―日誌を保存するか否か―




私は、保存はしない。

なぜなら、旅立ってしまったら、もうその人は存在しない人になるから。

正直、大好きだった人の旅立ちを知ったとき、保存しようかどうか迷った。

二度と会うことがないかもしれないその人の、確かに居たという証でもある日誌。

それでも、保存はしなかった。

当の本人が、もう演じていた自分に未練がないと言ったのなら、私も未練を残してはいけないと。

そう思った。

たったそれだけで、一切の記録は残していない。

これからも、素敵な言葉を紡いでいる日誌はあるけれど、残しはしないだろう。

ナイけれどアル。アルけれどナイ。

嘘と本当が入り混じっている場所だから。