時より販売》7,200円(税込7,920円)
よつめ染布舎 ARTプリントTシャツ「丸二点々」《6/19(金)11時より販売》7,200円(税込7,920円)
キャップはいろいろあります。
自由が丘店のみの販売予定
ワークショップのお知らせ
「よつめ染布舎 合羽摺りTシャツワークショップ」
〈日時〉
【6/20(土)~6/21(日)】
〈場所〉
katakana shin(世田谷区奥沢2-12-6 H-BLD 2階)
【予約制です。お気軽にお問い合わせください。】
よつめ染布舎さんが制作に用いる「合羽摺り(かっぱずり)」という技法を使い、
文様をTシャツに刷る体験です。
今回は「風」と「花布」の文様をご用意いただきます。
ぜひ、自分だけの一枚をつくる時間をお楽しみください。
くわしくはこちら→ワークショップのくわしい事
よつめ染布舎とは?
もっとくわしく知りたい人は→コチラ
明日もこの場所でお会いしましょう。




























