会いたい人に会わせてあげる | 山下純子Times.

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【会いたい人に会わせてあげる】

 父の仕事の関係で幼いころ屋久島に3年間住んでいました。思い出の屋久島。父が任期を終えて鹿児島市内に帰ってきても、私は「島に帰りたい、島に帰りたい」と何度も言い、母を困らせたと言います。

 今朝の南日本新聞の一面に弥生杉が倒木したとの記事がありました。

 幼少時、出会っていた弥生杉。推定樹齢3千年。地球の歴史、日本の歴史をずっと見てきたであろう巨木。屋久島の公認ガイドの方もショックは大きいと語っていますが、私もショックは大きい。

 時期をみて屋久島にと思っていたのですが、行きたい場所には行き、会いたい人には会いに行かないと機を逃すと本当に思った次第。フランスのノートルダム寺院も焼けてしまった、首里城も、この目で見たかったのに。

 鹿児島に帰省中と知り、私のような人間にでも会いたいと言ってくださる人が数名おられて実にありがたく思っているのですが仕事プラスあれこれの用事が重なり時間が取れず申し訳なく思っています。

 それなのに、「私が実家に居る間に、遺影の父に会いにきてください」と、私のわがままを押し通して山下家に足を運ぶことに了承してくださった人がいます。彼の帰省日数も少ないだろうに、無理だったら断ってくださいと心のどこかでは思っています。ですが、母に彼を会わせてあげたい一心です。彼は父の教え子だった人で、会うのを母がすごく楽しみにしているのです。自宅から出られない母に、人を会わせてあげるのも私の身勝手な親孝行。

 行きたいところに行き、会いたい人に会う。それよりも素敵なことは、行きたいところに行かせてあげて、会いたい人に会わせてあげることだと、ふとそんなことを思いました。

 遺影の父を見て彼はどう思うのだろう。師と教え子の、約50年ぶりの再会です。

山下純子