先日、メイン取引をしている銀行の営業マンが
会社にやってきた。
数週間前に追加融資の話を持ってきてくれて、
その融資審査の際に必要な資料や情報の収集に
来たのだ。
そのとき、社長である父は不在。
経理をずっとしてきた母は会社にいたが、
「アンタに頼んどくわ」
と言って、わたし一人で対応することになった。
向こうは新卒2年目くらいの20代半ばの好青年。
上司から確認をとってくるように言われたことを
必死にわたしに伝えてくる。
そして、固い話が続くと、同じく上司のアドバイスなのか、
「固い話ばかり続いたので、
趣味の話など聞かせてください」
などと、不器用に場を和ませようとしていた。
わたしもそれに乗っかって、
バイクやドライブの話で
お互いに少し笑みがこぼれた。
わたしが会社に関与し始めたのは
約1年半ほど前。
その当初から、
家族間でしている社内での会話を聞いたり
銀行の人が来た時の対応を見ていると、
どうやら父も母も、
銀行さんを好きでないように感じていた。
その影響を受けてか、
銀行の人とほぼやり取りしない運送事務担当の弟まで、
「いきなり何しにくるんだ!?」
「長い時間居て、業務の邪魔だ」
といった感じで煙たがっている。
一方わたしはというと、銀行さんは
好きでも嫌いでもなくニュートラルな存在だ。
「お金を借りるときは『神様』。
返せ言うたら『鬼』呼ばわりや」
これは、昔は竹内力さんが演じ、
最近では千原ジュニアさんが演じる
『ミナミの帝王』の主人公・萬田銀次郎の
名ゼリフだ。
税務署や地方自治体で
滞納税金の回収をしていたわたしには、
そのセリフの意味を肌感で理解できる。
なぜなら、税金は貸金でこそないが、
取り立てる行為は貸金のそれと近く、
さらに、税金回収に与えられた法的な権限は、
代表的な
裁判所を介さない自力の財産差押執行権をはじめ
貸金業者よりかなり強力なため、
納税者や市民から厳しい言葉を
数多くいただいたからだ。
少し脱線したが、
銀行さんから幾らかでも融資を受けている以上(これから受ける場合も)、
嫌ったり煙たがる理由などないのだ。
例えば、こちらは借入ゼロ、一方で、
何億円もの預金をしているといった状況で、
それでもしつこく
「預けてください」
「借りてください」
「投資してください」
などと訪問してくるというのであれば話は別だが、
弊社の現状はそうではない。
だからといって、
必要以上にへりくだる必要もない。
ごく普通に、
他の仕事の取引先と同様に接していれば良いのだ。
貸す銀行さんの方も貸付利息で儲けていて、
こちらも融資を受けることで
会社を経営し続けられているのだから。
どちらが上だとかそういうことではなく、
互いがギブアンドテイクの関係なのだから、
普通に対等なビジネスパートナーとして
付き合えばいいのだ。
銀行さんの営業マンも人間だ。
笑顔で迎え入れてくれれば、
「この会社のために上司に掛け合ってあげよう」
ともなるだろうし、一方で、
煙たがって邪魔者のように扱われれば、
「最低限、貸倒れにさえならないように注視して、
あとは訪問も控えよう」
などと、会社に対するマイナスイメージを持ったり、
後任にも良くない印象を引き継ぐに違いない。
わたしも税金回収のときの担当案件を
後任に引き継ぐときに数字的な事実に加えて、
社長さんに対する個人的な印象も伝達していた。
さてさて、
冒頭の追加融資の話がどうかうまくいくように、
これからも好青年営業マンと
いい関係を継続していこうと思う。
そのためにも
受け身にならず(苦手意識を持つとどうしても受け身になりがち)、
必要な書類や情報は、
こちらから積極的に提供していくつもりだ。
それもこれも
全て会社再建と事業継続のためだ。
「お金を借りるときは『ビジネスパートナー』。
返せ言われても『ビジネスパートナー』」