FF VII ~side Tifa~
気付いてたんだ、彼女がクラウドを見ていない事に。
碧の瞳が捉えていたのは、硬い黒髪と、受け継がれた形見のバスターソード。
最初は嫉妬だと思ってた。ううん、思い込もうとしてた、幼馴染みと仲良くする姿に。
でも、すぐに違うと解って仕舞った。
何故って、それは私がクラウドに送る視線とは、似ても似付かない物だったから。
儚げな外見とは裏腹に、エアリスは直球な性格。決して弱味を見せない所も、私を不安にさせた。
「約束したの。”今度逢う時はピンクの服で”って。だから、こうしてピンクの服を着ていれば、きっと迎えに来てくれると思うの」
愛しい人が迎えに来る時、それは即ち、彼女が空へと還る事を意味する。
恋人の元へ行けるなら命さえ投げ出しそうな程、自分の気持ちに正直な親友の言葉は、私を打ちのめした。
私はこれ以上、大切な仲間を失いたく無かった。
けれど、これから先ずっとクラウドを見る度にザックスを思い出すのは、エアリスを苦しめる事にしかならない。
私は残酷な事を望んでいるのだろうか。
私にはクラウドがいるのに、その上エアリスまで求めるなんて、どれだけ欲張りなんだろう。
ごめんね、ザックス。私はまだ、彼女をあなたの元へは逝かせられない。
ごめんね、エアリス。私はまだ、あなたに側にいて欲しい。
星を護る為なんて、本当は嘘。私はそんなに強く無い。
お願い、私から取り上げないで。
どうか、もう少しだけ甘えさせて。
英雄になりたい訳じゃ無い。
ただ、隣にいつもの笑顔が有れば良かった。
空の青に映える向日葵。
陽の光を浴びる勿忘草。
迎えに来てくれたんだね。
約束、果たしてくれたんだね。
「おめでとう、お幸せに」
でも、今だけは、泣かせて。