大天使の待つ場所~cafe編3~ | juno~女神から吹く風~

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大天使や女神、スピリットたちとつながり、

奇跡と愛に溢れた毎日をすごす「コツ」、

お伝えします

それは珈琲だった。

まるでカフェオレボウルみたいな

大きなカップに入った漆黒の珈琲。



そうなの。

わたしはこうやって大きなカップを

抱え込み、手をあたためながら飲む

冬の珈琲が大好き。



一口飲んでみた。

まさしく大人の味。

プロが丁寧にいれた珈琲の味。

家庭ではこうはいかない。



雑味のない、きりりとした深い味わいなのに

嫌みな酸味も少ない。

苦すぎるわけじゃない。


そして大人しか

こういう味を美味しいとは思わない。

そんな珈琲。





妊娠してから

ずっとたんぽぽ珈琲や

ハーブティでごまかしてきたから

久しぶりに飲む

本物の珈琲は

私にとって刺激は強いけれど

自分が社会人だったことに

一人前の大人だったことに

再び目覚めるような

そんな味だった。




ああ、そうだ、

わたしは家庭の中の奴隷でもなんでもなく

一人の大人なんだなあ




そんな実感が押し寄せてきた

ずっと忘れていた感覚だったので

涙が出そうに嬉しかった





一人で立っていいよ

一人を楽しんでいいよと

言われている気がした





感激しながら

珈琲をすすっていると、

数人が席をたち、

レジに向かってくる音がした。








「あら、俊子、俊子じゃない!」



急に名前を呼ばれて

そちらに目をやると、

昔の同僚の桜子が会社の後輩らしき人たちと

一緒にそこに立っていた。





「偶然ね、こんなところで会うなんて。

あ、あなた、赤ちゃんが生まれたんですってね。

おめでとう!

幸せそう・・・じゃない?

赤ちゃんは今日はどうしたの?」



「あ、ちょっと・・・実家の母に

見てもらっているの」

私はひきつった笑いしかできず、

普段着ででかけてきたのを

隠すために

ショールで胸元をしっかりと

おおった。





「そうなんだ・・・

大変よね、育児も。

私なんか今日は後輩におごらされてる。

この間、新規で契約3つとったから、

そのお祝いとかなんとか言って・・・

結局はこちらがおごらされるはめになるのよ。」






笑顔でそう語る桜子は

とっても綺麗だった。

流行の化粧をして

流行の服を着て

ピカピカのヒールとバックを持っていた。

とても誇らしそうで

自信たっぷりのオーラがみなぎっていた。



わたしも、1年ほど前は

そんな世界にいたのに・・・






柱時計が、3時を知らせる

鐘の音を三つ鳴らした。






「あ、もういかなきゃ!

じゃあね、ご主人によろしくね!」









なんとか笑顔で手をふったけど

「また会いましょう」とは言えなかった。


せっかく美味しい珈琲を飲んで

幸せな気持ちでいたのに

自分のいけてなさに落ち込む。




あきらめたはずのキャリアに

後悔の念がわく


もう少し頑張っていれば

私もあんな風になれたかな?





しょんぼりとうつむく

わたしの視界に

ケーキが美しく盛りつけてある

お皿がそっと置かれた。



「これは私から。」








(続く)